大ファンなふたりの講演が デュエットで聞けるというイベントがあり
おもしろかった。
お二人とも関西人。
まず人を喜ばせる っていうサービス精神は 仏教で説くところの「利他心」に通じるんでしょか
お二人とも 現場でたたきあげられて築いたキャリア。
大学にも 専門学校にも通ったわけではなく
現場で大工さんに 怒鳴られながら仕事を覚えたのだそう。
お二人とも人間主義。
「モノ」ではなく 人間、そこに発生するコミュニケーションを
一番楽しんでいらっしゃるような気がします。
お二人とも 改革者だと、感じます。
森田さんは最近 有名女優さんとのご結婚で 話題になった方です。
トークのテーマは「デザインとホスピタリティ」
以前から まったくブレないのですが
「かっこいい店をつくることは嫌い。
流行(はやり)の店は流れていく。
経年変化を楽しめ 新しいカルチャーを創れる店」
を創る というのがポリシーだそう。
お客さん目線でモノを考え、自分がお客さんだったら こういうお店に行きたいな~
っていうものを創るんだそうです。
これからのモノ創りは 「人に優しいこと」がテーマになっていくでしょう と。
環境に良いというだけでなく、色々出てくる工業製品を見極めないと、とおっしゃっていました。
安藤さんのトークは めちゃめちゃ笑えます。
笑いたくなったら聞きに行こう と思うくらい。
建築は独学なのだそうですが
ちゃんと勉強していた友人に
「建築をやるなら ヨーロッパを見ておいた方がいい」
と言われ
1960年代 まだ海外旅行が全然一般的でない時代に
ヨーロッパ~アジア~アフリカを旅行して廻ったのだそうです。
マルセイユからムンバイへ向かう船の上で
他国から来た 同年代の人達と巡り合わせ
やることがないから 赤道至近を航行中の船の上で みんなで座禅を組んでいたのだそうです。
赤道至近なので みんな次々に倒れていき ついには安藤さんも倒れるのですが
そんな船の上で安藤さんに見えたのは
「地球は大きい」
「地球はひとつである」
ということだったそう。
1969年には 大阪市に仕事のプレゼンに行き
屋上緑化を提案したそうです(もちろん却下)
それからも安藤さんの仕事は 常に環境に逆らわないものを創っておられます。
最近は「海の森プロジェクト」を立ち上げており
東京のごみの島を 森にしようというもの
詳しくはこちら
http://www.uminomori.metro.tokyo.jp/
私も よく研究してから 参加しようかと思ってます。
またニューヨークのWTC跡地に 何を作るかというコンペティションに参加なさった話も
安藤さんの 「まともさ」がよくわかるお話で
提案されたのは 古墳型のモニュメントだったそうです。
「あんなたくさん 人が亡くなったところに また建物なんかつくるべきじゃない。
同じようなものつくっても またアタックされますよ。
古墳をつくったら”おーアメリカは凄いな、と。経済世界一の国が 世界の経済をつくってる場所に
あんなものつくりおった。”ということになるとプレゼンしまして、
で コンペの内容は 大統領までいきまして
あの方(ブッシュ)頭の良い方ですから もちろん駄目でしたね(苦笑。」
それから
毎回 講演会でうれしそうにお話になるのは 初期に設計した
「住吉の家」
これが不便で不便で 評判が最悪なのだそう。
2Fの寝室で寝ていて 夜トイレに行きたくなった場合は
いったん表に出て 別棟まで行かなくちゃいけないプランなんだそう。
でも不便の中に見つかる 夢や楽しさを評価してくれる人が何人かいて
その一人が サントリーの佐治さんで
サントリー美術館の設計を任されたのだそう。
これは私もとっても共感できるんです。
不便なことが どんなに人間力を成長させるか
こちらの施主が
「安藤さん 不便でまいっちゃうよ~」
と泣きつくと
「体力を落とす暇がなくて いいじゃないですか」と
切り返すそうです。
この「住吉の家」の1分の1スケールの模型展示が
10月3日から乃木坂の ギャラリー間http://www.toto.co.jp/gallerma/ で始まります。
最後に残したメッセージは
「これからは お金を稼ぐのはなかなか難しい世の中になるけれど
好奇心と感性で 楽しい人生を送ることはできる」
とおっしゃたのが印象的でした。
まさに 人間力を磨いてください
というメッセージだと感じます。