当初は問題が無かった人が欲に駆られたり 切り崩されたりしながら変わる事もよくあります。 | たまきちのブログ

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2006年元旦 ピンクとブルーの巴にくるくる輝くお日様を見ました。

木村 正治

 

アントニオ猪木の自伝を20年ぶりに

読み直して、その辺りのノウハウ本や

ビジネスハウツー本よりは遥かに示唆や

含蓄に富み、社会人として様々な良い内容

になっていると感じました。

仕事をしていると実に様々な人模様が発生します。

打算、欲、裏切り、豹変、利害などが絡み

また当初は問題が無かった人が欲に駆られたり

切り崩されたりしながら変わる事もよくあります。

様々な方からよく聞きますが、

・経理を任せていたら使い込みされた

・スタッフに着服された

・社員が会社のお金を使い込みした

・秘書がお金を持ち逃げした

等という話は随所にあります。

いずれも共通しているのは経理を全て任せていたら

いつの間にか使い込み、着服されていた、

という展開です。

アントニオ猪木もそのような被害を受けました。

しかしメディアでは逆にアントニオ猪木が不正を

したかのような内容で報道され、当時は政治家だった

アントニオ猪木は多大な風評被害を受けました。

仕事をする上で大切なことは、

・扱う商品、仕事内容に問題ないか

・また本物であるか

・それを広めたり販売する方法に問題や嘘はないか

という事ですね。

それがクリアできたら今度は誰に任せるか、

誰を選ぶか、誰と仕事をするか、が大切になります。

しかし複雑なのは最初は問題ない人だったのだが

物事が展開するに連れて人が様変わりしていく

現実がある事です。

世の中のトラブルの多くはここに起因しています。

アントニオ猪木はいかなる被害に遭ったのか。

自伝の321ページから転載します。

(以下、転載)

都知事選騒動の後はさすがに政治の世界にうんざり

したが、私は相変わらず世界を飛び回っていた。

気がついたら任期も半分が過ぎようとしていた。

私は次の参院改選で候補を立てて闘おうと思っていた。

友人の紹介で、元プロ野球選手の江本孟紀と会う

ことになった。

江本は私とは違ったキャラクターで、頭もよく、

鋭い分析力と批判力を持っている。

金銭面もしっかりしていて、私とはいいコンビに

なりそうだった。

彼も悩んでいたが、決断し、結局出馬することに

なった。

供託金はすべて私が出した。

一人400万で4000万だ。

あるコマーシャルに出たときの金があったので、

それをそっくり選挙の資金にあてた。

江本は見事に当選し、スポーツ平和党の二人目の

国会議員になった。

いよいよ議員1期目の後半に向かってスパートを

かけようと思っていた矢先、私は思わぬ事態に

巻き込まれることになる。

側近中の側近に刺されてしまったのだ。

新間とその愛人である元公設秘書の佐藤久美子が

週刊誌を使って、私を告発する大キャンペーンを

はじめたのである。

私は金に頓着しない男だし、議員活動に忙しくて

経理なんてチェックする暇がない。

金銭的なことは新間や佐藤にすべて任せていた。

結党以来、私は稼いだ金をすべて彼らに渡していた。

平成4年の年末に私はソマリアに行き、難民たちの

悲惨な状況を見てきた。

生き地獄とはあのことを言うのだろう。

自分の目であれを見てしまったら、もう動かざるを

得ない。

私は難民たちの写真を公開し、募金を募った。

善意の金が一晩で何十万と集まった。

それを貯めておいたのだ。

その後、モザンビークに行くことになったので、

モザンビークの難民のためにその募金を持って

行こうとした。

すると新間たちが劣化のごとく怒りだした。

この金は党の公金で、議員一人が手をつけることは

許されない、と言う。

おかしいと思い、職員に調べさせてみたら、金は

消えていた。

難民のために集めた金を彼らが喰ってしまったのだ。

それだけはどうしても許せなかった。

調べてみると、他にも不審な点がいくつも出てきた。

彼らは私が経理に無関心なのをいいことに、

党の金を着服し続けていたのである。

難民の募金の件もあるし、もう見逃すわけには

いかない。

私は佐藤をクビにし、新間と話をして、経理には

タッチさせないことにした。

それが結局、彼らを怒らせたのだった。

まったくの逆恨みなのだが、人間の怨念とは恐ろしい

ものだ。

彼らは私を引きずり下ろし、自分たちのやった

すべての罪を私になすりつけ、スキャンダルの

泥沼に突き落としたのである。

私はそれまでも謙虚でありたいといつも思っていたし

国会議員になってからは、意識してそう心がけて

きたつもりだ。

しかし新間は

「猪木をここまでにしたのは俺の力だ」

と思い上がり、政治の世界の裏側を覗いて、大きな

権力を手にした気になっていたのだろう。

彼らのキャンペーンにしても、事実ではないの

だから、そんなものはいずれ消えてしまうと私は

タカを括っていた。

ところが世間は彼らの煽動を面白がり、どんどん

火が大きくなっていくのである。

術中にはまるというのは、まさにあれを言うのだろう。

気づいた時は、もう手の打ちようがなくなっていた。

いくらこっちが叫んでも誰も聞いてくれない。

自分がやってきたことのすべてが、崩れていく。

彼らが嘲笑う声を聞きながら、私はそれをただ

見ているしかないのだ・・・・・・。

リングの上ならどんな強敵も怖くない。

しかし今回は違った。

彼らは私のことを熟知している。

性格的なものを含めて、一番私が弱いところ、

嫌がるところを突き刺してくる。

何故そこまでしなければならないのか理解できないが

怨念というものはそういうものかもしれない。

親戚の叔母までが引きずり出され、ワイドショーの

レポーターにマイクを突きつけられる。

どっちが正しいかなんて、ワイドショーには関心

がない。

どんどん波紋が広がって、視聴率さえ取れれば

それでいいのだから。

そんな人間を側近にしていたことが悪いと言われれば

何の弁解もできない。

新間は苦労を共にしてきた戦友だと思っていた。

彼が連れてきた佐藤を使うのも自然なことだったし

疑う理由なんてなかった。

切るにせよ、怨念を生まないようにうまく外して

いき、影響力がなくなってから遠ざけるような

知恵もあるだろう。

私は性格的にそういうことが出来ないのだ。

彼らにしたら、こんな居心地のいいところはなかった

ろう。

佐藤はタレント志望だったし、猪木の美人秘書だ

なんて言われてチヤホヤされるのだから。

金もどんどん入ってくるから、ブランド品を買い漁り

後に分かったのだが佐藤はオーストラリアに別荘まで

買っていたのだ。

マスコミに囲まれて何週間も家から出られなくなり

女房は飯が食えなくなってガリガリに痩せてしまった。

テレビをつければ朝も昼も私のスキャンダル。

佐藤が化粧して出てきて、あることないこと喋って

いる。

新聞の見出しも、連日、私が極悪人だと断定している。

そのうちに、テレビに否応なしに引きずり出されて

しまう。

テレビ屋にとっては面白ければいいのだ。

本番であれだけ叩いておいて、その舞台裏では

コメンテーターがすみませんと私に頭を下げてくる。

スタッフたちは今日の視聴率はどこが高かったか、

このタイトルじゃ刺激が弱くて数字が取れない、

なんて喋っている。

その中に巻き込まれた馬鹿馬鹿しさを分かって

頂けるだろうか。

見せ物なのである。

だから逆上したり、正義を訴えることが虚しく

なってきて、最後にはもうどうでもいいと思った。

しかし国会議員の「不正」が問題なのだから、

ワイドショーのレベルでは済まされない。

私はホテルで三日間、検察庁の事情聴取を受けた。

女房も二日間拘束されて徹底的に聴取された。

あれだけ騒がれれば、検察庁としても動かざるを

得なかったのだ。

検事にも名誉欲がある。

政治家一人落とせば、勲章になるだろう。

誓って言うが、私は何もやましいことはしていない。

もし検事の出世欲のために陥れられ、抹殺される

のなら、彼を殺してやろうと思った。

取り調べは1対1だったから、私には簡単なことだ。

こんなことを書くと、ひどい男だと思われるかも

知れないけれど、これがその時の正直な気持ち

だった。

自殺した新井将敬が実際何をやっていたかは知らない

が、私は彼の気持ちを少しは理解できる。

結果的には、当然ながら何も出てこなかった。

結局、不起訴である。

逆に検察の調べで、新間たちがどれだけ不正なこと

をしていたかを、私は知らされた。

選挙の応援演説には行ったが、大金を貰っていたのは

知らない。

彼らが勝手に受け取って、自分たちで使っていた

のだ。

還付金を不正に受け取ったと書かれたが、全て

佐藤に任せていたことだ。

激務の中でいちいちそんな事をチェック出来ないし、

そういう事を処理するために経理を置いてきたの

だから。

           〜以上、転載を終える〜

いかがでしょうか?

少なからぬ方々が同じ想いや思い当たる節が

あるのでは、と思います。

人は豹変します。

またお金に関する事で誰かに任せきりにしていると

その任せきりにした誰かに使い込まれたり、

持ち逃げされたり、中抜きされていたりという

展開になる事はよく聞きます。

アントニオ猪木の自伝から何を感じるでしょうか?

まさに社会人としての良い教材だと言えますね。

それにしても新間寿と佐藤久美子。

言語道断ですね。

あの時代にはSNSが無かったためにワイドショー

やメディアに狙われるとまな板の鯉。

反論する手段や媒体がほとんどありません。

今の時代だったならば全く展開は違っただろう

と思います。

今は亡きアントニオ猪木に代わり、アントニオ猪木

の自伝を転載する事で社会的に新間寿や佐藤久美子

に鉄拳制裁、延髄斬りを浴びせる事になれば

良いですね。

世の中や人間というものについて、様々な示唆に

富んだアントニオ猪木の自伝は一読をお勧めします。