北鎌尾根に求められているのは、体力の他に、読図力・ルートファインディング能力があげられますが、上画像のように山頂が見えているとかなり安心感があるので、心的体力に余裕がうまれます。
先に行ってる隊のトレースは数本あり、場合によっては千丈沢側、天井沢側の双方にトレースが付いていたりします。夏でなく残雪期だと、こういった場合どのルートにするかは自分次第の世界です。
独標から槍ヶ岳までで一番厳しいところをあげれば、上画像の斜面のトラバースでしょうか。雪も腐り始めていたので慎重さが求められました。
ともあれ、天気がよいので、みるみる変わる槍ヶ岳の姿に感動の連続です。子槍、孫槍、曾孫槍までくっきりと見えます。
圧巻の槍ヶ岳
北鎌平で一休みして最後の槍ヶ岳への登攀に向かいます。時刻は15時前。ここで幕営するという判断もあると思いますが、やはり北鎌尾根は1泊2日で山頂を抜けてこそと思うので、当然山頂へGOです。明日の天候が崩れるというのもアタックの後押しとなりました。
槍ヶ岳直下の取り付きはカニのはさみがあるので明瞭で、そこから3ピッチで山頂の祠脇にニョキッと出ることになります。残置支点もあるにはありますが、わたしたちは例の如く、トラッドスタイルでクライミングしました。
セカンドの後ろに登ってきた北鎌尾根が見えました。よくまあ歩いてきたものだなあと感無量。
有名なチムニーを1ピッチ目に登り、2ピッチ目はなんの難しいところもなく、3ピッチ目は山頂直下のチムニーをもう一度登りました。ここの祠直下のチムニーが一番難しいです。4級-くらい(ここは他の隊のトレースは巻いていました)。
そしてとうとう17時30分に槍ヶ岳登頂です。最後はガスが出てきて眺望は得られずでしたが、山頂にいた登山者の方々に凄い凄いと言われて大満足の北鎌尾根でした(笑い)。残された時間があまりないので、暗くなる前に槍ヶ岳山荘まで下りました。
ここかはら一般登山道とはいえ、梯子と鎖頼みの岩場です。慎重に下りました。
槍ヶ岳山荘に到着したのは18時30分前。かなり風がでてきており、北鎌平に幕営していたよその数パーティのことを思いながら、わたしたちはテン場に幕営しました。この日中に抜けられて大成功です。パートナーとがっちり握手。(3日目につづく)