★ドゥーワップのビッグスターの登場
ロックンロール誕生と同じ年の1955年、ドゥーワップで最も売れたグループがメインストリームに登場します。
「ザ・プラターズ」です。
ご存知「オンリー・ユー」は55年に全米5位のヒットとなりました。
★オンリー・ユー / ザ・プラターズ (1955年全米5位、R&B1位)
同曲は、白人グループのヒルトッパーズがカバーしましたが、全米9位とプラターズを上回ることはありませんでした。(プラターズは一度もカバーに破れたことがありません)
●カバーバージョン
★1956年
プラターズの続くシングル「グレート・プリテンダー」で、ドゥーワップは遂に全米1位を獲得することになります。
●ザ・グレート・プリテンダー / ザ・プラターズ (1956年全米1位、R&B1位)
ロックンロール元年に続き、ドゥーワップもついに不動の地位を確立したのです。
★様々なドゥーワップグループの登場
プラターズは初期の頃はドゥーワップスタイルと言えましたが、徐々にゴージャスな曲を歌うコーラスグループに変化して行きました。
(これはリードボーカルのトニー・ウィリアムズの卓越した歌唱力ゆえと思います)
一方、1956年から様々なグループが脚光を浴び、またドゥーワップもよりキャッチーなものに変化して行きました。
その代表がこちらです。
●恋は曲者 / フランキーライモン&ザ・ティーンエイジャーズ (1956年全米6位、R&B1位)
その名の通り、ティーンエイジャーによるドゥーワップスターの登場です。
また、この56年は後世に語り継がれるドゥーワップの名曲が数々誕生しています。
●イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト / ザ・ファイブ・サテンズ (1956年全米24位、R&B3位)
この曲は1959年、1960年と、クリスマスシーズンの度にチャートに返り咲いた珍しい曲です。
●オー・ホワット・ア・ナイト / ザ・デルズ (1956年 R&B4位)
●ア・サウザンド・マイルス・アウェイ / ザ・ハートビーツ (1956年全米53位、R&B5位)
最後に紹介した4曲。
実は全て同じコード進行なのです。(いわゆる循環コード)
これもドゥーワップの特徴です。
ロックンロール曲もほぼ全てと言って良いほど同じコード進行ですが、ドゥーワップも7割は同じコード進行の曲と言っても過言ではありません。
このことが何を意味するか、、、
そう、誰でもオリジナルソングが作れるのです。
また1950年にソリッドエレキギターが登場したと述べましたが、当時の貧困層の黒人がそれを買うことは困難だったでしょう。
でも、ドゥーワップならば、仲間が四人集まれば良いのです。
街角でも、地下鉄でも、好きなところで歌うことが出来ました。
そして、ローカルヒットを産めばメジャーが取り上げて全米ヒットするという、夢のような時代がやって来ました。
人種に関わらず、ティーンエイジャーの誰もが、明日のスターを夢見る(夢見てよい)時代がやって来たのです。
chuma@WDRS