ネイオゲです。先祖代々童貞です。嘘です。

昨日(3月27日)、朝日新聞が報道したあるニュースについて。

 

「日立、無期転換求めた女性社員に解雇通告 申請後は異例」

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q5FYDM3QULFA01X.html

 

ネイオゲはよく派遣社員や契約社員としてアルバイトをしておりましたので、

この問題は結構なじみのある話だったりします。

 

「2018年問題」を振り返りながら、このニュースを深堀りしていこうと思います。

 

 

目次

1 労働契約法と労働者派遣法

2 2018年問題

3 今回のケース

4 所感

 

1 労働契約法と労働者派遣法

今回のニュースで主役となる二つの法律です。
それぞれ見ていきたいと思います。
 

1-1 労働契約法

 
労働契約法とは、使用者と労働者の間で結ばれる雇用契約に関して、基本的な原則を定めた法律です。ちなみに使用者とは労働者を雇う側の立場のことです。(法律用語は難しい…。)
お題目はこんな感じで、条文が知りたい方はぜひe-Govよりご覧ください。
 
本題に入る前に、重要な概念があるので確認します。「有期雇用契約」と「無期雇用契約」です。
字面のとおり、有期雇用契約は「雇用される期間が決まっている契約」、無期雇用契約は「雇用される期間が決まっていない契約」です。
簡単に言えば、有期雇用契約者は契約社員やアルバイトで、無期雇用契約者は正社員です。
 
この二つの契約の存在を踏まえて、本題に戻ります。労働契約法は2012年に改正されました。2013年4月1日以降に有期労働契約を締結・更新した場合、5年後の2018年4月1日から労働者は無期雇用契約へ転換を申し入れることができるようになりました。これを「無期転換申込権」といいます。朝日新聞でやたらと書かれている「無期転換」とは、これの事を言っているんですね。
 
といった感じです。
今一度ここで、上の画像を見ていただくと理解いただけるかと思います。
 

1-2 労働者派遣法

 

(上の画像は、テンプナレッジマガジンさんから引用しております。)

 

2015年に、労働者派遣法が改正されました。

労働者派遣法とは、派遣労働者の保護等(雇用の安定・福祉の増進)と、労働者派遣事業の適正な運営の確保を目的とする法律です。

お題目はこんな感じで、条文が知りたい方はぜひe-Govよりご覧ください。

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

今回のニュースで重要なのが、二つの「期間制限」というルールです。

派遣社員が派遣先で働く上で、期間に縛りがあるんですね。

 

ひとつめは「事業所単位の期間制限」です。派遣先の事業所が派遣社員と契約できる期間は、最初の契約から原則3年が限度となっています。

この派遣社員というのは特定の一人を指すものではなく、「派遣先の企業が派遣社員という雇用形態の社員を受け入れる」ことそのものを表していますね。

ちなみにこの3年の期間は、派遣先の労働組合等と話し合うことで、延長することができます。

 

ふたつめは「個人単位の期間制限」です。派遣社員が派遣先の事業所の「同一の組織単位」に派遣される期間はもまた、3年が限度となっています。

「同一の組織単位」ってのがまた抽象的だなあと思いました。例としては人事課や経理課など、同じ課であるならば同一の組織単位となるらしいですね。

 

といった感じです。

今一度ここで、上の画像を見ていただくと理解いただけるかと思います。
 

2 2018年問題

2013年の労働契約法の改正により、5年後に無期転換できる。
2015年の労働者派遣法の改正により、3年後に労働派遣事業を見直す必要がある。
お気づきかと思いますが、ちょうど2018年にこの二つが被るんですね。
 
安価な労働力を求める企業は、無期転換を申し込まれる前(五年が経過する前)に、従業員を解雇してしまう動きが増えました。(いわゆる雇止め。)
派遣労働者も、期間制限により事業所から強制的に離れることになります。
 
結局2018年問題がどれほど深刻だったか、どの指標で測ればよいのかネイオゲはわかっておりません。
ただ、失業率で言えば、金融政策と人口構造の変化、高齢者・主婦・学生の就業率増加により年々改善しています。
他方で、実質賃金で言えば、97年をピークに減少し続けています。(それを受けての、今回の賃金偽装ですし)。
世の中が良くなったのかは、ネイオゲには判断できないです。
 

3 今回のケース

 
だいぶ前振りが長くなりました。ただ上記のような知識がないと、このニュースはよくわかんないんじゃないかな、と思います。
 
今回のケースは、無期転換に関する問題です。日立製作所が契約社員(有期労働契約者)に無期転換を申し込まれた後に、解雇してしまったんですね。
 
日立製作所としても、無期労働契約となると人員調整しにくくなるから、無期転換は避けたいのでしょう。
しかしこの派遣社員の方からしてみれば、こんな腹立たしいことはないでしょう。
 
日立の言い分としては、「これは事業縮小の一環である」とのこと。これに対し派遣社員の方は「無期転換逃れだ」と解雇の撤回を求めているらしいです。
 

4 所感

 
法律って難しいですね~~~。こんなの制度の欠陥じゃないのか?と思いました。
1つ言えるのは、日立のイメージが結構悪くなったんじゃないかな、ってことです。
あとは…。ネイオゲは法律のど素人ですので、難しいなあくらいしか意見が出てこないですね。
 
そんな感じです。長くなりましたが、非正規雇用に関する問題は全員が知っておくべきだと思います。対岸の火事と思わないように。明日は我が身、くわばらくわばら…。