夫のGIDの最終地点


そこにはもう到達している感があります。



戸籍変更を最終地点だと思われる方も多いかもしれませんが、夫の場合は違います。

男性として生きること、そしてそこに溶け込むことが最終地点でした。



治療に関して欲を言うなら、もっと先のオペまで…と希望していましたが、生活と現在の医療技術を総合的に判断した結果早々に断念をしています。




一般的に多い流れとしては

診断→ホルモン注射→男性化→胸オペ(ここは前後するかも)改名→性別適合手術→戸変

戸変までしても、男性として溶け込めない方がいるのも現状です。



夫の場合、時代背景的にちょっと特殊で

男性として人から認識される→ホルモン注射→更に男性化→胸オペ→改名→診断→性別適合手術→戸変

という流れでした。




当時は男性の服装や髪型をしているだけで、第三者から男性として認識されていました。

(ジェンダーレスという言葉すらない昭和〜平成初期ですから)



なので、学校の制服(スカート+ジャージ)を着ていても、学校外だと「ここは女子トイレだよ!」と注意をされるため、女子トイレに入れなかったそうです。



診断なしで、治療を始められる時代だったため

いわゆる自分史や内診、染色体検査は謎にパスされてます。

(ここは小声でするべき話かな…)



(今はジェングリとされてる)当時は単なる美容外科で胸オペをし、そんな見た目と経歴だったもので、一応美容外科での「性同一性障害の診断書」を提出して改名はすんなり通り、海外でのオペのために診断書を取る


…というかなり後付けで診断書を取得するという流れでした。



戸変までに10年ほどかかってますが、それは治療のためにかけた年数ではなく

社会的に男性として生活するためにかけた年数でした。



RLE(real life experience)

実際に望む性として生活していけるかという実生活経験のことですね。

夫の場合は、男性として生活していけるかの経験を積みました。



とうてい女性として働ける外見ではなかったので

すぐに男性として働いても良かったのですが、経験のない夫自身が不安を感じていたのです。



働き方を色々試していました。



【戸変前】

オナベという水商売をしていました。

同時並行して、一般職で働くことを始めました。



①上層部にだけカムして働く(バイト)

早々にアウティングされ、好奇の目を向けてくる人もいて、居心地は良くなかったそうです。

アンテナは貼りまくってるので、前日までとの接し方がガラッと変わるそうで、夫本人は「あー、これは言われたなー」とすぐに気付くそうです。



②カムせず男として働く(バイト)

ここで「あれ?わりといける?」と感じたそうです。



③最初から全員にカムした状態で働く(バイト)

男性ばかりの会社でした。

優遇されて入ったように見えたらしく、中には性別に関するいじりをしょっちゅうしてくる人がいて、居心地は悪かったようです。



④社長夫婦にだけカムして働く

良いご夫婦で、アウティングされることもなく、戸変前にも関わらず、途中で「それだと色々と不便でしょ」と保険組合に掛け合ってくれて性別欄を「男」となっている保健証を付与してくれました。



【戸変後】

⑤カムせず男として働く

「やっぱりこの働き方が一番自分には合っている」と確信したそうです。



そして現在は、収入や待遇面でより良い会社に転職しました。

内定いただくまでは、カムしていませんでしたが、大きな企業のためそうもいかず、入社前に上層部だけに元の性別についてお伝えしましたが、何も問題なく入社できました。

(後から伺うと、ドラフト1位採用だったそうです)


上層部と接することも滅多にない会社なので、入社後も現在もそのことが漏れていることが全くないそうです。



夫は上記の過程を経ています。




職歴が一見すると多いのですが、履歴書上ではそうでもないのがポイントです。



夫が一番避けたかったのは

「戸籍が男性だから、そう見えなくても男性として接しなきゃ」と、周囲の人に配慮させることだったのだと思います。


いくら元の性別が周りに知られていても、圧倒的なパス度で捩じ伏せられるようなタイプでもないので(参考→いぽさん 笑)



男性として周囲に違和感なく溶け込む

性別に関して配慮されない



これが叶っている夫は、元々の素質もあるのかもしれませんが、わりと努力や工夫もしてきました。

客観視されるような場所に身を置き、経験を積んだことも努力だと思います。

顔の骨格がうまく誤魔化せるような髪形をしています。



客観視と男性としての自信

これ、大事ですよー。



「戸籍が男だから、いくら男性に見えなくても男として扱ってもらう」という配慮をされることがイヤではない人にとったら、全然関係ない話です。

それを否定しているわけでもありません。




「夫の場合は…」というお話でした。