カイくんが運転する車に乗っていたヨウイチとアキノリくんは、
蛍動画を撮りに田舎へと遠出した。

が、
全く知らない田舎に着いた3人は車から降りた。
そして昼間にも関わらず、
この田舎は完璧に静まり返っていた。

そこに、
目が虚ろな年寄りが達が体をゆすりながらゆっくりと歩いてきた。
ヨウイチは、
「確かこの田舎の近くに化学薬品の工場があったよね。アレのせいだと思う」と言ったので、
アキノリくんは、
「車に戻ろうぜ」と呼びかけた。

すると車の横からひとりの目の虚ろなジジイが歩いてきて、
ヨウイチの手に噛みついた!
3人が絶叫すると、
老人達は怯んで、
元来た道をヨタヨタしながら帰っていった。

ヨウイチは噛まれた手を押さえ、
「ぼくを置いて走って行け!」と言った。
カイくんは戸惑いながら、
「けど------お前------」と口ごもりながら言った。
ヨウイチは、
「ぼくももうじき奴らと同じ体になる。そんな姿をお前らに見せたくないんだ。お願いだから行ってくれよ」と弱々しく言った。
カイくんとアキノリくんは目に涙を浮かべながら、
「お前のことを忘れないよ」と言って、
車に乗り込み、
走り去った。

しばらくして、

車中の2人は考え込んだ。
アキノリくんは、
「ナンかおかしくないか?ニンチの入ったジジイに噛まれただけだろ?」と言うと、
カイくんも、
「俺らサイレント・ヒルのやり過ぎでお年寄りをゾンビだと思い込んでしまった」と反省した。
それで、
当然ながら、
さっきの田舎へと車を戻すことにした。

そして、
ヨウイチを探し回る際に、
田舎の食堂で、
窓越しに、
ヨウイチが年寄り達に、
山海の珍味をご馳走になっているところを目撃した。
中からは、
「認知症が多い田舎なんです。噛みついたりして本当に申し訳ございません」というお詫びの声に対して、
ヨウイチの声が、
「でもみなさんは高度成長期を支えられた方々じゃないですか?そんな恩義のあるみなさんだったらぼくは百万回噛まれても構いません」と答えた。
すると嬉しそうな年寄り達の声が、
「好きなだけお食べください。そして商品券をたくさんお渡ししますのでお友達の方とお分けください」と響くと、
ヨウイチの声が、
「ぼくはその友達に置き去りにされたんです。だからこの商品券はぼくだけのものにします」と聞こえた。
年寄り達の声は大きく、
「あなたはナンて賢いんだ!それにさっきのお友達の方よりハンサムだ!」と響くと、
ヨウイチの声はうれしそうに。
「みんなそう言うんですよ」と答えた。

カイくんはアキノリくんに、
「呆れたぜ。後であの薄情さを白状させてやる!」と言うと、
アキノリくんは、
「それよりも殺そうぜ」と答えた。