Eテレ「趣味どきっ!~源氏物語の女君たち」の

昨日の放送は

朧月夜の君と

朝顔の君の回だった。

番組で指摘されてはじめて気づいたけど

ふたりの名前は

一方は夜。もう一方は朝。

対極にいる存在なのだ。

朧月夜は

源氏の政敵である右大臣の娘であり

兄の朱雀院と結婚する予定の女性。

絶対、好きになってはいけない相手なのに

互いに恋に落ちる。

朝顔の君は

父である帝の弟の娘で

源氏とはいとこ同士。

源氏とは手紙のやり取りはするし、

好きな思いは無くもないが

決して、なびかない。

六条の御息所の悲惨な状態を伝え聞いて

自分は決してそうなるまいと決意する。

そして一生独身を貫く。

 

自らの煩悩のままに

つきすすむ朧月夜と

理性で自分の身と心を守る朝顔。

 

どちらが幸せなのかは

人それぞれの捉え方次第だけど

不思議なことに

本能のままに生きる朧月夜を

朱雀院は許し、

静かに愛し続けるのだ。

あんなに大胆な裏切り方をされたのに。

それほど

朧月夜は魅力的な人だったのだろう。

 

朱雀院の誠実な愛し方と比べると

源氏の愛し方は

朧月夜を都合のいい女と

軽んじているようなふしがある。

 

それをわかっていて流されてたのかもしれないが、

流されるのもすさまじいエネルギーがいる。

でも、ただ流されたのではない。

後年、朧月夜は突然出家を決意する。

 

源氏は驚いて

「回向の際には私の事を一番に祈ってくださいますよね」

と手紙を書くが

朧月夜は

「回向はすべての人のために祈るものなのであなたのことも祈っておきますね」

という意味の返事をさらりと返す。

つまり

いろんな人の事を祈るついでにあなたのことも祈っとくわ!という意味にも

とれるところが

皮肉っぽくて痛快である。