【熱エネルギーと戦争】
総じて、今までのエネルギー概念は熱エネルギーをいかにして利用するかの模索する歴史であったと言って良い。
熱エネルギーは爆発燃焼するエネルギーであり、使用の仕方によれば兵器となって、人類を燃やし破壊してきた。
エネルギーの発達の歴史は工業もさることながら、戦争の巨大化の歴史とも言える。
核エネルギーの発見は広島長崎の原子力爆弾の悲劇を生んだ。
熱エネルギーの使用は鉄の加工やゴミ処理には必要だが、人類の生活における発電や、移動の為の自動車などで石油の使用が未だ行われている。
石油利権の奪い合いにより戦争が繰り返され、便利と言うより一部の利権を持った人間には都合の良いシステムに組み込まれているだけにすぎない。
この熱エネルギーが中心の世界に、新たなエネルギーの誕生がある。
それは磁気エネルギーである。
次号ではこの磁気エネルギーに関してレポートする。
今回は熱エネルギーの人類の歴史をもう一度まとめて、振り返ってみることにしたい。


1.【石炭と石油の誕生】
【石炭】
石炭紀(345百万年前から280百万年前まで)の森林にはシダ植物の巨木が生い茂っていたと考えられており、その代表的な植物は、レピドデンドロン(Lepidodendron)で、高さ30m、直径2mもあった。
これらの植物は、造山時代のように、地表のはげしい隆起運動によって、深く土にうもれ、酸素とほとんど触れることなく、腐らずにそのまま石炭(化石)になったものもあるが、湿気の多い大森林を形成していた植物の残骸が腐って、泥炭をつくり、やがて石炭層に変化したものもある。



【石油は祖先の遺体】
石油は海底にプランクトンの死骸が蓄積したものが無機分解(空気の無い状態で分解される反応)で液化したものだという説が多く見られるが、実は石油産出国のほとんどは昔は海底ではない場所がほとんどである。この謎は未だに通説されてはいないが、大陸に住んでいた人間や動物が何らかの天変地異(核爆発?)により大量の土砂に一気に埋まり、無機分解された物とみるのが自然であろう。
現在使用している石油は昔大量に死んだ人類や動物そのものであり、それを燃やして現代の工業や生活があると考えると何とも言えない気分になる。
中東に石油は大量に見つかるが、かつてこの地で核戦争の舞台となったソドムとゴモラがあったとの言い伝えはこの事実を証明している。



2.【石炭利用のはじまり】
ギリシャでは、紀元前4000年頃、すでに鍛冶屋の燃料として利用。
中国では、紀元前3000年頃、陶器造りの燃料として利用。
日本では、紀元前189年に、神功皇后が、今の福岡県で、「燃える石を焚いて御衣を乾かした」との伝説があり、歴史に残っている記述では、587年、越後の国から天智天皇へ、「燃える水(石油)と燃える石(石炭)の献上」とある。
1855年に三池炭鉱大ノ浦の開発が開始。
1868年(明治元年)には、機械化された高島炭鉱が開鉱しました。
1874年(明治7年)出炭統計は21万トン。


3.【石炭の時代(産業革命から第2次世界大戦)】
1750年、競馬界に今も名を残すダービーがコークスを原料とする製鉄炉を発明。
木炭で制約を受けていた製鉄所は、石炭で大規模化の道を歩みはじめた。
1769年、ジェームス・ワットによる蒸気機関の発明は石炭を燃料とする動力革命をもたらし、この蒸気機関を利用してフルトンは汽船を運航し、スチーブンソンは蒸気機関車ロケット号を走らせた。
紡績などの機械工業の急速な発展、鉄道や汽船による輸送手段の発達、これらの素材としての鉄鋼業の大規模化、そして、これらの燃料や原料として石炭の大量生産・大量消費へと進んで行った。
第2次世界大戦の直前には、石炭は世界のエネルギー源の約80%を占めるまでに拡大し、まさに「石炭の時代」となった。



4.【石炭から石油へ(第2次世界大戦から石油危機)】
第2次世界大戦が始まり、「石油の時代」がやって来た。
石油は液体であるため、輸送や貯蔵に便利なうえ、
1950年代には、中東やアフリカで相次いで大油田が発見されたこともあり、エネルギーの主役は石炭から石油へと移って行った。
いわゆる“流体革命”である。大量に安く供給された石油は、各種交通機関、暖房、火力発電などの燃料として、また石油化学製品の原料として、飛躍的に消費量が増えることとなる。
しかし、1973年と1979年に発生した2度の“オイルショック”によって、石油という単一のエネルギーに、あまりにも頼りすぎたことによる問題も認識されるようになった。

5.【中性子は賢者の石~原子力核エネルギー】
21世紀は中性子の発見により、人類は核エネルギーを手にした。
石油や石炭の燃焼で得られる化学反応のおよそ300万倍に相当する膨大なものである。
さながら中性子は莫大な熱エネルギーを生み出す賢者の石と言っていい。
核エネルギーには核分裂と核融合とがある。
【核融合】
核融合とは重水素(普通の水素の2倍の重さの水素)と三重水素(リチウム)が反応しヘリウムと中性子に分解される際に熱エネルギーが放出される反応であり、太陽内で今も起こっている反応である。ヘリウムは安全であり、中性子も水素原子を大量の含む低放射化材料で対処可能である。
現在の核分裂を利用し、有毒な廃棄物を排出する原子力発電とは比べものにならない。
重水素は海中に無賃増にあり、リチウムも鉱山から取る分には有限だが、海中にも無賃増に存在する。
原子核内の陽子と中性子は+の陽子同士が互いの磁力で反発して離れようとするが、
パイ中間子[パイ粒子、パイオン/Pion]というまた小さな粒[素粒子]が相互につなぐ引力となって原子核を安定化させている。
原子核の安定性は、陽子、中性子の数と深く関わっており、特に原子核を安定にさせる数(魔法数)が存在する。
それをいとも簡単に崩壊させる事のできるのは、+でも-電荷でもない中性子である。
静電気力による反発を受ける荷電粒子に比べて容易に原子核内に入り込むことができる。
ウラン235の原子核の磁気バリアに中性子をシュートすれば中に入って中性子を2つ外に放出させる事ができる。まるでビリヤードのボールが互いに衝突するように。
中性子は電荷を持たない為、発見が遅れた。
中性子は電荷は持たないがあたかも惑星の様に自ら自転しており、この自転エネルギーをスピン角運動量(spin angular momentum)単にスピンとも呼ぶ。



【核分裂】
現在存在する原子力発電はすべて放射能廃棄物を生産するリスキーな核分裂を使ったものである。

【ウラン原子の核分裂】
天然ウランには、核分裂を簡単に起こすウラン235と起こさないウラン234、ウラン238が含まれている。ウラン235に中性子を一つ吸収させると、ウラン原子は大変不安定になり、二つの原子核と幾つかの高速中性子に分裂する。

[天然ウランに含まれる原子の種類は以下の3つ]
ウラン234: 核分裂を簡単に起こさない
ウラン235: 核分裂を簡単に起こす(核分裂性物質)
ウラン238: 核分裂を簡単に起こさない

234,235,238とは原子核内の陽子と中性子の数の合計数である。
この内ウラン235は陽子と中性子のバランスが悪く、崩壊しやすい。

中性子を吸収したウラン235が、クリプトン92とバリウム141に分裂するが、
235や92,141という数字の意味は原子核内の陽子と中性子の和の数であり、
235→92+141=233
あきらかに2つ足りない。この足りない分は放出された高速中性子の数であり、熱エネルギーである。
この中性子が別のウラン235に再び吸収され、
新たな核分裂反応を引き起こすことを核分裂連鎖反応という。
核分裂連鎖反応は指数関数的に反応し、この相乗効果が爆発的なエネルギーを生む。

この連鎖反応をゆっくりと進行させ、持続的にエネルギーを取り出すことに成功したのが現代の核原子炉であり、この連鎖反応を高速で進行させ、膨大なエネルギーを一瞬のうちに取り出すのが原子爆弾である。