Q:貿易収支黒字と資本収支赤字が等しいとする考え方がある。貿易取引と資本取引はそれぞれ別々の要因に依存するため、一致するとは限らないのではないか。
A:一国の経常収支は、国民経済を構成する多数の消費者・企業、中央政府・地方自治体等々のそれぞれの経常収支の単純な和である。個々の経済主体は、経常収支の計画、つまり財貨サービスの売却・購入の計画を決めるときには、それをどうファイナンス(不足資金の調達)し、余剰資金をどう運用するかも同時に決定しなければならない。この制約のことをミクロ経済学では「予算制約」という。
財貨サービスの売却・購入と資金の調達・運用とが”うらはら”の関係にあることは、政府の予算編成や企業の財務を考えてみればすぐに理解できるだろう。家計(消費者)の場合、所得の稼ぎ・消費財や住宅の購入・子供の進学等の「経常収支面」の意思決定と、預貯金の出し入れ・住宅ローンの借入れ・各種の金融資産の購入と処分等の「資本収支面」の意思決定とは本来、同時に行われる。合理的に行動する企業や個人はその両面について同時に意思決定をしており、いずれかが先行するというものではない。そして一方の黒字・赤字(受け取り超過または支払い超過)と他方の赤字・黒字とは等しい。個々の経済主体のレベルでそうなのであるから、個々の経済主体の経常収支・資本収支を合計した国民経済全体のレベルでも、財貨サービスの売買差額である貿易黒字と貯蓄・投資ギャップである資本収支赤字(対外投資)とは等しくなるである。
(ん~~~~、いまいちピンとこないなー。なんか、簡単な簿記のモデルを使って説明してほしい…。あれかな、資本収支は借入うんぬんではなく、資金が入ってきたかどうか、だから。キャッシュ・フロー的な考え方なのかな。)
そっか、ワープア的に考えて、一か月の収入が20万、支出が10万だとして。この経常収支の黒字分は市中銀行の預金として、つまりは資本収支の赤字でファイナンスされているわけだ。そのとなりで、誰かが収入10万、支出が20万、つまりは経常収支が赤字だとして。市中銀行から10万を借り入れているとして。この10万という資本収支の黒字は、俺の資本収支の赤字でファイナンスされているわけか。