【エネルギー史#1】
原発問題を定義する為に、エネルギーの時代による変換を時代別にまとめてみようと思う。
人類のエネルギー開発の流れを追ってみる。




【17-19世紀は蒸気機関~石炭の時代】

17世紀後半にパパンとホイヘンスによりピストン型エンジンの原型が誕生。
エネルギー源として熱エネルギー(当時は蒸気)の膨張と収縮力の力でピストンの直線運動だけであったものを、18世紀にスコットランドのワットはクランクシャフトを使用して回転運動の変換に成功。レシプロンエンジンの原型が誕生し、19世紀 蒸気自動車と蒸気機関車の登場となった。
17-19初頭は蒸気機関スチームパンクの世界である。
熱エネルギーによる圧縮~収縮の力を利用している点は現代のガソリン車と何ら変わりない。



10-70年 古代アレクサンドリアの工学者・数学者であったヘロン(10年頃 - 70年頃)が考案したさまざまな仕掛けの中に、「ヘロンの蒸気機関」と呼ばれるものが存在する。これは、蒸気を円周で回転力を得るものである。これが記録に残っているものとしては人類史上に蒸気機関が登場した最初のものであるとされる。
ヘロンの描いたアイオロスの球は、世界初の蒸気機関または蒸気タービンとされている。
アイオロスはギリシア神話の風の神である。
$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-アイオロスの球


【往復動型機関の最初の記録は振り子時計の発明者】
1680年 オランダのクリスティアーン・ホイヘンスは火薬を使って動力を発生させる考えを発表したと伝えられる。ホイヘンスはピストンと真空を熱機関として利用しようとする祖と認められている。
(1657年クリスティアーン・ホイヘンスによって振り子時計が発明された)
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$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-ホイヘンスの振り子時計



【ピストン型蒸気機関の祖ドニ・パパン】
1695年 フランスの物理学者ドニ・パパン(Denis Papin)は蒸気を使った最初のピストンエンジンを試作した。蒸気が液化することによって気圧が減少するという現象を利用することにしたものであった。これは、実験には成功したものの実用化はなされず、ドニ・パパンは貧窮のうちに死亡したと伝えられている。ドニ・パパンはホイヘンスとも親交があり、ホイヘンスの案を試作し検証したものの、当時の技術では火薬の燃焼、ピストンや不還弁の製作は難しかった。そのためパパンは直接火薬を燃やすことではなく、外部で発生させた蒸気によって圧力を高める蒸気機関とした。火薬の燃焼の代わりに蒸気を 使う点を除けば、ホイヘンスのものと変わらない。


$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-セイヴァリ蒸気機関
【セイヴァリの実用的な蒸気機関】
1698年 イギリスの陸軍大尉で発明家のトーマス・セイヴァリ(Thomas Savery)は鉱山から排水する初期の蒸気機関の「鉱夫の友(セイヴァリ機関)」を開発し、国王の前での実験に成功し、英国で特許を取得した。このポンプはピストンを用いず蒸気の圧力による排水を行い、蒸気の凝集による負圧による揚水を繰り返すものである。


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【ニューコメン式の往復動のみの蒸気機関】
1705年 イギリスの発明家・企業家であるトーマス・ニューコメン(Thomas Newcomen)はセイヴァリの蒸気機関の改良により実用的な蒸気機関を作った。ニューコメン蒸気機関は、英国では炭鉱の水を抜き取るための排水ポンプ用途に使用された。
1712年 ニューコメンは鉱山の排水用として蒸気機関を製作した。
ここまでの蒸気機関は、往復運動をそのまま直線的動力として利用するものであり、しかもその力は往復以前に往だけの片道通行の利用だった。

$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-ワットの蒸気機関
【ワットの往復動蒸気機関】
$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-ワット
1769年 スコットランドの数学者・エンジニアであるジェームズ・ワット(James Watt)は新方式の蒸気機関[往復動蒸気機関]を開発。英国で特許を取得した。これは本格的な回転動力の実用化に至る道でもあった。産業革命・工業化社会の原動力になるとともに、燃料である石炭を時代の主役に押し上げた。
【ワット。ピストンの往復の動きを回転運動として利用した最初のエンジンを開発】
1769年 英国でワットの元で働いていたウィリアム・マードックが遊星ギアを利用して回転運動を得ることを着想し、蒸気自動車を作成した。ワットらはクランクシャフトを利用したかったが、同時期にクランクシャフトは特許がすでに取得されており、その使用にはワットの蒸気機関の特許との交換条件を持ち出されたために使用しなかった。遊星ギアはクランクシャフトに比べて往復運動の回転運動変換の効率が悪く、ワットは後年、特許使用可能になったクランクシャフト方式に乗り換えている。
$Takuya Angel official blog「Yamato-Den」Poweed by Ameba-1848年蒸気機関
力の単位であるワット(watt,記号:W)とは仕事率や電力をあらわすSI(国際単位系)の単位であるが、蒸気機関の発展に大いに貢献したジェームズ・ワットにちなんで名づけられた。
1765年に蒸気機関を発明した際、仕事量を数値的に表せる単位を決める必要があった。ワットは馬に荷物を引かせ、33,000ポンド(約15トン)の荷物を1フィート(約30cm)引ける力を1馬力と定め、力の単位を設けた。

【キュニョーの砲車】
1769年 世界初の蒸気自動車はフランスで考案された蒸気動力の牽引車、キュニョーの砲車である。これはピストンロッドの先のクランクにラチェットを用いて回転運動に変換するものだった。
ナポレオンは対英国のために米国フルトンの蒸気船を利用しようとしたがアカデミーに否定され、その後、北欧を掌中に収めるためにキュニョーの蒸気車で馬に代わって軍需品の輸送を目論み、軍司令官に命じキュニョーの快走車の質を調査させたが、『フランス軍に便利なものは敵軍もこれをまねるに違いないのでだめだ』と軍司令官否定され、再びアカデミーに諮ったところこれも否定された。
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【19世紀 蒸気自動車と蒸気機関車の登場】
1801年 リチャード・トレヴィシック(Richard Trevithick)が蒸気自動車を製作し運転した。

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1804年 トレビシックが世界最初の蒸気機関車ペナダレン号を制作し、試運転を行っている。
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1820年 イギリスのW・セシルが水素ガスを燃料とした真空利用の大気圧機関を製作し、60rpm(回転/分)の動きを実現した。爆発時の騒音が問題となったがこれが世界最古のガス機関として認められている。しかし当時は蒸気機関の実用化の時代となり、ガスエンジンはその後の研究があまり進まなかった。
1823年 イギリスでは続いて発明家のサミュエル・ブラウンが、ガス真空機関(真空エンジン、用気エンジン)の開発に成功。内燃機関だったが、爆発の後に生じる真空によりピストンを引き戻すことにより往復運動をおこなうものであり、大気圧利用という点ではトーマス・ニューコメンの蒸気機関そのままの原理であった。
1838年 ウィリアム・バーネットは2サイクル圧縮型エンジンと独自の点火プラグを開発した。

【往復動型内燃機関の実用化】
1860年 フランスでルノアールがガスエンジンを商用化。内燃機関の本格的な実用化に成功。
1862年 フランスのボー・ド・ロシャが、内燃機関としての4ストロークエンジンを提唱。
1867年 ドイツでニコラス・オットーとランゲンがフリー・ピストン機関を製作。
1873年 アメリカでブレートンが新型を開発。ブレートン機関とよばれる。
1876年 ドイツでニコラス・オットーは後年のレシプロ式ガソリンエンジンの直接の祖型となる4ストローク式ガスエンジンを完成させた。
1939-1942年 ハンガリー人の機械技師György Jendrassikによって史上初のターボプロップエンジンJendrassik Cs-1が完成。
1945年 ロールスロイスはターボプロップエンジンのトレント (Trent)を開発。
1947年 ロールスロイスは世界初の実用化ターボプロップエンジンであるダートを開発。


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【レシプロエンジン(reciprocating engine)】
往復動機関あるいはピストンエンジン・ピストン機関とも呼ばれる熱機関の一形式である。
燃料の燃焼による熱エネルギーを作動流体の圧力(膨張力)としてまず往復運動に変換し、ついで回転運動の力学的エネルギーとして取り出す原動機である。燃焼エネルギーをそのまま回転運動として取り出すガスタービンエンジンやロータリーエンジンと対置される概念でもある。
レシプロエンジンは、自動車や船舶、20世紀前半までの航空機、電化されていない鉄道路線で用いられる鉄道車両、といった乗り物の動力源としては最も一般的なもので、他に発電機やポンプなどの定置動力にも用いられる。