6億6千万円~人形峠のウラン残土運搬 | DownToEarth

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京都大学原子炉実験所 小出裕章さんの講義より
※新溶融炉に投入される予算など、無尽蔵に湧いてくるマネーの事がどうにも不思議で
講義内容とは主題が少々ずれております。

【あとで寄って見てください】PEACELANDさん記事



●原子力発電の原料となるウランは 以前 日本国内でも採掘されていた。
その場所は岡山県と鳥取県にまたがる人形峠です。




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●1954年に人形峠でウラン採掘が始まるが、およそ10年経った頃ここでの採掘は採算があわないとして、
採鉱作業は中止になりました。

【参考】 ウラン採掘と人形峠旧ウラン鉱山<原子力資料情報室通信 1997年10月号>


●その後に現場に残されたのは 掘り起こされた大量のウラン残土。
開放されっぱなしの抗口や 積み上げられ放置されたままの残土からはラドンやラジウムの放射能が
放出され続けています。

その残土の全量 450,000㎥

●その土地の村人は閉山後、ウラン精錬工場、濃縮工場を受け入れるしかなく、
残された残土の処分をめぐって、国や行政と闘う力は残されていなかった。
唯一 方面(かたも)集落の人たちは国と闘った。

●紆余曲折の後、最終的には鳥取県の支援のもと、
国(採掘当時は動力炉燃料開発事業団、以降→核燃料開発機構→現原子力研究開発機構)
を相手取り裁判を起こし、残土45万㎥のうち290㎥を撤去することを実施させた。


●その撤去先は アメリカ ユタ州のホワイトメサ精錬所。
フォーコーナーと呼ばれるアメリカ先住民の土地である。




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●6億6千万円というのは ホワイトメサの精錬所へ残土を運ぶのに要した費用。
税金。
精錬させて商業用に転換できたのは 100万円程度の価値の量の抽出ウランだったらしい。


●方面(かたも)集落との訴訟の間、控訴、上告で判決を引き伸ばす間に支払った賠償金は
1億円近くにのぼったとも聞きました。
(・・・命のことをお金に換算して賠償するという価値観自体いつからできたんでしょか。)


6億6千万と推定1億というお金は 旧科学技術省 現文部省予算から捻出されたものだそうです。


日本で原子力産業に使われる年間予算は 
500,000,000,000円(5千億円)だそうです。


●小出裕章先生 講演レジュメ
「愚かな原子力利用 人形峠の放射能汚染とそれに抗した人々」(2004年9月)


【参考】人形峠環境技術センター