清盛と義朝 10 | 玉木宏に萌えて ―腐女子の森―

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月明かりの下、義朝が乗って来た馬の手綱を取る。

「1人で来たのか、義朝?」

「いや…」

「ふん…、やっぱりヤツが何処かに控えているのか」

清盛が当たりをキョロキョロと見渡す。
人影は見えない。

「お前こそ1人で来たのか?あの控え目な……、盛国…だったか…、一緒では無いのか」

「義朝と二人で逢うのに何故家来を連れて来ねばならない?邪魔なだけではないか!逢瀬を邪魔するそんな無粋な輩は平氏にはおらぬ」

清盛はぷくっと鼻を膨らまし、そこらに潜む者に聞こえるように話す。

「ふっ…、妬いておるのか」

「やっ…、妬いてなぞ…っ…」

「ん?」

月明かりを映す美しい瞳が悪戯っぽく輝く。
その瞳にぼぅ…と魅入ってしまう。

「清盛…?」

「そ、そうじゃ!妬いて何が悪い!?そなたは俺のモノだっ!」

「……そのように声を荒げるな。子供か、お前は。それに逢瀬などと…、お前と俺は密会しているのだ。解っているのか?」

クスクスと自分を見つめて笑う義朝のなんと可愛らしい事か。
清盛は可愛い…の言葉をグッと飲み込んだ。

(可愛いなんぞとほざいたら、また頭を叩かれかねんな)

「清盛…、もう帰るぞ。次に逢うは……」

「次に逢うは…?」

清盛は目を輝かせて義朝を見た。

「分からぬ」

「へ…?」

「ではまた、な…」

ふっと笑い義朝は馬の手綱を引きながらその場を立ち去ってゆく。

「よ、義朝っ…!気を付けて……」

帰れよ、と言い終わる前に何処からか正清が現れて、義朝に付き従う。
チラリと正清が清盛を伺うその眼は鋭く光っていた。

「正清め…!この俺を牽制するか……!」

忌々しく辺りに生える草を蹴散らしながら、義朝の姿が見えなくなるまで清盛はその姿を見送っていた。


続く