"恐怖の帝王”逮捕 | ザッツ!談

"恐怖の帝王”逮捕

"恐怖の帝王”イラン人の麻薬密売ボスを逮捕
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/world/iran.html?d=15yomiuri20041115i406&cat=35

逮捕後のアジトへ潜入
路地裏パレス。そう呼ばれていた彼のアジトは都内某所の雑居ビルが立ち並ぶエリアにあった。駅そばの全フロア消費者金融の入っている古いビルと、風俗店と英会話教室が入っているビルの間の細い路地の奥にあった。幅約70cm、元レスリング選手の彼がどんな姿勢でこの路地を通ったのかはわからない。

路地を真っ直ぐ進むと突当りに灰色のドアがひとつある。アラビア語でなにか書いてあるが薄く消えかかっていて読み取れない。ドアのそばに密売人らしい2,3人のイラン人が座り込んでいる。こちらを見てもなんの反応も示さない、恐怖の大王が逮捕されたことで安堵感と仕事を無くした絶望感の両方なのだろう。

ドアを開けるとそこは8畳ほどの広さの正方形の小部屋になっていた。入口のドアのほかにドアはない。ビルのほかの場所に通じる出入り口もない。なぜこの部屋がここにあるのかは謎である。しかし外界との接点を断ち切り、隠れるには絶好の場所であることは間違いない。この部屋に多いときは80人も集まっていたというのだから驚きである。

低い天井の真中には派手なシャンデリアがかかっている。床には分厚いペルシャ絨毯がひかれている。部屋の角には聖書が数冊、アラビア音楽のCDが数枚散らばっていた。右側の壁には大型のSONYの液晶テレビ、左側の壁には写真と新聞の切抜きが貼り付けられていた。新聞は彼がイランで逮捕されたときに記事のようだ。

そして部屋の奥には、真っ赤な革張りの一人がけソファーが置いてある。背もたれには大きな象が彫られている。恐怖の大王はここに座っていたのだろう。ソファの横のサイドテーブルの上に大きなサファイアの指輪と三日月型の短剣がおいてある。密売人を脅すのに使ったあの短剣だ。

ソファの後ろにCDプレイヤーがあった。再生ボタンを押してみた。テンポのいいアラビア語の歌謡曲が大きな音で流れた。赤いソファに座ってみた。足を組んで、右手の中指にサファイアの指輪をはめた。三日月型のナイフを手に取り刃先で顔をなでた。身体の奥から力が湧いてくるような気がした。ギラギラした目が突然心を支配した。

はっと我に返り、ナイフを投げ捨てサファイアの指輪を外した。さすがは恐怖の大王と呼ばれた男の持ち物だ。強い思念が染み込んでいるのだろう、危うく彼の意志に飲み込まれるところだった。そしてCDを切り、部屋を後にした。



話しは変わるが、恐怖の帝王と呼ばれるのと夜の帝王と呼ばれるのでは、やはり夜の帝王と呼ばれるほうが恥ずかしいと思う。