行くしかないよね、ジャコメッティ展。このなんとも言えないフォルム。なにかを削ぎ落したわけでもなく、凝縮したわけでもない、以前はそんなことを感じていた気がしないでもないけど、今回はもう少し先へ思いいたり、これは作り手の感じたものがやっぱり分かりやすく提示されているだけだよねってことに気付いた。このしょぼくれ感的尊厳美。まさにアーティストのその時の内面と対象がリンクして、こうあるべきというような状態でしあがっている。提示したいことをそのまま素直に分かりやすく提示する、それができるだけですごいのに、それがこんなオリジナルな手法で提示されているなんて、ルーツとかも聞かされてしまうとさもありなんと頷いちゃう。すげー才能だわ。こういう人のことをアーティストっていうのだろうなあ。
先生、すごいです。
でもねえ、不思議と悲しいんだよなあ。尊厳美のように感じるものは生命が持つ根源的なところからくるそれであって、そんなものをさらけ出してしまっているその姿は、やはり正常ではなく、それは美しいどころか目を背けなければならないのかもしれない。でも、そこで背けさせない力強さはやはりそこに立っているからなのだろうなあ。直立して前を見ている。素晴らしい。