放逐!(修正版) | RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

RINの奇妙な恋愛 ~The strange tale of romance ~

こンな髪形してますが、アラフォーのおっさんです。
このブログでは、過去に体験した奇妙な恋愛話を綴ってます。
一部不快な表現も含まれておりますので、予めご了承ください。

『ほらネ。アタシのアイディア、バッチリだったでショ。うふ♡』


――あかン。このヒトには何も逆らえない・・・



帰宅

昨日の深夜、私はカラダ中に縄痕を付けられ、ヘナタトゥーで刻印を付けられた後、眞知子サマから解放された。
シャワーはプレイのあとに部屋で浴びて帰ったので、帰宅してそのまま布団に潜り込んだ。
今朝は少し早めに家を出て出社し、そして今夜は11時30分ごろに帰宅した。
この時間だと、家族は全員すでに寝入っているからだ。

食事は外で済ませてきたので、帰宅してすぐに「こっそり」と風呂に入った。

タトゥーを消そうと思い、かなり強めに擦ったが、昨日よりも黒くさらに濃くなったそれは、一向に落ちる気配が無かった。
縄痕は少しはマシになったが、乳○の周りの黒い痣は昨日よりむしろ酷くなっている。

その時、家の電話に着信があった。

――こンな遅くに誰からだろう

家の者が目覚めやしないかと焦ったが、着信音が4回目くらいで止まった。
どうやら誰も起きていないようで、電話の主も諦めたかに思えた。

それから、消し落とすコトを諦めた私は、バスルームの中であらかじめカラダを拭き、そしてこっそりと脱衣所に出た。
ところが、私が脱衣所で髪を乾かしていると、いきなり扉が開いた。

――あっ!

油断していた私は全裸のままだった。
カラダを隠そうにも隠す場所が多すぎて、思わずその場にしゃがみ込ンだ。

――全身の刻印はこのタメだったのか・・・

扉を開けたのは妻で、何事か私を詰るコトを強い口調で、しかし、小さな声で言っている。
私はしゃがみ込ンだまま、眼を閉じて妻が去るのをじっと待ち続けた
それは、ホンの少しの時間だったと思うが、私にはとても長く感じられた。
しばらくして、私の無反応な態度に諦めたのか、妻は荒々しく扉を閉めて立ち去った。

――見られた。もう何も言い訳できない・・・

縄


服を着た私は自分の寝室に入り、とりあえずスーツを2着とYシャツを数枚、そのほか身の回りの物をスーツケースに詰め込ンだ。

そして、こっそり自宅を出ようとすると、後ろから妻の声が聞こえた。
慌てて私がドアを閉めると、妻がドア越しに強く、しかし静かに叫ンでいる。

用件は、「電話の件が事実だったのなら、もう帰ってくるな。しかし、生活費は自分でなンとかするように。離婚するならそれ相応のモノは頂くが、もう顔も見たくない。」という内容だった。

今はどの会社もそうであるように、私の会社も社員の給与を銀行振り込みにしている。
そして、その口座の通帳とカードは妻が管理しているため、私は身一つで放り出された格好だった。

――ま、当然やわな。自業自得、かぁ・・・

細々とやっていた副業のヘソクリでとりあえず当座のカネはなンとかなりそうなので、今はとにかくこの場を離れるコトにした。

それから私は、秘密の部屋に向かって歩き出した。
終電車も終わっているが、歩いても3駅程度。
これからのコトを考えながらトボトボ歩いた。

夜道

――あれ?電気がついてる。

眞知子サマがこの部屋に来るのは水曜と土・日のみで、あとはホンのタマに金曜日のお店の帰りに来る程度だった。
今まで月曜日に来たことは無かったハズ。
不審に思いながらドアロックを開けて部屋の中に入ると、そこにはやはり眞知子サマがいた。
灰皿にある煙草の吸殻の本数を見ると、だいぶ前から来ていたみたいだが、満面の笑みで私を迎えた。

『どうだった? 作戦大成功でしょ! でしょ、でしょ♡』

――まさか? 風呂に入った時の電話って・・・・

私の脳の回路はもう何かを考えるのを止めたようで、そしてカラダ中のチカラが抜けたのか、リビングに入った途端に荷物を離してその場にヘナヘナとへたり込ンだ。
考えるのを止めたはずなのに涙が勝手に溢れてきて、両頬をつたって流れている。

『リン、どうしたの? どこか痛むの?』

俯いて首を振る私に、眞知子サマは優しく囁きながら近づいてきた。
そして、私を背中からキツく抱きしめながら、優しく甘い声で囁く。

『大丈夫。これでリンはアタシだけのモノ。もう、誰にも渡さないカラ♡』

――逆らったところで、このヒトには敵わない。このヒトには何か恐ろしいチカラがある、はずだ。へンに逆らったらタクヤの二の舞や。

そう観念した私は下手にモノを考えるのを止め、眞知子サマが私に飽きるまでの間、眞知子サマの愛玩動物になる覚悟を決めた。

期限はいつまでか分からないが、たぶンそう長くない自信はあった。
なぜなら、私はカネも地位も無い、そしてジャニーズ系でもイケメンでもないからだ。

開き直った私は少し微笑ンだようで、それを見た眞知子サマは自分に都合の良い方に勘違いしたのか、私を前から抱きしめて濃厚なキスをした。

『これからは、ずっと一緒にいられるネ! アタシ、今、とっても嬉しいわ♡』

私の両頬を挟ンで、じっと私の眼を覗き込む眞知子サマの両眼は、とても嬉しそうにキラキラしている。

――どうせ半年も持たンやろ・・・

自分で自分を値踏みした私は、それでもちょっと余計に見積もって、半年と値を付けた。
しかし眞知子サマは、私の見積もりとは違うコトを言い出した。

『勤め先はしばらく今のままで良いわヨ。そうネ、今年いっぱいってトコかしら。だ~いじょうぶ、アタシとリンはずっと一緒だから。安心してネ♡』



つづく