animism online さま 全文転載です。
千葉県立中央博物館 で開催中の
『生物多様性1:生命(いのち)のにぎわいとつながり 「虫, 魚, 鳥, ・・草, 木, ・・・人」
その素晴らしさを,親から子へ,そして孫へ』
の関連企画(市民企画展)として、
本日より20日まで、
残土・産廃ネットワーク・ちばとして
「美しい里山・脅かす産廃・残土の現実」という展示を行う。
山砂採取から、残土・産廃の問題を可能な限りわかりやすく提示したつもりだ。
メインの企画展も素晴らしい内容なので、お近くの方はぜひ。
房総半島の山々は、けっして高くそびえるものではないけれど、
太古からの母なる地球の営みの
結果として今ここにあります。この山々は、生きているすべての者たちの命を守り、
育て、賑わいを今日まで繋いできました。
しかし、同時に良質な山砂を産出することとなり、開発至上主義と、建てては壊すスクラップ・アンド・ビルドのコンクリート文明、
大量生産・大量消費の裏側で、
房総の大地と自然は傷つき、採取のためにズタズタに切り刻まれ、
無惨な姿を見せています。
水、土壌、空気、気象、生物、食物を通じて私たちにも大きな影響を及ぼしています。
長い長い時間をかけて育まれてきた房総半島の大地、自然、
そして暮らす私たちの営みが、わずか40年間で、
12億トンの山砂が採取され、
東京湾の埋め立てや首都圏のビルの建設に使用されるという愚行によってその姿を変え、
失われようとしています。
県内から山砂が運び出されるかわりに、
県内外から驚くほど大量の、残土や産業廃棄物が運び込まれています。
以前あった山と同じ大きさの廃棄物の山が築かれ、
生態系や水脈の変化、水質汚染、など生活に欠かせない
問題が深刻化の様相をおびています。
山砂採取によって姿を消した富津市浅間山のとなりに鬼泪山(きなだやま)という山があります。
一万年のサイクルで永続的な文明を築いてきた先住の蝦夷の長・阿久留王の最期の地として語
り継がれてきました。鬼泪山の「鬼」とは、阿久留王のことにほかなりません。浅間山・鬼泪山・鹿野山と連なる山並みが、
かつては鹿野山系として関東三霊山に数えられていました。
今、この鬼泪山に広がる国有林が、山砂採取によって消滅の危機にさらされています。
地球という惑星の大気が、ブラジルの熱帯雨林によって支えられているように、
都心から僅か50㎞の近さにある鬼泪山の森林が、
首都圏に暮らす3000万の人々の健康や環境を支えています。
子や孫、さらにその子や孫たち・・・へ続く世代のためにも、
短期的な利益を追求するのではなく
本当に大切なものが何かを一緒に考えていきましょう。
今回の展示が、長い時間をかけて育まれてきた房総半島の大地や自然と、
この大地に石器時代から営々と続く私たちの暮らしのありかたを、
今一度考える機会になればと思います。