昨日の「趣味どきっ!源氏物語の女君たち」は

女三宮の回だった。

この姫は、

光源氏の兄朱雀院の娘で

朱雀院は結婚相手を探していたところ

光源氏に白羽の矢がたったわけだが

断ろうと思えば

断れたはずのこの結婚を

承諾してしまった理由の一つは

『藤壺の宮の姪だから藤壺に似てるかも』

という妄想によるもの。

この期に及んでまだこんなことを考えるか?

しかし、実際に結婚してみたら

藤壺には似ても似つかない未成熟な少女だった。

そりゃそうだよ。だって14歳だし。

勝手に妄想して勝手にがっかりしている。

そんな源氏に読者もがっかりする。

源氏はがっかりしたかもしれないが

女三宮も40歳の男の人は

父親くらいの年齢なわけだから

かなりの違和感はあっただろう。

でも内親王の女三宮は運命にさからうこともできず

光源氏も女三宮を訪れる機会が減っていき

やがて、柏木との密通事件→懐妊につながっていく。

女三宮は

未熟で教養がなく配慮がない女性のように描かれているが

実際の彼女が

何を考え

何に苦しんでいたかは

あまり描かれていない。

 

そして、この結婚がきっかけで

紫の上は病に伏していき、

女三宮は

不義の子を産むことになり

源氏は

昔、自分が犯した罪を

因果応報という形でふりかえらざるをえない状況となる。

とはいえ、

最初から、女三宮を粗略に扱っていたのだから

源氏に女三宮を責める資格もない気がするのだが

女三宮は自分の罪にも

自分の産んだ子に対し冷たい源氏の態度にも

絶望し

出家する。

こうして源氏によって

不幸になっていく人間が

またひとり、ふたりと増えていくのである。

 

女三宮の降嫁がなければ

六条院というハーレムで安寧な晩年を

過ごせたかもしれないのに、

なぜ・・?

と思うが

『なんでこんなことを』ということを

人は時々してしまうし

『なんでこんなことに』というできことに

人は時々出くわしてしまうものなのかもしれない。