おじさんに学ぶ | プチ・農民日記

おじさんに学ぶ

昨日の朝、謎のおじさんが帰りました。

(おじさんについて詳しくは前回の日記『謎のおじさん』で)

朝の3時に家を出発しました(笑)


おじさんは帰る前日の夜、皆を集めておとぎ話をしてくれました。


奥さんはイタリア人でイタリア語とドイツ語を話し、

旦那さんはオーストリア人でドイツ語とイタリア語と英語を話し、

おじさんはドイツ人でドイツ語と英語を話し、

僕は日本人で日本語と英語少しとイタリア語をさらに少し話すので、

もめましたが、結局ドイツ語で話し、それを僕が英語で通訳してもらう

ことになりました。

完全に理解できた訳ではありませんが、話の概要は以下の通りです。


今から約150年前、あるところに小さな男と大きな男がいました。

小さな男は大きな男のもとで働いていたのですが、

ある日自分の馬を手に入れて、独立して働き始めます。

それが面白くない大きな男は小さな男の馬を殺してしまい、

小さな男は悲しみ、その馬の皮や肉など全てを持って市場に

売りに行きます。

その道中で小さな男はひょんなことから市場以外の場所で

馬の皮の代わりに大金を手にします。

帰った後、馬の皮で大金を得たことを聞きつけると

大きな男は大金欲しさに自分の馬を全部殺し、市場に

売りに行きます。

しかし、通常通り市場に売っても大金に代わるわけもなく、

騙されたと思って大きな男は怒ります。

そのようなやりとりを経て、怒りが増幅した大きな男はついに

小さな男を殺そうと、大きな袋に入れて川に投げようとします。

その道中、大きな男が目を離した隙に小さな男は、羊の

大群を連れた、生きることに疲れた羊飼いに会います。

そこで、小さな男は、自分が羊の世話をするから大丈夫。

そんなに生きたくないのなら代わりにこの袋に入っていれば

川に投げられると提案して、羊飼いと入れ替わります。

帰った後、羊の大群を手にした小さな男に大きな男が

事情を聞くと、小さな男は、

海に流れ着いて、海の神様が羊をたくさんくれたと嘘をつきます。

その話を聞いて羨ましく思った大きな男は、

それならばお前も同じようにするかと小さな男に言われ、

それは良いと袋に入り、川に捨てられてしまいます。


話し終えた後、おじさんは、この話から分かる教訓を説明してくれました。

小さな男はいつも自分の力の及ばないところで不運にみまわれながらも、

そのときを努力して、結果的に幸運を得ます。

対して大きな男は、欲望のままに自分の意志で

成功しようと周りを傷つけてでも行動しますが、いつもうまくいきません。

この2人の男は誰の心の中にもいるのだそうです。

だから、目先の利益だけにこだわって欲望に

埋もれるのはよくないと言っていました。

おじさんは自分の住む地域のおとぎ話を集めているそうです。



おじさんのことを詳しく知りたいと思い、話を聞かせてもらいました。

おじさんは仕事をしていないというよりは、正確には、定職に

ついたことが無いということでした。

週に40時間働かなければいけないのに、その代わりに

わずかな賃金しか得られない。だから、そんな働き方は

したくないと言っていました。

だから毎日が自由で、学びの連続なのだと言っていました。

おじさんによると、お金はエナジーの

ようなもので、生きていくために必要で

循環していくものだそうです。

だから石油の代わりに薪を使い、食べ物もほとんど

自前のお金のほとんどかからない生活をしていて、

大金も必要無いのだと言っていました。

お金じゃなく、魅力的な人との出会いを探して、

その人の力になりたいと思えばエナジーは循環していく。

だから、生きていける。そんなことを言っていました。

おじさんは社会事業関係を主に、いろいろな仕事を

したことがあって、一番長いもので約2年続けたそうです。

そして、どうしてもお金が必要なときは工場や建設現場で

少しだけ働いたと言っていました。

おじさんは、何でも屋さんのように周りの人に頼られていて、

水道管の工事から子守まで何でもこなします。

そして、基本的に自分のやりたくない仕事はしません。


おじさんの話を聞いていて、以前このような会話を日本で

僕の友人がしていたことを思い出して、その時に片方の

友人が質問したことをそのまま僕も質問してみました。

「病気になったらお金が必要じゃありませんか?」

するとおじさんは答えてくれました。

「それは非常に重要な問題だ。俺はいつも病気にならないように

体を気遣い、自分の体を管理している。だから病気にはならないんだ。」

おじさんがいつもしている瞑想や奇妙な体操もその一部だったのでしょう。

その話を聞いて、日本の医療費が年間1兆円規模で増えていることを

思い出しました。

お金持ちの国、日本は長寿世界一ではありますが、

稼いだ分だけ多くの医療費に消えていく。しかも

ものすごいペースでその額は増え続けている。

ストレスや食生活の乱れ、運動不足などが重なり、

それを解決するためにお金を払って運動して、

お金を払ってサプリメントを摂る。

そして病気や怪我に払うお金も増えていく。

これが日本の実態なのでしょうか。


おじさんの話は、多くの人が、「価値観はいろいろだから」

と片付けてしまいそうですが、投げ出さず、

少しだけ考えてみることにしました。


貧しさのためには働きたくない・・・


なんだか、うまく言葉にできませんが、大きな悪循環に

なっている気がします。

求めれば求める程に足りなくなり、気がつけばそれ無しでは

生きることが難しくなっている。

なんだか、

自然農法 わら一本の革命/福岡 正信


この本で福岡さんが語っている思想に近いように感じました。

(こんな機能あったので使ってみました・笑)


お金って何だろう・・・


経済学部でも無ければ特に経済関係に詳しいわけでもない

僕ですが、小さな脳みそを使って考えてみました。

お金ってなんでしょう?

そもそもお金という概念ができる前は物々交換であったわけであり・・・

よく分からなくなってしまいましたが、僕の師匠の1人、

友成真一先生は、お金とは関係性を切るためのものだ

とおっしゃっていました。


そんなことをずっと考え、ふと顔を上げてみると、

この家の、2人の赤ん坊が目に入りました。

上の子は1歳10ヶ月で、新しいものを与えても

喜んだあと、すぐに飽きてしまいます。

そして下の、3ヶ月の子供は、

母親の胸に抱かれてすごく幸せそうにしていました。


なんだか、その光景が妙に心に響きました。


つづく