★★★★
鑑賞No:02320
製作:2012年/日本/114分
監督:山下敦弘
出演:森山未來/高良健吾/前田敦子/マキタスポーツ
1986年、19歳の貫多は、日雇いの仕事をしながら、安アパートに暮らしており、働いた金は酒と風俗で使い果たしていた。ある日、アルバイト先で専門学校生の正二という青年と知り合う。年が同じと分かり気心が知れ、貫多は生まれて初めて友達と飲み歩く楽しさを知る。正二の橋渡しで、古本屋でバイトする大学生、康子とも「友達」になることができるが・・・・。
第144回芥川賞を受賞した西村賢太の同名小説の映画化。興業的にはよくなかった作品らしいが、観ると思ったほど悪くなかったし、面白かった。森山未來演じる貫太の人間臭さはもはや脱帽するが、現実に自分の近くにいたら決して友達にはならない・なれないだろうし、嫌悪すら抱くどうしようもない人間であった。そして観ている私を心からそんな気持ちにさせた森山未來の演技は素晴らしかった。高良健吾演じる正二や前田敦子演じる康子との関係は最初は好感の持てる関係で観ていて清々しかったが、途中から寛多の本性が丸出しになるにつれ、遠ざかっていった2人の気持ちはよく分かる。前田敦子は演技的にはまだまだ感はあるが、思ったほどの貫多との絡みもなく、素人演技が却って地方出身学生をリアルにしていた感があった。