刀削麺じゃなくて麻辣烫だったのにな・・・ | 小松拓也オフィシャルブログ「小松拓也の中国記」Powered by Ameba

刀削麺じゃなくて麻辣烫だったのにな・・・

僕が住んでいる上海の家の近所にはとってもおいしい刀削麺が食べられるローカルのラーメン屋さんがあります。



ここのお店には白く長い髭を生やしたおじいちゃんがいて、他にはその子供夫婦と思える成人男女と更にその子供であろう幼稚園児ぐらいであろう男の子と女の子がいつもお店にいて家族みんなでお店を切り盛りしています。




味も凄くおいしく評判もなかなかでお昼や夕飯時は空席がないほどいつも混雑しているお店です。



僕はこのお店の常連でありしょっちゅうこのお店の刀削麺を食べに足を運ぶんですが、実はここ最近始めた「自分探し」を実践する為、



「新たな自分を探す為にはいつもと同じ行動ばかりしていては駄目だ!」



という事で、この刀削麺が食べられるラーメン屋さんのすぐ先にある麻辣烫屋さんに足を運び、普段は食べないものをあえて食べてみる事でどんな自分を実感出来るのか?




そんなくだらない事を実践してみる事で新たな自分を探せるのかどうかを試してみる事にしました。








でも・・・




結論から言うとこの実験は失敗に終わりました。




と言うのも僕の家から歩いて麻辣烫屋さんに行くには必ずいつも通っているラーメン屋さんを通らなければなりません。



当然それは分かっているので駆け足でラーメン屋さんを通り抜け麻辣烫屋さんにたどり着いた僕です。




でもちょうど僕が着いた時、お店には数人のお客さんが順番待ちをしていて並ばないといけない状況でした。




仕方ないので列の一番後ろに並び始めて素通りしてきたラーメン屋が少し気になったので後ろを振り返ってみると・・・




なんと!!!




あの白髭のおじいさんが思いっきり首だけをお店の外に出して驚いたような丸い目で僕をじーっと見ているではありませんか!




今まで1年以上ラーメン屋に通っておじいさんを見続けてきたけど、あんな表情をしたおじいさんの顔は初めて見ました。




その目は



「何故いつものようにうちのラーメンを食べに来ないで隣のお店に行っているんだ?」




まさにそんな疑ったような驚いたような目でどことなく悲しい顔にも見えました。







何だかあの顔を見たら心が居たたまれないような気持ちになってしまい、結局僕は麻辣烫屋に並ぶのをやめラーメン屋さんに足を向けたのです。




僕:「すみません。刀削麺1つ。」




おじいちゃん:「あいよー!刀削麺1つねー。(中国語)」







その声は何だかどことなくいつもよりも元気なおじいちゃんの声だったのです。









言うまでもなくおじいさんと僕はただの客と店主と言う関係です。


今までろくな会話もした事がありません。


それでもしょっちゅうお店に通う中で何だか少しだけこのおじいさんに愛着を持っていたのも事実です。







いつもと違う行動を取っていつもは食べないお店で食事をしてみるといういつもの自分とは少しだけ違う変化を望んだ僕だったけれど、結局それは失敗に終わりました。




でも




その行動を取ろうとした途中経過で自分の変に義理堅い人情っぽさを再確認した僕です。



僕っていうやつはこういう変な情に何だかメチャクチャ弱いんですよ・・・。







強気であの時麻辣烫を食べる姿勢を貫くべきだったかな?



それともおじいちゃんが喜んでくれたんだからそれで良かったのかな?








何だかはっきり言ってどうでも良い事で考えている自分にふと気が付いた時、思わず自分がおかしくなって笑ってしまいました。








少なくても僕は情や縁というものをこれからも大切にする人間ではありたい。



だから・・・








もし次に麻辣烫屋に食事に行こうと思った時は敢えて反対の道から回り込んでラーメン屋の前を通過せずにお店にたどり着くようにしよう。




また新たに1つ、自分という人間が見えたような気がします。(笑)