アウシュビッツの心理学~世界ってどうしてこう綺麗なんだろう | 細胞アーティストOumaのアート活動記録

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そしてわれわれはそれから外で、
西方の暗く燃え上る雲を眺め、
また幻想的な形と青銅色から
真紅の色までのこの世ならぬ色彩とを
もった様々な変化をする雲を見た。
そしてその下にそれと対照的に
収容所の荒涼とした灰色の
掘立て小屋と泥だらけの点呼場があり、
その水溜りはまだ燃える空が映っていた。

感動の沈黙が数分続いた後に、
誰かが他の人に「世界ってどうしてこう綺麗なんだろう」
と尋ねる声が聞えた。


引用は
夜と霧 新版 V・E・フランクル

アウシュビッツに収容された人々にとって、
芸術や自然は極めて強烈な体験となったという。

空の色は毎日変わっているはずなのに、
美しいと感じる日と、ただ日が沈んでるなと感じる日が
あるのはなぜだろう。

フランクは苦役の中、愛する妻のことを想っていたという。

そして、愛とはその身体的存在とは関係なく、
愛する人の精神的存在と深く関係しているのだ、と言っていた。

フランクルが彼女を想い、想像の中で彼女と対話していた頃、
彼女はすでに殺されていて、この世にはもういなかった。

囚人の中には、かつて市電に乗って家に向かっていたこと、
家の電気をつけること、そういう思い出に浸って
涙をながすものもいたという。

また、いつの日か解放されるかもしれない日を
夢見て、期待に胸を踊らせ、そうして裏切られたことも
あったという。

人は、過去を今現在のように感じ、
まだ起こっていない未来を今のように想像し、
今までもこれからも存在しないことに
想いを馳せる。

世界を美しいと感じるのも、
ゴミのように汚く臭いと感じるのも、

どちらも等しく愛おしい。