先日の日曜日のこと。
この日は3連休の中日で、翌日の勤労感謝の日は雨との予想もあってか、ひどい混みようでした。
正門の様子
到着したのは午後1時ちょっと前。
入園券購入の列が、向かって左の端から始まって右の端で折り返し、真ん中の販売窓口まで続いています。 こんなに混んでいる様子は久しぶりに見ました。
そうなると人気沸騰中の 「彼」 の獣舎は推して知るべし。
こんな具合…。
人垣が5列ほどでき、ほとんど見ることができません。
ようやく一番端っこの隙間からのぞいてみると…。
いましたね。彼が食事中でした。どうりで人垣ができるはずです。
反対側の端からの様子
ゴリラは臆病で神経質な動物だと聞いています。
来園者もこんな状態になるとゴリラたちのストレスにならないのでしょうか。ちょっと心配になります。
このシャバーニ人気、一体どこまで続くのでしょうか。
写真集に続き、何と今度は、「イケメンすぎるゴリラ。シャバーニ」 と題して、12月にDVDが発売されるそうです。
また、最近知ったのですが、何とあのアドビが、シャバーニと "動物スポンサー契約" を結んだとのこと。最近、ブラウザーを立ち上げると出てくるアドビのターゲティング広告にシャバーニが使われていることを不思議に思っていました。
どうやらアドビは、申年の年賀状シーズを前にシャバーニを宣伝素材に使って、Photoshop や Lightroom を売り込むつもりのようです。
ますますヒートアップするシャバーニ熱。
一体、どこまでエスカレートするのでしょうか?
多くの人たちに、ゴリラに関心を持ってもらうことは、とてもいいことだと思います。
ただし、問題はその関心の内容です。
今のマスコミでの取り上げられ方を見ていると、単に彼がイケメンだという点に集中していますし、多くの人もそこに関心があるのでしょう。
しかし、動物園の動物たちは、そもそも何のために自然の世界から隔離され、ここで展示されているのか?
マスコミ、企業、そして園は、動物たちが "そこにいる意味" を併せて伝えることを忘れないで欲しいと思います。
ましてや、ゴリラは、IUCNのレッドリストで 「絶滅危惧種」 (※) に指定されている動物です。あのシャバーニたち、ゴリラが背負っている厳しい現実を、しっかり見せてあげて欲しいです。
※東山動物園の公式サイトによると、
ゴリラには 「ニシローランドゴリラ」 「クロスリバーゴリラ」 「ヒガシローランドゴリラ」 「マウンテンゴリラ」 の4つの亜種があり、ヒガシローランドゴリラ以外は、「絶滅危惧ⅠA類(CR)」 (ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種) に指定されているとのこと。
ヒガシローランドゴリラでも、CRよりひとつ危険度が低い 「絶滅危惧ⅠB類(EN)」。
先日、横浜の 「ズーラシア」 に行ってきました。
動物たちの飼育環境、展示の仕方、伝えるべきメッセージ、レクリエーション施設としての快適さなど、よく工夫された動物園だと思いました。
そんな中で、目についたメッセージです。
オカピ舎に掲出されていました。
初めて知ったのですが、2012年6月24日に、アフリカのコンゴにある 「オカピ野生生物保護区」 にあるオカピ保護施設が、密猟者らによって襲撃され甚大な被害を受けた事件があったそうです。
その際、この施設の再建を支援するために、オカピを飼育している動物園などが協力して募金活動を行ったそうです。
以下、東京ズーネットの 「ニュース」 コーナーからの抜粋です。
オカピを救おう! 募金のお願い 上野 2012/11/30
2012年6月24日、コンゴ民主共和国エプール市内にあるオカピ保護プロジェクトの施設が密猟者たちによって襲撃されました。レンジャーたちがおこなっている密猟活動の取り締まりに対する報復でした。
レンジャーやその家族など関係者6名が殺害され、飼育していたオカピ14頭全部が射殺されました。施設は放火され、機材や物資などは略奪もしくは破壊されました。さらにオカピ保護の支援をしてくれていた地域の住民たちも襲撃を受けました。
この痛ましい事件に伴い上野動物園では、現地の支援をすることにしました。今回の募金活動は、2013年3月末日までを予定しております。みなさんからいただいた募金は、活動にあたるレンジャーへの支援、施設の復旧、機材・食糧・医療品購入などのため「オカピ保護プロジェクト」に寄付します。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
ここにも書かれているとおり、東京の上野動物園、ズーラシアを始めとする横浜にある3動物園などが協力して行ったようです。
その結果報告が下の写真。
オカピの吹き出し 「ありがとうございました」 が泣けます。
こっちが 「ごめんね」 と言いたくなる。
募金総額が 2,242,827円
ショッキングな事件だったということを差し引いても、よく集まったと思います。
何のために、動物園の動物たちはここで暮らしているのか?
動物園を単なる "見せ物小屋" にしてしまっては、囚われの身のあの子たちが可哀想でなりません。
ズーラシアのオカピ 「ルル」 ちゃん
行動に結びつかないのは、知らないだけなのかもしれない。
言葉を発しなければ、知ることもないのかもしれない。
ゆっくりとした歩みかもしれません。
しかし、諦めず、辛抱強く、メッセージを発信し続けることが大切だと思います。