私、この街に決めたの!! | プチ・農民日記

私、この街に決めたの!!

後輩がこの地を後にして、

再びこの地区の人口が8人になりました。


オーストリア人の旦那さんとイタリア人の奥さんが

結婚して、奥さんのおじいさんが使っていた、今は使われていない

畜舎を休暇用に改修したところに2人で移住してきて、

子供が2人生まれ、この地区の人口は4人から8人に、

3年で2倍になりました。


日本はもちろんのこと、多くの先進国で農村部の過疎化の

ような現象の克服が課題となっている中、

「俺は人口が少ない方がいいな」と話します。


他の農村部の例外ではなく、ここも昔は人口が今より

かなり多かったようです。

ここでは皆、暖房にも料理にも石油を使わないのですが、

人口が多かった頃は、皆が燃料に木を使っていたため、

森が成長することができず、薪を探すのに相当苦労していたようです。

それが現在では人口がかなり減って、森は、

人間が植えなくても自然に育っていって、手間もかからず、

容易に森と共生することができます。

「自然と共に暮らすことのできる人数には限りがあるんだよ。」

と、言う彼の姿がとても輝いて見えました。


現在のここの問題は、多くの人が山を下り、町に移住したものの、

土地の権利をそのまま所有しているため、

この地に残り、農業をして土地を守ろうとする人に対して

土地が集約せず、効率が上がらないことです。

もちろん、山の中で効率ばかりを求めても仕方ないかもしれませんが、

本当に小さな土地が細かく多く広がっていて、

仕事をするにも自分の土地の間での移動だけでも容易ではないようです。

これらの使われていない土地の権利保有者を探して

買い取って行くには莫大な資金と労力が必要で、行政も

協力したがらないのだとか・・・。



ところで、僕のここでの仕事は、天気が良ければ山を下って

羊の世話をしたり、林業の仕事をしたりで、

天気が悪ければ家の中で、自給用作物のインゲンマメや

トウモロコシ、胡桃などの皮や殻を剥く作業をのんびりやっています。

後は、3ヶ月と1歳10ヶ月の子供のベビーシッターもしています。

そして、もう1つ大切な仕事は、少しずつ動き出している、

この農家さんの地域活性化プロジェクトを手伝うことです。

プロジェクトの詳細はさらに詳しくわかり次第お伝えいたしますが、

農家民宿にするために古い畜舎を片付け、

そこから出てきた古い道具などを博物館に展示するため、

きれいにして、石油を塗って加工しています。

まず見て、考えて、行動して、食べて飲んで、また考えて、

本当に毎日少しずつ少しずつ作業を進めていきます。

ものすごく創造的な仕事で、僕の滞在中には完成しないと

思いますが、すごくワクワクしています。


この街はオーストリアとの国境付近で、あまりイタリアっぽく

ないため、もう少しイタリアを満喫するために別の場所を

探そうかとも思いましたが、しばらくこの街で学ばせてもらう

ことに決めました。


なんだか、「魔女の宅急便」のキキの台詞を思い出しました。


つづく