「展覧会やらないんですか?」「個展をサポートしないんですか?」「はい、やりません。できないんで。」そんなやりとりをよくします。

 

事業会社に長いこといて、いろいろ見て、勉強して、それでも失敗したりしながら今思うことは、事業をやる際「不得意なことは自分ではやらない」。これに尽きる。

 

現在二人で活動しているけど、二人とも

・福祉業界で働いたことがない

・だからその分野でネットワークもない

・アートの世界を知らない

・だから作品を芸術性から評価できない

・その分野でのネットワークもない

といった状況。

 

したがって、既存の支援団体が以前からやっていることや、アート業界の方々がやっていることをそのまま真似してやったところでうまくやれるとは思えない。

 

そう判断したので、展覧会、定期的な作品展、或いは作品集の販売などはやらない、そう最初に決めた。

 

次に決めたこと。それは「公の助成金や補助金をもらわない」ということ。

 

先の展覧会なども助成金を使えばいいという考え方もあるけど、その助成金を得るため、或いは慣れないことをやることにパワーと時間をかけたくなかった。

 

それに、いろいろと縛られたくなかったというのもある。

 

おそらく事細かく計画し、事細かく報告しなければいけないのだろうと思う。

 

お金をもらった以上は当然なのはわかるものの、刻々と変化する状況の中で、ある程度自分たちで判断し、修正し、進める自由度が欲しかった。

 

場合によっては途中でやめることだってあるのだから。

 

実際、僕らは最初にこの取り組みを株式会社で始めたけど、わずか4ヶ月でそれをやめた。

 

ちなみに民間の財団などが行っている助成については最初の頃なんどか応募し、どれも落選という結果を見て、今は応募しないと決めている。

 

 

 

やらないこと。それを決めることの効果は計り知れない。

 

「やらないこと」を決めた結果あまりにできることが少なかったのだけど、「やらないこと」を「自分たちでやらないこと」に認識を変えることで「やれる団体と連携する」という思考が生まれ、自分たちは作品提供に集中することで進む道が幾つにも増えたのだから。

 

やらないことを決めることで自分たちのポジションを明確にする。そしてそれは自分たちの進む道を決める。

 

ビジネス書ではありきたりのセオリーで、多くの人が理屈ではわかっていることだと思う。

 

だが、実際に最初から一見ネガティブなジャッジから入るというのは難しい。起業する人はたいてい、「あれもやりたい、これもやりたい」それが普通だから。

 

もし、これを読んでくれている人の中で起業したばかりの人がいたとしたら、「そういう考え方もあるな」程度で参考にしてもらえれば嬉しいです。

 

今回はここまで。次は「やらないこと」から導かれた「やること」の予定です。

 

では、また。

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