この学校は今年は六年生だけ一学級で他の学級は二学級づつあった。

「どうして、あなたたちは手に竹棒を持って 怒った顔をしているの?」

と聞くと

「僕たちは一年の時からずっと女の先生ばかりです。最後の六年では男の先生も持たれたいんです」

「僕たちは、このことを校長先生にお願いに行こうとしてるんです」

と五人とも息をせかせかさせながら言った。

「どうして、女の先生ではだめなの?女の先生はとてもやさしいのよ」

「でもね、美穂先生、女の先生は昼休みに遊んでくれないでしょ。僕たちが先生の言うことを聞かない時は、すぐにヒステリックになるんですよ」

「その時、僕たちはとっても嫌気になる」

と武、健太が不満そうな声で話した。すると志乃が

「男の先生は、大きな声で起こるが、しばらくすると笑顔になるんです」

とはっきり話した。

「女の先生は気分転換が遅いの、いつまでも胸に超えているみたいだよ」

 校内人事で、もうすでに学級担任も決定しているが、私が六年の担任だよと素直に言えず困惑した。

「まだ、六年担任は決まっていないが、もし、私が担任であればどうする?」

「美穂先生か、それは絶対に、嘘でしょう」

と言いながら、五人の子供たちは運動場の方へ走って行った。

 子供達がいっぱい明けた窓からかすかに潮騒が聞こえ、ほんのりと潮の香りのする南風が通り抜けてきた。美穂先生は、子供達の言葉が胸にじんときて不安を抱いた。

 

つづく