オオアリクイのお母さんは、子どもをおんぶして子育てします。その愛らしい姿を一度、生で見てみたいとずっと思っていました。
以前、東山でそれを見るチャンスが訪れたことがあります。
東山は国内でオオアリクイを飼育している数少ない動物園です。その東山でオオアリクイの待望の子 「さん平」 が、アントとエミの間に産まれます。
しかし、産まれたのが真冬の12月25日。
オオアリクイは寒さが苦手なため、園は冬の間、子どもを放飼場に出しません。その間に、さん平君は暖かなバックヤードですくすく育ち、春にはすっかり立派なオオアリクイになっていました(笑)。
これではおんぶ姿は無理だとあきらめていましたが、大きくなっても甘えん坊のさん平君としっかり者のエミ母さんのおかげで、めでたくおんぶ姿を見ることができたのでした。
オオアリクイの 「おんぶ」 が見たい! 2015/8/23
ですが、どうもテレビで観たかわいらしいイメージとちょっと違ってまして…。
そして、月日が流れ、ついにサビオとエミの間に、エミの第4子誕生のニュースが!
生まれは5月14日。これなら季節も問題なし! 早速、いそいそと会いに出かけました。
生まれは5月14日。これなら季節も問題なし! 早速、いそいそと会いに出かけました。
その前に、まずは 「オオアリクイ」 について。
これがオオアリクイ
細長い口と大きな尻尾が特徴的。とてもユニークな姿をしています。
中央・南アメリカ一帯で暮らしています。
主食はアリ。鋭い爪で蟻塚を壊し、長い舌を突っ込んで、アリをからめ取って食べます。
舌の長さは、何と60センチもあります!
※詳しくはこちら
アニマルトーク 「オオアリクイ」 2014/12/28
アニマルトーク 「オオアリクイ」 2014/12/28
オレンジも食べる??
他に、血も滴るような新鮮な大きな骨 (多分、牛のもの) を与えているのを見たことがあります。
これが東山のオオアリクイの放飼場
北園の 「アメリカ大陸コーナー」 の一角にあります。
北園の 「アメリカ大陸コーナー」 の一角にあります。
そして、東山ゆかりのオオアリクイのラインナップ。 「●」 印が、現在東山で暮らしている子たちです。
●アント (オス)
1993年1月31日生まれ (アメリカ)
オオアリクイの寿命は野生下で15年ほどと言われていますので、25歳のアントはかなり高齢のアリクイです。 飼育員さんによると、体毛もかなり白く薄くなってきたそうです。
1993年1月31日生まれ (アメリカ)
オオアリクイの寿命は野生下で15年ほどと言われていますので、25歳のアントはかなり高齢のアリクイです。 飼育員さんによると、体毛もかなり白く薄くなってきたそうです。
●エミ (メス)
2007年6月13日生まれ (アメリカ)
4頭の子どもを産み育てているベテラン母さん。11歳。オオアリクイは、一産一子だそうです。
2007年6月13日生まれ (アメリカ)
4頭の子どもを産み育てているベテラン母さん。11歳。オオアリクイは、一産一子だそうです。
フジオ (オス)
2010年8月19日生まれ (東山)
アントとエミの1番目の子。日本平に転出しました。立派な大人になり、日本平でヒナちゃんとの間に子をもうけています。
2010年8月19日生まれ (東山)
アントとエミの1番目の子。日本平に転出しました。立派な大人になり、日本平でヒナちゃんとの間に子をもうけています。
アイチ (メス)
2012年11月3日生まれ (東山)
アントとエミの2番目の子。今は江戸川区自然動物園で暮らしています。
2012年11月3日生まれ (東山)
アントとエミの2番目の子。今は江戸川区自然動物園で暮らしています。
●さん平 (オス)
2014年12月25日生まれ (東山)
アントとエミの3番目の子。上の写真で、エミにおんぶされている子です。
2014年12月25日生まれ (東山)
アントとエミの3番目の子。上の写真で、エミにおんぶされている子です。
●今回産まれた赤ちゃん (?)
2018年5月14日生まれ (東山)
アントとエミの4番目の子
2018年5月14日生まれ (東山)
アントとエミの4番目の子
●サビオ (オス)
2003年5月29日生まれ (ドイツ)
2016年8月にイギリスから繁殖が目的で東山に来園。
2003年5月29日生まれ (ドイツ)
2016年8月にイギリスから繁殖が目的で東山に来園。
それでは、お待たせしました。
行きますね。
行きますね。
オオアリクイの赤ちゃんのおんぶ!
これ、これ。 オオアリクイのおんぶ!
ちびっ子がくっついてますね、お母さんの背中!!
ちびっ子がくっついてますね、お母さんの背中!!
赤ん坊はお母さんと同じ模様なので、おんぶする位置によっては、お母さんの体の一部に見えて見分けがつきません。子を守るための見事なカモフラージュです。
まだ、ちびっ子が小さいのもありまして、見ていた来園者のみなさんも、何人もの人が 「どこにいるの?」 と言っていました。
よく見てみるとちびっ子は、背中というより尻尾につかまっている感じですか。
違う角度から見るとこんな感じ
エミの尻尾を後ろ足で挟み込んでいる感じでしょうか。
何と、お母さんがしゃがんでも、そのままの格好でしっかりつかまっています。
珍しく背中から降りたところ
何か食べ物でも探しているのでしょうか?
エミが心配そうにのぞいています。
エミが心配そうにのぞいています。
にょろっと長い舌はエミのものです。
「そろそろ、行くわよ」
「うん」
「さあ、背中に乗って」
「ママ、ちょっと待ってえ」
よいしょ
よいしょ
「ちゃんとつかまった?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ、行くわよ」
そんな声が聞こえてきそうです。
お母さんの背中は最高のゆりかご
動物の生態と言うのは実に不思議です。誰に教えられるのでもなく、子はお母さんの背中に上り、お母さんは子を背負うのですから。
こんな姿勢でも赤ちゃんはしっかり尻尾につかまっています。
どうして "子" というのはこうも愛おしいものなのか。
お母さんは時に赤ちゃんをなめてあげたりします。
赤ちゃんがつかまるのを確認すると、
よっこらしょっと
腰を上げます。
こんな姿勢でも赤ちゃんはしっかり尻尾につかまっています。
どこに行くにもいつもお母さんと一緒。
これなら安心です。
これなら安心です。
ちびっ子のくせに、舌の長さは一人前
鋭い前足の爪もしっかり生えています。
お母さんの暖かいふさふさの体毛に頭を突っ込んで、
すやすやと眠ります。
どうして "子" というのはこうも愛おしいものなのか。
世の中のすべての子どもたちが、健やかに幸せに暮らせる世界になって欲しいと願います。
人はもろちん、動物もね。
人はもろちん、動物もね。