3か月間もの長い期間に渡って、共産党のゼロコロナ政策によって閉鎖されてきたウイグルのウルムチ市内で、24日あるアパートで火事が起こり、入り口を外側からロックされていた住民は閉じ込められる形となり、逃げることができずに40人以上が亡くなった。共産党による過度なゼロコロナ政策によって引き起こされた事件と言っても過言ではない。
はじめはウルムチでの犠牲者の追悼のため、上海に集まった人たちだったが、
その集まりは次第に共産党政府のゼロコロナ政策に対する批判、そして習近平自身に対する批判へと変わった。
そのデモ隊は習近平退陣しろ!と叫び続けた。
そこからこのゼロコロナ対策に対する反対デモが全国各地へ広がり、
今現在も中国全土の都市でデモが繰り広げられ、その規模はさらに拡大してる状況。
今まで大人しく従ってきた中国人民の鬱憤が、今回のウルムチでの焼死事件をキッカケに爆発した。
3年もの長い間、政府のゼロコロナ政策を信じて、ひどい時には1か月20回以上のPCR検査を受けながら忍耐を重ねてきたわけで、その信じてた政府によって殺される人民に自分の姿を重ね合わせたのだろう。
この人民の感情が、未だかつてない大きなムーブメントとなりつつあり、
全国各地でどんどん激しさを増しているが、この人民の怒りに習近平はどう対応するのだろうか?
この対応如何によって今後の動向が決まってくるという状況だが、ここでもう一つ違う視点から考える必要がある。
それは、このムーブメントは、ウルムチの事件をキッカケにして、
人民の怒りが爆発した形で上海から全国に広がったとなっているが、その裏に、共産党内部での対立が表面化してきてるようにも見えるからだ。
この間行われた全人代20での胡錦涛強制退席事件と繋がってるということです。
胡錦涛がこの間退席させられた一番の理由は、習近平の3期目続投への反対、そしてゼロコロナ政策への反対によるもの。
上海のデモで叫ばれていた「習近平退陣しろ!」「ゼロコロナ政策反対」「封鎖解除せよ」というスローガンは、胡錦涛を中心とした上海閥の主張と全く同じ。
(習近平独裁により、上海閥は全員失脚し、胡錦涛一族は40名以上が捉えられ今も軟禁されている)。なので、共産党内部での対立構造がいよいよ表面化してきた可能性が高いとみてます。
このことは上海警察が、今回のデモを本格的に取り締まってない様子からも推測できる。
表面上は警察を出動させて取り締まってるフリをしながら、この状況を利用して習近平退陣の世論を形成しようとしている可能性も否定できない。
今回のデモに対する上海市の対応に習近平が満足してない証拠に、わざわざ中央から副首相を上海に派遣して直接指示を出したという事実もある。
いくら習近平に権力が集中したと言えど、共産党も一枚岩ではなく様々な派閥があり、それぞれ主張が違う。それを無理に1人に権力を集中しようとすれば、逆に内部の対立は大きくなり衝突を招く結果となる。「力の集中は、安定よりもむしろ不安定をもたらす」とこの前のブログでも書いたが、まさにその通りの状況が起こりつつある。
ただ現時点で、共産党自体が崩壊することは全く考えられない。
中国という国は”一党独裁体制”だからこそ、15億人もの巨大な多民族国家を維持することができるわけで、それが崩壊して万が一民主主義国家になってしまうなら、それは同時に国家分裂を意味する。とても今の規模を維持できないからだ。
中国は中国人民のものではなく、あくまで共産党、そして人民解放軍のものなので、人民による共産党を崩壊しようとする試みは、最終的には武力による制圧という最悪の方法によって鎮圧されると予測しておく。
今の問題は「習近平がこの状況にどう対処するのか?」に向けられてる。
そもそもゼロコロナ政策の転換期に来てることは習近平政権も理解しており、来年の3・31以降に個人の旅行解禁の話も出ていた矢先だったので、このまま人民に懐柔して、規制解除の方向へ向かうことでうまく抑える可能性もあるが、
だんだんデモ隊が暴徒化する様相を見せてきてる部分もあるし、人民解放軍の車列が各地で確認され始めていることから、力で抑えようとする可能性も十分考えられる。
その対応如何によって習近平の今後が決まるだろう。
人民のデモが抑えられても共産党内部での対立は一層深まる可能性もあるし、気が抜けないだろうね。
気が抜けないという点では、外部の脅威も出てくるはず。
この情勢を最大限利用して中国人民を焚き付け、内部から政治を混乱させるため、また世界の反中共の世論を形成するためにアメリカは間違いなく情報戦を仕掛けてくるはずで、そのような視点からも見ていく必要がありそう。
なにはともあれ、
習近平への権力集中によって、逆に内部の不安定さが表面化してきている気がしてならない。