
今から30年前。
モーさんの友達に歌舵日狩(うただひかり)という男がいた。
歌舵日狩(うただひかり)はガチに歌が上手く、
カラオケ大会ではほとんど優勝するほどやった。
そんな歌舵日狩(うただひかり)やったけど、
バブル崩壊から来るリストラによる生活苦から、
ナンとかして臨時収入を得たいと思ってた矢先、
“高杉開発のど自慢大会“という催しが、
九州で行われることを知った。
優勝賞金が1000万円と高額やったことから、
歌舵日狩(うただひかり)は知人友人に金を借りまくり、
九州行きの旅費にした。
のど自慢当日。
とある市民センターで、
オーケストラ囲む中、
高杉開発のど自慢大会が行われた。
最初の人物がステージに立ち、
「高杉開発の歌をお願いします」と言った。
すぐに、
オーケストラのひとりが横笛の前奏をすると、
こののど自慢参加者は、
詩吟調に、
「🎤タカスギ~タカスギ~タカスギ------」と唄うんやった。
歌舵日狩(うただひかり)は驚いた😳
聴いたこともない歌やった。
後で、
高杉開発の社歌(九州地区限定テレビCMソングにもなったというらしい)やったことを知る。
しかし、
歌舵日狩(うただひかり)は、
微小な音程のズレを感じて、
自分の優位さを確信した。
ところが、
次の参加者も、
「高杉開発の歌をお願いします」と言い、
横笛の前奏から、
「🎤タカスギ~タカスギ~タカスギ------」と詩吟調に唄うんやった。
次の参加者も高杉開発の歌やった。
怪訝さマックスのところに、
歌舵日狩(うただひかり)の番が来た。
歌舵日狩(うただひかり)はイマのヒット曲である、
スピッツの『ロビンソン』を唄った。
オーケストラの生演奏が歌舵日狩(うただひかり)を気分良くさせた。
歌舵日狩(うただひかり)の次の参加者がまた高杉開発の歌で、
ついに、
残り全ての参加者が高杉開発の歌で終了した。
(アンと😳オーケストラ演奏は歌舵日狩の『ロビンソン』のみというミョーなのど自慢大会でもあった)
歌舵日狩(うただひかり)は優勝する自信があった。
スピッツの唄う癖を研究して、
万全の体制で『ロビンソン』を完璧に唄いこなしたからやった。
なのに、
優勝は、
最初の高杉開発の歌を歌った参加者で、
歌舵日狩(うただひかり)は準優勝さえ逃してしまった。
そして他の参加者と一緒に、
参加賞の高杉開発パンフレットをもらったが、
超ギレ🤬した歌舵日狩(うただひかり)は、
審査員に詰め寄り、
「俺のどこが問題や⁉️」と怒鳴った!
審査員長は、
「この大会は、高杉開発のど自慢大会です。高杉開発の歌以外のものは審査の対象にはなりません」と説明した。
歌舵日狩(うただひかり)はガックリやった。
よくよく考えて、
普段ならのど自慢大会参加費が発生するところを、
高杉開発友の会に入るだけで、
無料参加やったところから怪しく思うべきやった。
ステージで優勝者が、
「優勝賞金1000万円は高杉開発に寄付します」と言ってるのを聞き、
歌舵日狩(うただひかり)は心に、
「こんな会社潰れろ」と思った。
こののど自慢大会の10年後、
高杉開発は倒産した。
(高杉開発のことは直接的には全く知らんけど、業務内容に悪評を聞かない。むしろ評価が高く、開発業としては一流の会社やったという。それで惜しまれて倒産したということは事実やと思う。欲に目が眩んで間違ってのど自慢に参加した方が悪い。高杉開発の神的なところは、審査の対象にもならない『ロビンソン』を生演奏してあげたということやと思う。が、レフティは、高杉開発の歌専門のど自慢なのにナンでオーケストラがいたのかと疑問符付けている)