環境問題を語ろう

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先日の天津での事故を見るにつけ、

「先進国とは何か?」ということを改めて感じさせられた。


今の中国は国内総生産ではすでに日本を抜き世界第2位にはなった。

しかしその過程でいろんなひずみも出ている。

今回の事故もそのひとつだろう。


「後発国の優位性」

中国が折に触れて発してきた言葉である。

先進国がこれまでに踏んできた失敗の轍を、

「後発国は避けて通ることができるから早く発展できる強みがある」との意味である。


しかし中国は先進国の失敗の轍を本当に避けようとしているのか、

今回の事故からそれが極めて疑わしく思えてきた。


日本はかつてひどい公害に悩まされてきた歴史がある。

これについてよく学び、この轍は踏まないこと、このことは大切である。

しかし中国は本当にそれをやろうとしているのか?


天津の事故の内情が少しずつ明らかにされてきている。

事故現場の「浜海新区」には、シアン化ナトリウムをはじめとする危険物が大量に保管されていたという。

その保管場所に隣接する形で住宅地が作られていた。

そして、シアン化ナトリウムは水と接触すると引火性の有毒ガスを発生させるにもかかわらず、

爆発時の消火活動で消防隊は「放水」したという。

さらには、「シアン化ナトリウムには放水してはいけない」ことを、消防隊は知らなかったという。

これがすべて事実とすれば重大な過失である。

「人命軽視」「防災管理能力の欠如」「人災」のそしりを受けても仕方ないだろう。


危険物の扱いは大体どの国でも法定基準があり、それは厳格な遵守を求められる。

その基準はだいたい、各国のこれまでの事故や失敗の教訓から制定されたものが多い。

もちろん中国にもその関連法はある。

おそらくその関連法は、中国の特許法がそうであるように、

いわゆるグローバルスタンダードに添う形で決められたものであるはずであろう。

しかしそれが結果としてまったく機能していない。


かねてより私が感じてきたことだが、

中国は、先進国の所有する技術や設備類をそのまま自国に持ち込めば、

たちまち自国も先進国に仲間入りできる、という重大な勘違いをしているようである。


技術や設備は、それ自体単独では本来の機能を発揮しない。

それを適切に管理できるマネジメント能力が伴わなければだめである。

マネジメント能力は、一種の思想であり、右から左に伝授できるものではない。


どうも中国は、たとえ国内でインテリとみなされている層であってもこのことを理解しない人がほとんどであるように思えてならない。


法体系にしてもそうで、いくら厳格な規定を設けても、

実効性を持ってそれが遵守される仕組みになっていなければ、

今回のようなことは起こる。


あくまで私見だが、「先進国」たる条件とは、

「マネジメントシステムを実効性を持って機能させる能力を持った国」ということを含むのではなかろうかと思っている。


その意味では、たとえ経済統計上は豊かな国になったと言えども、

中国はまだまだ後進国である。(あえて「発展途上国」と言わない)


中国はこれまで、類似の環境事故を何度も起こしている。

彼らの持論「後発国の優位性」を発揮できているとは到底言えない。


本当の先進国になりたいなら、今中国がやらなければならないことは、

「実効性あるマネジメントシステムの構築」であろう。

今回の事故から、少なくとも労働安全衛生、環境保全、防災については、

今の中国は「先進国」を名乗るには力量不足と言わざるを得ない。


「実効性あるマネジメントシステムの構築」のために何をやるべきか、

それは彼ら自身が考えることである。

そして、国際社会は中国が本当にこのことに気がついたとき、

そのときにこそ惜しみなく支援を与えるべきである。