ジル・ド・レェ



17世紀のフランスに実在した貴族にして軍人


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貴族に生まれフランス軍元帥であったジル


フランスがイギリスと100年に渡り戦を繰り広げた

「百年戦争」


イギリスにより多くの領地を支配されて


残る重要拠点オルレアンが陥落すればフランス滅亡の危機だった


そこに1人の少女が現れた


ジャンヌ・ダルク




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フランス東部の小さな村 ドンレミにて農家を営む夫婦の間に生まれ


10歳の時、神の声を聴き始め


17歳で神の声に従い村を出てフランスを救うため立ち上がる


イギリスの猛攻により権力を失っていたフランス国王になるはずだったシャルル王太子



シャルルに謁見を願うジャンヌはドンレミ地方を守る軍隊長 ボークリュールを頼り紹介状を書いてもらいシノン城にて会うことが叶う


だがイギリスからの暗殺者、神の声を聴いたジャンヌを警戒した家臣たちはシャルルにジャンヌと会うことを反対


シャルルは家臣1人を指名して自らの衣を着させて玉座に座らせ身代わりを立て自身は家臣に紛れ隠れる


もしも神の使いなら偽者と見抜くはず


シャルルはジャンヌを試す


シャルルを装う身代わり家臣に対面したジャンヌ


即偽者と見抜いた


そして家臣に紛れ隠れるシャルルを見つけた


その奇跡を見た時からジルはジャンヌを聖女様と崇拝し始めた


オルレアン解放戦には常にジャンヌの傍に付き従うジル




オルレアン解放を成し遂げたジャンヌ



「オルレアンの乙女」と呼ばれる


ジルも「オルレアンの英雄」と呼ばれフランス1番の大貴族になった


歴代フランス国王が戴冠式を行うランスの地もイギリスから取り戻し


ジャンヌはシャルルを見事、フランス国王へ導き


シャルルは正式なフランス国王

シャルル7世となった


ランスの大聖堂は希望の光に満ち溢れた


皆、この時の光を忘れなかったであろう

特にジルは。


(真ん中で旗を持つのがジャンヌ、右側の鎧姿の背をした者がジル)


ジルにとってジャンヌは希望だった


だが、その希望が絶望に変わる時が来た


シャルル7世が誕生してもイギリスの猛攻は続き


フランスの村々はジャンヌに救援を求める


ジャンヌは村々を救うため戦い続けるが


シャルルの裏切りにより


ジャンヌはイギリスに捕らわれ


イギリスで異端裁判を受ける


本来なら身代金を払い救出を試みるがシャルルはジャンヌへの救出活動を一切しなかった


滅亡しかけたフランスを救い、自身も国王にまでしてくれた聖女様ジャンヌをシャルルは見捨てました。


1431年5月30日


ジャンヌは火刑にされました。



享年19歳


ジャンヌの遺体は燃やされた後


更に燃やされ灰にまでされ


灰はセーヌ川へ流されました。



ジャンヌは真っ当な埋葬をされず


少女に敗れたという事実を消したいイギリスの策略により


魔女、異端者として抹殺されました。


ジャンヌの救出を試みたジルでしたが叶わず


ジャンヌの死後


ジルは歪み始めていく


どんなに巨万の富を得てフランス1番の大貴族になっても


ジャンヌを失った悲しみは癒えなかった


次第にジルは黒魔術に嵌りこんでしまう


黒魔術の悪魔を崇拝し始め


その悪魔の力でジャンヌを甦らせようとしたか


ジルは自らの居城 ティフォージュ城に近隣の子供達を誘い出しては虐殺を始めた


殺戮された子供たちは何百人を越す


歴史上初のシリアルキラー(連続殺人鬼)となってしまったジル


童話「青髭」のモデルにもなりました。


ジルは逮捕され


1440年10月26日


絞首刑となりました。




ジャンヌを崇拝し


彼女の死後、歪んでしまったジル


だが彼の処刑も決して殺された子供たちへの罪の裁きではなく


ジルの領地や財産を得たい人間たちの欲望による略奪を目的とした処刑だったようです。


ジャンヌを崇拝する者同士


ジルの人生は分かる


俺も同じ時代のフランスに居たら


同じことをしていたかもしれない。


せめて天国で



ジャンヌと会い


救われたと願いたい。