小説をよく読むよーって人でも、若い人だと江戸川乱歩は読んだことがないよって人が多いんじゃないかなと思います。
私も20歳過ぎてから読みました。
知っていても機会が無いんですよね。
難しい本かもという先入観もあるかもしれませんし、古いというイメージもあるかも。

そんな感じで敬遠してた人にお勧めの江戸川乱歩作品がこちら。

江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)

屋根裏の散歩者、人間椅子などをはじめ、有名な作品ばかりが収録されてます。
まずこれを読めば江戸川乱歩の作風をなんとなく理解できるようになるでしょう。

私の好きな作品は最初に収録されてる二銭銅貨。
読んだ感想は「江戸川乱歩ってひねくれたおじさんだなぁ」でした。
ひねくれてて、上手い。

この短編集のどの作品もちょっとひねりを加えられたオチが待っています。
どれもうなっちゃうような珠玉の結末です。
人間椅子とかね、女性ならよけいに寒気がするような展開で……最終的に安心半分、そうきましたかという関心半分のため息が漏れるでしょう。
それくらい上手い。

上手いといえば、文章も上手いんですね。
とても読みやすい文章です。
細やかな所まで気を配ってる印象の文章は研究されたものなのか、生まれながらのセンスなのか判りませんけど、ライトノベルみたいにスラスラと読ませてくれます。

江戸川乱歩って全集なんかも出てるんですけど、個人的に長い作品は無駄に長い印象を受けます。
短編を無理矢理中編に水増ししたような。
全部がそうなわけではありませんけど、そういう傾向は他の作家より強い気がします。
短編のインパクトが大きいからかもしれませんけど。
そういう意味でもこの短編集はお勧めです。

江戸川乱歩に興味があるけど今まで見てなかった、どれを読んだらいいかわからない。
ちょっとインパクトのある、作家の才能にやられちゃうような作品が読みたいという人にはお勧めです。


◆江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)