【
住宅建築業界の職人さん】暑がりの私にとって､まるで地獄のような日々が続いています｡海で泳ぎたいですね～？(^_^;)
実は､姫路から山崎の事務所に行く途中で､毎日のように寄っているｺﾝﾋﾞﾆがあるんです｡ある日から､推定50歳くらいと思われる男性が､見習い店員としてﾚｼﾞに立つようになりました｡
私も何度か彼に､ﾚｼﾞ打ちをしてもらったんですが.....最初はﾚｼﾞの操作が鳴れていないので動作も遅く､おつりを数えたりする手も震えていたのを覚えています｡
”このご時世､もしかしたら何か事情があってｺﾝﾋﾞﾆに勤める事になった方かも知れない｡”
その不慣れな様子を見ながら､そんな事を私は考えていました｡ｺﾝﾋﾞﾆでの仕事を､とやかく言っているのでは ありません｡一般的に女性が多く､男性が店員でも学生さんが多いので...何となく事情がある方のように思えたのです｡
真相は分かりませんが､個人的に心の中で応援していました｡
そんな彼も徐々に仕事に慣れてきたようで､ﾚｼﾞでの作業もｽﾑｰｽﾞになっていき...｢ああ良かった～｣と思った頃に､こつ然と姿が見えなくなってしまったんです｡１ヶ月も居なかったのではないでしょうか？
どんな仕事でも一人前になるというのは”簡単ではない”と､改めて感じました｡
住宅の建築業界にも､新人さんがいます｡特に職人の世界では､何年間も厳しい修業をしなくては なりません｡親方や先輩から毎日のように教え込まれる､辛い中で耐えなければ成長が出来ないのです｡
それを乗り越えた者だけが､晴れて一人前になれます｡そして､そんな職人達に支えられて...弊社も住宅を建てる事が出来るのです｡
上の画像は弊社ﾓﾃﾞﾙﾊｳｽ【大正ﾛﾏﾝ邸】なのですが､この｢白亜の洋館｣の外壁は塗装職人の手によって仕上げられています｡その塗装屋さんに､ある若い職人が居るのですが...仮に｢Ｙ君｣とします｡まだ20代の彼は､本当に頑張り屋さんなんですよ～？
非常に努力家で､私が希望する”仕上げ方”を粘り強く研究してくれます｡例えばﾓﾃﾞﾙﾊｳｽの外壁に､こんな注文を出したのです｡
｢耐久性を考えて下地はﾓﾙﾀﾙにするけど､昔の”木で造った”ﾖﾛｲ張りの壁に見えるようにしたいから､木目みたいな筋を表面につけてね？｣
ﾓﾃﾞﾙﾊｳｽの外壁には吹き付けも出来るｽｲｽ漆喰を使用したのですが､それに刷毛で｢塗りﾑﾗ｣を残せと言っているのです｡実は､これって無茶な要望なんです｡何故なら､塗装屋さんは刷毛で塗った”跡を残さない”のが大切な仕事であり､技術なんですよ？ﾑﾗなく均一に塗装を仕上げます｡
にもかかわらず｢木目｣に見えるような”跡を残す”仕事を私に言われたんですから､困った注文でしょう｡
しかし､Ｙ君は頑張りました！私の事務所まで何度も来てくれ､ｻﾝﾌﾟﾙを出し続けたんです｡｢木目｣に見えると言っても､いくつものﾊﾟﾀｰﾝがあり...目の細かいもの､粗いものなど様々なｻﾝﾌﾟﾙを作ってくれました｡仕事の合間や休日を利用して､試行錯誤したそうです｡
そうして完成したのが､これです！ （＾－＾）
如何でしょう...下地はﾓﾙﾀﾙなんですが､木製の壁に見えませんか？Ｙ君が何度も研究してくれた｢木目｣が､見事に表現できてます｡【大正ﾛﾏﾝ邸】ですから､当時の雰囲気を再現したかった私には､本当に満足できる仕上がりなんですよ～！
言うなれば､住宅のﾏｼﾞｯｸｱｰﾄですね｡(*^_^*)
実は､実際の作業にかかる前に､何十回も練習をしたそうです｡かなり後になってから､Ｙ君の親方が教えてくれました｡塗装職人としての｢誇り｣を感じます｡全ての壁に綺麗な｢木目｣が造れるようにと､新たな技を磨いてくれたのです｡
私は､こんな職人さん達に恵まれている事に感謝しています｡
冒頭のｺﾝﾋﾞﾆに居た店員さんに､どんな事情があったのかは知る由もありませんが.....年齢に関係なく､頑張って欲しかったですね～？どのような業種でも､最初は見習いです｡
厳しい事や辛い事があると思いますが､とことんやってみなければ｢見えない｣何かも きっとあると思います｡
弊社には､Ｙ君のような努力家の職人さんばかりが揃っています｡私は住宅ﾃﾞｻﾞｲﾅｰですが､そんな職人達が支えてくれているから､思った通りのﾃﾞｻﾞｲﾝを描く事が出来るのです｡
そして実際に建てる事も可能なんですよね～？
<(_ _)> 本当に ありがとう！
【大正ﾛﾏﾝ邸】の外壁を普通に吹き付けでもしていれば､楽で早い仕事が出来たと思いますが.....｢木目｣に見せる手間から出てくる重厚感は､きっとなかったでしょう｡見た目は同じような｢白亜の洋館｣でも､全く異質な物に仕上がったと思います｡
長い修業と職人の誇りが､このﾓﾃﾞﾙﾊｳｽには沢山あるんですよ？
ﾊﾟﾀﾊﾟﾀｯと出来てしまう住宅とは､ひと味も ふた味も違います！ (*^^)v