陶土を800℃程で焼くと植木鉢のような質感になって、水を吸収して通す。
それは目に見えない微細な穴が陶の表面に無数に開いていて、ちょうどスポンジのような構造になっているからで、濾過の役割を果たすこともできる。
その穴は、1250℃で焼いても残るので、素焼きのときほどではないけど、やはり水を吸収して通す。

村田君はその吸収して濾過する性質を利用して、「天使の浄水器」というタイトルの浄水器を作った。



 胴の部分は皿を重ねた構造で、ここを染みでるように通過する過程で水が濾過されるという仕組みだ。
展示の作品は、本焼きで仕上げたので、濾過に時間がかかるため、便宜上各皿に穴を開けていて、口から水を入れると約3分で水が下半身から勢い良く飛び出した。



 浄水器として使うためには、ここには蛇口をつける事も検討したという。
たしかに金属の器にじょぼじょぼと落ちる浄水は、決して口にはしたくない、だが何とも諧謔味がある。
 
なぜ天使なのかという質問には、小便小僧のイメージと、浄水する事で清らかになるイメージがあるからという。
なぜ豚がモデルなのかという問いかけには、個人的に好きだからと答えた。未焼成の犬バージョンも傍らに置かれていたが、豚の表情のほうが複雑でおもしろい。