(ジャーン・・・)

タエコ「朝起きたらこうなってたの」

父「朝、起きたらって・・・どうして・・・?」

タエコ「わかんなぃ・・・はじめは顔だけだったの。でもだんだんひどくなって・・・。ねぇ、お父さんどうしよう、こんなんじゃ外出られない」

父「変身・・・」

タエコ「だからカフカって言ったの。カフカの書いた小説の主人公は、朝起きると毒虫になってたのよ」

父「でもお前は毒虫じゃなくて・・・アニメになった・・・」

タエコ「朝起きたらいきなり顔だけアニメになってたの・・・」

父「なぁ、ちょっと・・・歩いてみてくれるか?」

タエコ「ぇ?歩くの?何で?」

父「あぁ、いいからちょっと」

タエコ「分かった・・・」

(ピョコ、ピョコ、ピョコ・・・)

父「やっぱり・・・。じゃ今度はお父さんのこと、叩いてみてくれないか?」

タエコ「叩くの?」

父「ぅん、軽く、軽くな・・・」

タエコ「じゃぁ・・・叩くわよ。・・・えい」

(ポコンッ)

父「・・・完全に、アニメの音になってる」

タエコ「そんなぁ~、さっきまでこんな音じゃなかったのにぃ・・・」

父「アニメーション化が進んでいるんだ」

タエコ「ねぇ、お父さん、私どうしたらいいの!?」

父「とりあえず医者か・・・いゃ、それよりも~スタジオジブリか・・・。いっそのこと、アニメと医者の併せ技でブラックジャクなんてのはどうか・・・」

(炎)(ゴォォォォ・・・・)

タエコ「ふざけないでよ!」

父「怒るな!アニメのヤツが怒ると炎が出る。か、火事はまずい・・・」

タエコ「だってぇ・・・」

父「なんかイマイチ緊張感がないんだよな・・・。平面的だし、髪の毛青いし、それになんか・・・目がでかすぎないか?顔の半分ぐらいあるぞ?」

タエコ「アニメだからしょうがないのだ」

父「はっ、ついに声まできたか・・・」

タエコ「あれれ?お父さん耳がチャンチャラおかしいのだ」

父「えぇ~?」

タエコ「あぁ、大丈夫だ。何でもにゃい」

父「何だよ・・・?」

タエコ「今横向いたとき、右の耳が半分欠けて見えたんだな~」

父「・・・それはポリゴン欠けだ」

タエコ「へ?」

父「実はお父さんもカフカなんだ。ただ私の場合はアニメじゃなくて・・・CGになってしまったんだ」

トキノミノル作「カフカ(後編)」

出演 入江崇史・雨蘭咲木子