(クラッカー)(パン、パパン・・・)

友人達「27歳の誕生日おめでと~」

マモル「いやぁ、ありがとうみんな~」

男友達「27といえば人生を決める分岐点だろ~。どうすんだよ、マモル?ジミヘンだってジャニスだってカートコバンだって、みんなみんな死んじゃった歳だからなー」

女友達A「ところでマモル君、市役所からきた~、アレ?」

マモル「えぇ、あれって?」

女友達B「やだ・・・、知らないの?私は先月だったんだけどパスしたわ」

女友達A「そういえばシンゴ君やばかったらしいよ」

マモル「おぉ~ぃ、何の話だよ?・・・市役所から何かくんの?」

女友達B「御触書きよ~」

マモル「何それ?」

女友達A「・・・ちょっと、本当に知らないの?おめでたいわね・・・。生きるか死ぬかの瀬戸際よ。27歳の誕生日を迎えた3分の1ぐらいが、ふるいにかけられるって噂なんだから!」

男友達「ヤスシもユタカもみんな逝っちまったからな・・・」

マモル「えぇ・・・アイツら死んだの?ここんとこ見ないと思ったら・・・」

女友達B「早くうち帰った方がいいよ、絶対きてるはずだから」

マモル「何だか分かんないよ~、どういうことだよ?」

男友達「とにかく早く帰れよ。今夜のパーティーはマモルがパスしてから仕切りなおすからよ」

マモル「わ、わかったよ・・・」

(ドア)(バタン)

マモル「ただいま~」

母「(焦)あ、ぉ、お、お帰り。あぁ・・・早かったのねぇ~」

マモル「ねぇ、母さん。市役所からなんかきてた?」

母「(焦)え、ぇ、えぇ、何にも・・・」

マモル「おっかしいなぁ~、みんなそう言ってたんだけど。生きるか死ぬかの瀬戸際とか・・・」

母「ねぇ、ね、ね、(コホン)ねぇ~、マモル?はぁ・・・今夜、母さん、せ、赤飯炊いたんだよ。それからお前の好きな納豆のハンペン巻きと、それから里芋の煮っ転がしと、アイスの天ぷらと、それから・・・(泣)」

マモル「ど、どうしたんだよ、母さん」

母「(泣)だ、ダメだったんだよ、お前~。学力不可・体力不可・性格判定できず・社会的貢献度不可・総合判定将来性ナシ、よって処刑だって・・・。何か一つでも可があれば、お前だって良いとこ、いっぱいあるっていうのにねぇ・・・(号泣)」

マモル「何の話だよ~」

イイジマタカコ作「27歳」

出演 入江崇史・雨蘭咲木子