三毛猫のオスは非常に珍しい
中学生になって、理科の時間で「メンデルの法則」を習った。黄色でしわのないエンドウ豆の種子を緑色でシワのある種子とかけあわせると、雑種1代目は全て黄色でしわのない種子ができるという遺伝学の基本法則である。
その時、黒と茶の組み合わせから三毛猫が生まれたことを覚えていた少年は理科の教師に質問した。「それは難しい問題だね」くらいで済まされたような気がするが、記憶はあいまいで、獣医師になって飼い主から尋ねられた時、同じような回答しか用意できなかった自分の姿が投影されているのかもしれない。次いで出た言葉は「三毛猫に雄はいないんだよ」。期せずして、かわし方は全く同じになった。
■35年で2回だけ
獣医臨床を35年以上続けているが、三毛猫の雄を見たのは2回しかない。「三毛猫のいる置き屋は繁盛する」などと、そもそも縁起が良いとされる三毛猫だが、三毛雄は古来、出現がまれなことが知られており、さらに幸運を招来するものとして珍重された。猫は航海に欠かすことのできない動物として「猫が騒げばしけになり、眠れば天気平穏」と信じられたが、とりわけ三毛雄を乗船させると航海は絶対安全だと高値がついた。(平岩米吉著「猫の歴史と奇話」より)
雄ネコの染色体(ローラ・グールド著「三毛猫の遺伝学」より)
三毛猫の出現は性に関連して遺伝するので、伴性遺伝という。猫の染色体は38本で、両親からもらった19組がペアになっている。そのうち18組は同じ形をしている常染色体で、XとYの2種類の性染色体が性を決定する。X染色体は長く、Y染色体は短い。雌の場合はXX、雄はXYの組み合わせとなる。
猫の場合、茶色の毛色を決定する「O(オー)遺伝子」と、茶色以外の黒毛を発現する「o(小文字のオー)遺伝子」はX染色体上に乗っており、「Oo」の組み合わせができなければ三毛猫は出現しない。雄を決定するY染色体は短く、その両方を乗せる座がないので、雄は三毛猫の出現に基本的に関われないのである。
日経新聞 生きものがたりより
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