シーズン②(海外ドラマ風 笑)は、
1950年代初期から誕生前年の1954年までの間に、どのようにロックンロールが爆発して行く土壌が出来たのかを振り返ってみます。


★ロックンロールという「言葉」の登場

1951年7月に、DJのアラン・フリードによる「ムーンドッグ・ロックンロール・パーティー」というラジオ番組がスタートしました。

ここで初めて「ロックンロール」という言葉が世間一般に登場します。

この番組は白人音楽には目もくれず、ひたすら黒人のR&Bをかけ、若者に大人気となったそうです。

元々、ロック アンド ロールという言葉は黒人のスラングとして存在しましたが、世に広めたのはこのアラン・フリードであり、彼は、初めて黒人音楽をラジオで流した白人となりました。


★同時期に起きた革新

前回書いた1950年のドーナツ盤の登場により、レコードはティーンエイジャーでも買える値段のものとなりました。

R&Bをラジオで聴いて、シングルを買う。
このスタイルが出来上がったのです。

そして、これも運命的なのですが、この頃ロックンロール浸透に重要な2つの革新がありました。


●(ソリッド)エレキギターの誕生

従来までアコースティックギターにピックアップをつけるというスタイル(いわゆるフルアコ)はありましたが、この場合、中の空洞がハウリングを起こして大きな音が出せません。(これは実際、今でもそうです)

※世界最初の量産型フルアコ。GIBSON E-150。
1936年発売


そこで登場したのが空洞のないソリッドギターです。
1950年のことでした。

※世界最初のソリッドギター。FENDER エスクワイヤー。(テレキャスターの原型)
1950年発売。

これでロックの大音量を奏でる楽器が整いました。

このギターは製造コストを押さえるためにボディとネックをボルトで繋ぐという、今では当たり前だけど当時では考えられない荒業をやったそうです。

このためギターはティーンエイジャーでも手の届くものになり、音楽が「聴くもの」から「演るもの」に変わりました。

数々の若きロックンロールスターを生み出す土壌がこうして整って行ったのですね。


●テレビの普及

白黒テレビは1949年にアメリカで1000万台を超え、一気に広まったといいます。

また1954年にはカラー放送が始まりました。

このことが、パフォーマンスも魅せる、大スターの登場に繋がりました。

その第一号がエルヴィスプレスリーであることは間違いないのですが、それはまた後述することとします。


このように、ロックンロールは音楽的な進化だけでなく、それを普及させる数々のインフラが整って大きなムーブメントとなって行きます。


年を追って行くと

1947年→アトランティックレコードの設立

1948年→バックビートの誕生

1949年→チェスレコード(二大R&Bレーベル)の設立、テレビの普及

1950年→ドーナツ盤シングルの発売、ソリッドエレキギターの発売

1950年代初期→バックビートの普及

1951年→白人向けのR&B専門ラジオ番組のスタート

1954年→テレビのカラー放送開始

これら全てが同時期に起こっていることに、ロックンロールの運命を感じざるを得ません。


最後にそんな移行期のど真ん中。
1953年のR&Bのビッグヒット(7週1位)をお送りします。
●Hound Dog / Big Mama Thornton



この曲はご存じの通り、エルヴィスが1956年にカバーし大ヒットしましたが、エルヴィスがロックンロールとすると、ビッグ・ママ・ソートンのオリジナルは間違いなくR&Bですね。

グルーヴと、良い意味での泥臭さがあります。

僕はどちらも大好きです。

chuma@WDRS