◎2月19日(月曜)(IE6クール21日目)


前回の最後のIE療法から、明日で丸3週間が経つ。

今までなら今日入院して、明日から抗がん剤だった。

抗がん剤が終わってしまったから、今は恐怖と不安が常にへばり付いてる毎日。

ずっと続けられる点滴の抗がん剤や飲み薬がある人はいいなぁ…羨ましい。


なんで私は横紋筋肉腫なんだろ。

確率的には宝くじに当たるようなもんだ。

自分に起こるはずないと思ってた事が起こってしまった現実と、胃カメラで異常なしと言われても、もっと早くに大きな病院でCTを撮ってもらわなかった自分の判断の甘さに、やり場のない気持ちがこみあげてくる。

そう考え出すともう止まらない。

どんどんマイナス感情に陥る。


癌になって、抗がん剤をやり続けて、出来なくなる事がどんどん増えた。

走れない。

速歩きも出来ないから急げない。

足先の痺れが酷くて感覚がない。

手摺りがないと階段の昇り降りが怖い。

小さい字が書けない。

片足立ちが出来ない。

1人で運転して遠出出来ない。

重い物が持てない。

ずっと立っていられない。

椅子に登れないから高い所の物が取れない。

休み休みじゃないと家事が続かない。

着替えは座らないと無理。

靴を履くにも座らないと無理。

でも座っちゃうと、立ちあがる動作がとにかく大変。 


…大した事じゃない。

困って生活出来ない訳じゃない。

まだ歩けてるし食欲もある!

そう思って、どうにか良い様に考えを持っていこうとしている。


でも、いずれ歩けなくなる時、食べられなくなる時が来る日を毎日想像してしまう。

辻井俊太郎さんが先日亡くなった。

美容皮膚科の女医さんも1月に亡くなった。

みんな順番に悪くなっていって亡くなってしまう。

私の番はいつ回ってくるんだろう…と常に考えてしまう。


抗がん剤の副作用で体は弱っても、心は元気な頃の私を忘れられないでいる。

ヨガに通う為にバタバタしながら家事を手早く済ませたり、長男&次男の野球に通ったり、毎朝ジョギングしてたり、「忙しい、大変!」と言いながらも仕事が好きだったり、空いてる週末は何をしようか考えたり、イベント事を計画してそれを楽しんだり、旦那と子供達の将来の話しをして、子供達の姿を想像して楽しみにしたり…元気な頃の私を忘れられない。

心は何も変わってない。

そこが辛い。

今を楽しんだり、先の事を考えたり、それが当たり前に出来る周りが羨ましくて仕方ない。

こうなってしまった事はどうにもならない、ならどうやって今を楽しむか?と思える日と、今みたいに絶望感いっぱいで過ごしてる日と、ぐちゃぐちゃな毎日を送ってる。


【運命には抗えない。それを受け入れて覚悟を決めることが難局を乗り越える方法】

…と誰かの言葉にあって、本当にその通りだなと思ったから、この言葉を忘れない様にメモしておいた。

でもそう納得したつもりでいても、毎日この通りばかりにはいかないんだよ。


安定剤と抗うつ薬は毎日欠かせない。


もう疲れた…。


子供達がもし居なかったら、メンタルが超弱々な私は、生きる事に白旗上げてた気がする。

抗がん剤を続けて辛い思いしてまで、生きてく理由が見つからなかった気がする。


昔、長男が10歳位の頃、長男のチック症状が酷くて病院を受診した時に先生から

「お母さん、子供が10歳になればもう子育ては終わりですよ。この子は放って置いてももう大丈夫です、ちゃんと育ってます。お母さんは自分の楽しみを見つけて自分の人生を過ごして下さい。」

と言われた事がある。

その時は子育てはもう終わりとはさすがに思えなかったけど、子供に執着せず自分を楽しもうと思った。

だから大好きなヨガを趣味にして、一生懸命通った。


今の私はどうやって自分を楽しむ?

先が無い、延命治療しかない私が何を楽しめる?

抗がん剤で体は弱る一方で、メンタルはキツくて、生きる事にもう白旗上げたいと思う時がある私だよ。

今の私は、自分の人生を生きる、自分の事を考える…というより、子供達の為に生きている。

ママがまだまだ必要だと思うから、ママの存在を近くに感じて居たいだろうと思うから、私が居なくなったら不便な事だらけだと思うから、子供達にそんな思いをさせたくないから、だからその為に生きている。


周りからは「子供達は大丈夫だから、自分の事だけを考えて。」と言われるけど、私が居なくなっても子供達が安心して過ごせる保障が100%あるなら、私は私の事だけ考えて過ごせるだろう。

でも我が家は私以外男3人で、女手がない。

母は高齢で、今こまめに手伝いに来てくれてるのも、やっとやっとの状態で来てくれている。

この先をあてには出来ない。

義姉が義父の様子を見に来るがてら、我が家の様子や子供達の事も気にかけてくれるけど、義姉にも自分の生活がある。

すぐ近くに女手がない…そこが1番心配なんだ。

家は町中から外れてるから、周りにスーパーはおろか、コンビニすら無い。

子供達が不便な思いするのが目に見えて分かる。

自分の事だけ考えてなんて過ごせない。


だから私は今、子供達の為に生きている。