今回の、お話はもう4年位前の事になります。確か・・・
12月総合病院で大腸癌の手術をし、当院に転院して来た80歳代の男性です。
この方は、妻、娘さん夫婦と同居。若かりしは、それなりの仕事で地位もあった方です。
術後、多分治療のため拘束をされていたと、推測します。認知症もかなりひどかったので。
当院に転院してきてからも、看護、介護拒否があり、早々にサービス担当者会議を行い暮に在宅へ
その時はまだ尿カテーテルが入っている状態でした。入院中は、歩行もできない状態であったのですが
自宅に着くと、車からほぼ自力で降り、ゆっくりではあるがチョットの介助で室内へ。
ニコニコして、ダイニングテーブルに座り「あー!!家はいいなぁ!帰って来たんだ!!!」と言い、とても穏やかな表情でした。私は、この時の彼の表情が忘れられません。
この後、色々なトラブル、状態の悪化や改善の繰り返しがありましたが、ディサービスに週3回程度通えるようになり、とても穏やかに生活を送っていました。あるときの訪問診療は、彼の家の周囲の散歩、お庭の畑の説明、
一緒にお茶おのんだり、お意気に入りの犬のぬいぐるみと遊んだり。こんな生活が2年位続きましたが、癌はまた着実に育っていました。食事摂取量も減り在宅で少しの点滴を行い酸素も導入しました。この生活が、約1ヶ月
その日がきました。彼のベットの周りには、彼の兄弟、子、孫たちの顔がありました。その中で静かに旅立ちました。とても穏やかでした。
その後、妻は当院外来に通院しています。たまたま彼女に会い、その後の生活や夫に対しての話を聞く機会がありました。「体は元気だよ。だけど、なんかスッキリしないんだ。何もする気にまだなれない。おじいさんの物の整理ができないんだ。」との事。夫婦の愛を感じました。心の整理をする時間は人それぞれ。私達は、その心にも寄り添って行けたらと思います。スッキリする時はいつになるのかなぁ。