公演を歩くと 古いベンチがならんでいる
ただ座るだけの 背もたれのない長椅子ベンチ
次男がピョンと飛び上がって スケボーの背ですべって着地する
ベンチの金具は錆びて 椅子の木目も傷だらけだ
もしかしたら 次男がつけた傷も残っているかもしれない
手前のへりをじっと見る
もう２０年？ いや ２５年以上も前のこと？
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目を閉じると 夢？の中に景色が見える
長い坂道が下って 上っていて 日差しは明るい
綺麗な緑と黄色い道 夏の北海道
その道をスケボーで下って
上りさえもスケボーをこぐ次男が見える
振り返った笑顔が 近かった
うすいマフラーをターバンにして帽子をかぶっている
顔は赤いけど白い部分もある
次男はアトピーと白斑と円形脱毛症だった
だけど
公園で滑っていたころは まだ円形脱毛症にはなっていない
夫が心室細動で急死したとき
時期を同じにして 私も長男も次男も円形脱毛が出来た
次男だけそのまま治らなかった・・・・
私に 振り返った次男の笑顔はまぶしい
親の欲目かも知れないけど 綺麗な子だったと思うんだよね
最後の言葉は「ありがとう」だった
次男家族を送った時に 「ありがとうね」と言ってくれた。
まさかね
あれが最後になるとは・・・・
そして
「俺がアトピーだからって、母さんは自分を責めないでよ」って
「アトピーよありがとう 人の苦しみもわかるよ」と言って
２階にかけあがった
息子にとっては 生意気な母親だったと思う
でも 許してくれたのだろう
いろんな話がしたい。
だけど もういない
大動脈解離で死んでしまった・・・
「ごめんね」という機会と
「ありがとう」という機会を失ったんだよね