片野です。今回は、レイの現代貨幣理論入門の読書感想文です。

 
 
 
 
 確か去年の暮れぐらいに読み終わったんですが、マクロエコノミクスが到着したということもあり、復習がてら読書感想文を書いてみようかなあと思った次第です。
 
 読んでみて思ったのは、俗説と異なり、かなり穏当な内容だなあという感じです。巷で言われているような「1000兆円の財政出動!」とか、「国債は金を刷って返せば良い!」とか、そんな雑な内容でありませんでした。
 
 過度な財政政策の拡張は、物価や為替に悪影響を与えるかもしれないですとか、
 
 政府のプロジェクトが大きくなり、民間から資源(労働や資本など)を引き抜けば、インフレを引き起こすかもしれないですとか、
 
 予算プログラムは或る意味で有効であるとか、
 
 結構、現実的なことが書かれていました。あとは経済成長で雇用拡大、バブル礼賛みたいなことも書かれてはいませんでした。やっぱり、ニュースやSNSを鵜呑みにしてはいけないなあ、と強く思った次第です。
 
 あとは、経済政策ばかり引き合いに出されがちですが、実際の内容としては半分くらいは、「貨幣とは」「租税とは」「会計の大原則」「政府の支出プロセス」のように、現実に対する一つの見方、あるいは制度の知識のように、結構中立なないようなのかなあと思いました。
 
 後半部分はJGPなどを中心に規範的な内容を取り上げられます。そちらも面白い。けれども、現状、日本のMMT論壇では前半部分の浅い理解に、自分の思い思いのイデオロギー、経済政策を取ってつけたようなものが、MMTの正解のように語られている印象です。
 
 実際、本の中で、MMTの基本部分は現実に基づいた記述的な内容であり、リバタリアンだろうがリベラルだろうがMMTを採用することができる、といったことが書いてあったりもするんですけどね…。
 
 前ふりがかなり長くなってしまいました。もう作文が苦手すぎて、読み手のことを考えることができないので、ご容赦ください(そもそも、読んでいる人はいないであろう、という前提で書いている)。
 
 それでは、一章ずつわけて感想を書いていきたいと思います。
 
・序章 現代貨幣理論の基礎
 
 この本の内容の要約が書かれています。MMTはものの見方、レンズなんだということは、Twitterやってる人だと聞いたことあると思います。これの直接の元ネタかはわかりませんが、レイが担当する大学院のゼミ生が、「MMTというレンズで、マクロ経済がスッキリ見えるようになりました!」と言ったらしいです。めちゃくちゃいい子なんだろうなあ…。
 
 我々の貨幣制度はケインズが言ったように、過去4000年間、国家貨幣制度であったと。国家貨幣制度とは、かんたんに言えば、「国家が計算貨幣(マネーオブアカウント)を定め、それを単位として表示される義務(租税や罰金など)を課し、そうした義務を果たすための支払い手段をとなる通貨を発行する制度」であるとのこと。
 
 国家が計算貨幣を決定
→国家が課税
→国家その計算貨幣で図られた通貨を支出
→納税で回収
 
 というのが、過去4000年前から、貨幣の形を問わず、一貫した流れなんだということかな(自信がない)。
 
 …開始早々こんなことが書いてあるのに、「現代貨幣理論の現代とは、モダン、つまりは新しい、今っぽいという意味です」だなんて言い放った真壁昭夫は、そりゃRickyさんにキレられるよなあ。
 
 現代の政府の赤字支出の方法は、複雑なプロセスを取っている(後の章で、両手足を縛る、なんて表現がされています)。MMTが最初に説明するような素朴な国家貨幣制度と地続きであることがわかりにくくなっているとのこと。
 
 豆知識として、アメリカで税金を支払うときはタックスリターンというらしいです。そして政府に受領された通貨はレベニューというらしいです。レベニューは「返す」という意味のフランス語から来ているとのこと。この2つの言葉から、今も昔も、MMTで言われるような国家貨幣制度であることが読み取れる。
 
 「政府は支出のために自らの通貨を借りる必要がない!」というのが重要なポイントです。これはこのあとの章でもうんざりするくらい聞かされます。
 
 銀行券の廃止と、フェドの誕生、つまりは発見集中の話が出てきます。これは宇仁ほか入門社会経済学を読むと、よりわかりやすく学べます。ポイントとしては、銀行も国家と同じように、自らの負債を発行し、受け取らせることができるということ。
 
 …なんだか、くどい前ふりと第一章だけで、かなり長い文章になってしまった。一章ずつ分けて書こうかな…と思い始めました。というか飽きてしまった。
 
 気が向いたら、第一章からコチコチ書いていこうかなと思います(多分書かない)。