★★★★
 
鑑賞No:01913
製作:2009年/日本/114分
監督:根岸吉太郎
出演:松たか子/浅野忠信/広末涼子/妻夫木聡/堤真一
有名な小説家でありながら放蕩三昧を続ける大谷。そんな大谷を健気に支える妻の佐知は、貧しい生活ながら明るく押さない息子を育てていたが、酒代を肩代わりするため椿屋という飲み屋で働き始める。やがて水を得た魚のように生き生きと働き出した佐知を目当てに客が増え店は繁盛し・・・。
太宰治の傑作短編小説の映画化。ヴィヨンとは、自堕落で放浪無頼の人生を送ったフランスの詩人で、主人公の大谷の人物像に近いため付けられたタイトルと思われるが、観ているとヴィヨンというより作者の太宰治そのものと二重写しになる内容。しかし本編では大谷ではなく、放蕩三昧を続ける大谷を必死に支えながら、自分の生きがいや生き方を見出しいていく女性のたくましさを見せつけられる映画となっている。妻の佐知を松たか子が好演しており、まさにこれは彼女の代表作の一つになるのではないかと思う。原作は読んでいないので分からないが、夫婦の会話が敬語というのがちょっと違和感があったが、生き方がむちゃくちゃな割りに言葉は物静かで丁寧というギャップは面白い。