近況588.ウメコバ沢中央岩峰中央壁「凹角ルートに挑戦」 | 栃木県宇都宮市で攀じるパパクライマー

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 G.W.にウメコバ沢中央岩峰に始めて入って登攀してきたことは既に書きましたが、その際に登れば一人前であると認められるという代表的なルートがあると紹介しました。

 それが、今回5月下旬に、前回と同じ仲間と組んで挑戦してきた凹角ルートダイレクト(別名「大凹角」)です!!






 今回はカメラを忘れなかったので、出だしから画像付きで紹介できます。上がウメコバ沢の入口のF1。右のフィックスで登ります。ウメコバはここで落ちる人が多く本当に核心です。






 簡単だからと油断してしまうのでしょうね。






 F2とF3は巻いて






 目的の登攀エリアに到着です。ウメコバ沢出合から30分くらいで目的の登攀エリアに到着できます。凹角ルートを見上げて偵察します。

 さて、凹角ルートはトータル7ピッチ(①Ⅳ~Ⅴ-②V~V-③Ⅴ+~Ⅳ+④Ⅴ-⑤Ⅳ⑥⑦ザレ)で、核心はⅤ+が出てくる3ピッチ目。仲間にわたしが奇数ピッチでいいよね?と確認すると、え~話し合いましょうよ~と返ってきたので驚いた。なに~、それは無理だろう!どうやって諭そうかと考えていたら、あまり押してこなかったので、素直にわたしが奇数ピッチをできることになった。あービックリした。

 1ピッチ目を無難にリードし終えた感想は、特別プロテクションが取れないということもなく、岩が脆いということもない。確かに前回のウメコバ沢で抜けた右ルートとは比較にならないレベルだけれど、総じて難しいとうことはないかな。右ルートがグレードに比して簡単過ぎるのだと思う。






 仲間のリードの2ピッチ目。これが全然登れない。出だしのスラビーな壁に手がない足がないとオタオタしている。ふうふう言って結果リードできないから交代してくださいと下りてきた。なんだよそれ!上に抜けられないなら、右から行けば?と促して、右から回り込ませてみた。ルート的には凹角を出て画像右のカンテ上に出ないといけないはずだが、カンテ方面には仲間は到底いけない、ルートがない!と言い張っている。さらには、マジで落ちるかも、、、ハーケン打ちます!とガッガッと打ち出す始末。

 このレベルのルートでハーケン打つ必要があるとは思えないから、ルートを間違えているのではないだろうか。この愛おしき仲間はルートファインディング力に極端に欠ける。きっと弱点を見逃し難しく登ってしまっているに違いない。甲高い音をさせることなく、ハーケンは打ち終わり、それ効いてないから注意してねと下から声をかけかけ、仲間はそんなハーケンでも勇気をもらい、上へ上へと消えていった。ルートは右のカンテに出るはずだが、弱点をつきつつ左上というルート取ったようだ。うーんトポと違う。仲間は消えてからも上で時間をかけかけ、ゆうに1時間はかけて2ピッチ目を終えた。






 

 フォローでわたしも登りだす。特別難しく感じないがなんだろう。仲間のもとへ行くと、仲間は完全にひよっていた。



「ルート間違えたから帰りましょうよ」「もう怖くてリードできません」



 なに言ってんですか!大丈夫ですよ!大凹角方面に戻れるかもしれないし、それが無理でもわたしらの真上に向けて弱点のように見事にルートが走っているじゃないですか。これ登れますよ!行けなくなるまで登ってみましょうよ!



「いいですけど、わたしは本当に帰りたいですよ」



 なにいってんだ!ちくしょう、ここで帰る道理なんてないだろう。とにかく、ビレイだけはしっかり頼むよ!大丈夫だね?大丈夫だよね?















 つるべで行く予定でしたが、ひよった仲間はもうリードしないというので、わたしが残りの3~5ピッチ目をリードし、まっすぐにのびるルートをそのままザレまで上がりきったのだった。そこからはザレなので、落ち着いてきた仲間と山頂まで6ピッチ7ピッチとつるべでやって、正面壁完登成功。






 ルートは3ピッチ目の終了点に「正面ルート」と記載されていたので、なんらかしらのルート上を登っていたのは間違いない。大凹角ならいいな~と望みを抱きつつ取りあえず記念撮影。なんらかしらのルートは抜けられたし、仲間もおおいに勉強したはずだから、これはこれでよい登攀だった。組んでくれてありがとう。お疲れさまでした。






 さて、1度の登山から学ぶタイミングは3回ある。計画準備段階と実際の登攀、そして答え合わせである反省と総括。山行が成功しようと失敗しようと、自分のやった山を振りからなければ得るものは少ない。大事なのは登攀の結果じゃないと思う。次にどう活かすかです。

 なわけで、帰って実際自分がどこを登ったのか検証したら、どうやら凹角ルートは1ピッチ目しか登っておらず、2ピッチ目で左隣に走っている正面ルートに渡ってしまったようです。そして3ピッチ目からは正面ルートをきれいに抜けた。トポが掲載されている登山体系には、しっかりと凹角ルートの1ピッチ目終了点から正面ルートの2ピッチ目の終了点へ左上するルートが記載されていた。たぶんこれを登ってしまったのだろう。

 まあ実際のところは現場に戻ってみないことにはわからないけれど、目標としていた大凹角がこんなお手軽なルートでなかったと判明しただけでも収穫でした。失敗した残念さは当然あるのだけれど、それよりも、また大凹角に挑戦できる!というワクワクのほうが大きいかもしれない。

 今回の反省点は、かなり登れるようになっている仲間のオンサイト力という部分についての見誤りと、登るルート以外の正面壁の全体像をわたしが掴んでいなかったことのミスの2点かな。

 家に帰ったら、妻には2ピッチ目終わった時点で「帰りたい」と言い出している仲間とそのまま登攀を継続してしまったのは問題があるのではないか?との指摘を受けたが、そこは確かに他の仲間や後輩だったら下りていたと思う。だけれど、今回組んでいた仲間はもっとも多く登攀を共にしている仲間で、諸々知っているという前提のもと、その仲間の様子をふまえて行けると判断したのだから、そこは現場判断でしたというほかない。指摘は真摯に受け止めます。

 兎にも角にも、二人ともオンサイトトライだったからこそのミスで、こういうミスをしてこそ、成長はるというものだと、次回チャレンジへ繋ぎます。次は何時取り付けるかなあ、ワクワクするぜ!待ってろ大凹角!(おわり)



結果

1ピッチ 凹角ルート(Ⅳ~Ⅴ-)リード

2ピッチ 正面ルートへ左上 セカンド

35ピッチ 正面ルート(Ⅳ、Ⅴ、Ⅳ、Ⅳ+)リード

67ピッチ ザレ つるべ