the HANGOVERS TOUR REPORT vol.5

070502 @秋葉原 CLUB GOODMAN


初日以降初めての東京は、秋葉原CLUB GOODMAN。
ここはホームもホーム、ど真ん中。
デビュー前から立ち続けてきたステージで迎える、
ツアー22本目。

11周年を迎えたライブハウスの渾身のブッキングイベントでもあり、またGW中ということも相まって、
一ヶ月半も待ちわびた東京近郊のリスナーたちがここぞとばかりに集った。
the HANGOVERSの音楽を浴びに。

他のバンドがスクリーンで覆うセッティング、彼らは今日その姿を現した。
フロアの誰もがいつものSEが流れるのを待ちながら、ざわざわと期待に胸を膨らませる。

それを裏切るようにして、不意打ちで始まった1曲目。
「もたもたしてると置いてくよ」とでも言わんばかりに、猛スピードで駆け抜けていく。

3人の表情に浮かんだ久しぶりの笑顔。
それはホームで出迎えてくれた大勢のリスナーへの、安心感と感謝だろうか。
なんだかとても楽しそうで見ているこっちまで笑ってしまう。
全国を走り続ける中で凝縮してきた3人の音は、荒々しくも自由奔放に伸びていった。

そこにはミュージシャンとしての階段を登ろうとしている姿が見える。
いついかなる状況でも、自分たちの音楽を最大限に魅せる為に必要なのはギリギリのバランス。
安定感が無いのはだめだし、かといって毎回同じならライブじゃなくていい。
長い旅の途中、the HANGOVERSは今夜そのラインの上に立っていたように思う。

そんな3人に追い風を送るのは、フロアで心と身体を揺らすファン。
彼らはfunでありfan。

ツアー終了まで残り3本。
京都、大阪、名古屋の主要都市を廻る。
そして最終日。迎え撃つ最後の敵は、下北沢CLUB QUE。

22コ目。
初夏の風が運んできた、最上級の奇跡の予感。



TODAYS MUSIC↓


the HANGOVERS
the HANGOVERS TOUR REPORT vol.4

070428 @松山SALONKITTY



ツアー20日目、初めての四国上陸は松山。
神戸からの13日間、西日本を走り続けた3人は明日の高知を終えて
久しぶりのホームへ帰る。

海と山に挟まれた小さな街。
道行く人の足取りも、うっすらと匂う海風も穏やかで緩やか。
路面電車の走る市街地を抜けて、川沿いのライブハウスに辿り着くと
東京とはまた違った空気が漂う。

それもそのはず。
地方都市のハコとはいえ、ここは誰でも名前くらい聞いたことのあるミュージシャンが、ツアーで訪れる場所。
ローカルなバンドとトップアーティストをミキサーにかけると、
こんな雰囲気の場所が出来上がるのかな。

前回の千葉から数えてちょうど一ヶ月振り。
彼らのライブに枯渇状態のアタシは期待に胸を膨らませて、
いつもより高めのステージを見つめた。

そうそう、この緊張感。
セッティングを終えた空っぽのステージの上で、
いつものSEを聴きながら楽器が今日も主人を待つ。
早く気持ち好く弾いてくれよって。

薄く照らされたスモークを音と共に突き破って飛び出した3人の姿は、
以前より格段に強くなってた。
ハコのサイズはいつもと大して変わらない。
それなのになぜかとっても大きな場所でのライブを見ているみたい。
でも決して距離を感じるとか、寂しさとかじゃない。
ホールのど真ん中最前列でライブに包み込まれているような感覚。

悲しみのアンジェリーナ、TTMTでスタートして温度が一気に上がる。
ギターとベースとドラムの3つの楽器がそれぞれの音の魅力を引き出し合い、
トミーの歌にシンディとケンチュルビックのコーラスが絡まって3ピースと思えない厚みのある音楽。
最後のシャローナ・シャローナが終わっても、火照った身体が醒めない。
永遠の30分間。

サウンドもツアー中盤戦を通してしっかりと固まっていて、
密度が濃くなってた。
音の分子がばらばらと散弾銃のように飛んでくるんじゃなくて、
結合したバズーカ砲でぶち込まれる。
音楽一つで勝負してきたここまでの道のりさえも、目の前に映る。

3人に13日間の旅の疲労感なんて微塵も無かった。
一層力強くぶっ飛ばして走り抜けながら、
今まで見てきた人も初めて見る人も関係なく一緒に乗せていくライブワゴン。
それはアウェイをホームに変えてきた証。

20コ目
信じた音が真の芯になって、心に突き刺さったまま。


the HANGOVERS TOUR FINAL / HiT10

070522 @ 下北沢 CLUB QUE
op/18:30 st/19:00
adv¥2000 /door¥2300 /ドリンク代別
c/w FARMSTAY / MIXMARKET

INFORMATION↓

the HANGOVERS
the HANGOVERS TOUR REPORT vol.3

070328 @千葉LOOK


駅を降りると、春が訪れた都心に比べて空気が凛としてた。
5日目は千葉。今回のツアーで初めての完全アウェイ。
ライブハウスなのか古びたバーなのか判断に迷いながらドアを開けると、
独特な雰囲気のフロアが広がる。

前のバンドが終わって、客は半分。
でもセッティング中の3人の様子に、
今日はとんでもなくステキなことが起こる予感がしたんだ。
帰っていった人たちはなんてもったいないことを。


まさに予感は的中。
最初の音が鳴った瞬間に思い知らされる。

今日、やばい。


ここまでの4本を経て、彼らは確実に取り戻していた。
自分たちの力を最も出し切れる術を。更なる磨きをかけて。

頂点ギリギリの一番気持ち好い所を頭から押さえつけて、
最後の最後まで落ちることが無い。
ギターもベースもドラムも歌も、一つになって襲う。
五感の全てに音を浴びせ、本能を掻き乱される。
踊らずになんていらんないよ。


何度も見てるはずなのに、こんなに色鮮やかなのはなんで?
灯りの数なんてたかがしれてるのに。


ココロもカラダも丸ごと引きずり込まれる。


最初バラバラとしていた客席の視線に背中が気づいた。
集中してるのがわかる。
全ての瞳が、柵の向こう側に。

ハンガーズのエネルギーは
最初から前に向けてアウトプットされるものじゃない。
インへと上昇し続けた温度が弾けて起こるビッグバン。
放出した音とエネルギーがリスナーそれぞれの感覚の中に入り込んで、
密度と温度を変化させて星になる。

悲しみのアンジェリーナが終わって、最後のsuperstarに移る時
それは起こった。
場末のキャバレーのような寂びれた空気が一瞬、真空に変わる。

それが、3人がフロアまるごと飲み込んだ瞬間。


ね?見なかったの後悔するでしょ?


5コ目。
アウェイをホームに変える旅が、北へ進む。

the HANGOVERS TOUR FINAL / HiT10

070522 @ 下北沢 CLUB QUE
op/18:30 st/19:00
adv¥2000 /door¥2300 /ドリンク代別
c/w FARMSTAY / MIXMARKET

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the HANGOVERS

the HANGOVERS TOUR REPORT vol.2

070324  @横浜BAYSIS

ツアー4日目は港町・横浜。
初日以降、柏・さいたまの2カ所を共に回った同事務所のNo Regret Lifeとは今日が最後。
こんな日はきっと嫌でも気合いが入るよな。

スクリーンがゆっくりと上がって、始まったのは終わりの無いゲーム。
マイナスとプラス、トータル0でゲームオーバーなバンドはどこにでもいる。
ずっとレベル0のまま終わりを告げるバンドだっていくらでも。

だけどハンガーズは、マイナスの状況から最上級の魅力を発揮する。
逆境を跳ね除ける3人の風は、音が止んでもなおプラスのベクトルへと進み続ける。
だから何度も、見たくなる。
欲張りなアタシには1ゲームで完結なんてモノ足りないもの。

この日、3人はキラキラした音源とはまた違う一面を魅せてた。
強くて硬いヘヴィなバランス、荒々しい音、かすれる声。
緻密に計算された画には表現できない、リアルであるがゆえの真っ直ぐな痛々しさ。

心のやわらかな部分を捕まれたみたいでなんだかとても悲しいのに、
目を離すことができなくなった。

ライブがナマモノでイキモノなのは
ステージに立つのも人間で、フロアに立つのも人間だから。
二度と来ない一瞬に出会う時、どっち側にいるのかなんて関係ない。
音に委ねて溶けていく先は一つ。
the HANGOVERSのライブは、
衝動も焦燥も快楽も全てを養分にして膨張する生物と同じ。


4コ目。
ずれてたピースは中盤できっちりはめ込まれ、
目の前でぐんぐん上がっていくボルテージが瞼の裏に焼き付いた。


the HANGOVERS TOUR FINAL / HiT10

070522 @ 下北沢 CLUB QUE
op/18:30 st/19:00
adv¥2000 /door¥2300 /ドリンク代別
c/w FARMSTAY / MIXMARKET

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the HANGOVERS

the HANGOVERS TOUR REPORT vol.1

コトの始まりはホワイトデー。
大型のレコード店でアレとかコレに混じって店頭に並んだのは
the HANGOVERSセカンドミニアルバム

『the HANGOVERSⅡ』

「すげーかっこいいのができた」とは聞いてたけど、ほんとにそうでびっくりした。
ファーストより一層レベルの高い、ロックとポップの濃厚で絶妙なバランスにやられる。
あちらこちらにちらばった遊び心は宝探し。
日々の苦味も酸味も、涙の味さえ全てとびきりおいしく仕上げてくれるヤツ。
そんな魔法の音楽を引っさげた2度目の全国ツアーが始まるって聞いて、
追いかけずにはいられないでしょ?

070319  @新宿 redcloth

ツアー初日は馴染みのハコでネクラポップとツーマン。

急ぎ足で向かう途中、まだ青い空に一番星を見つけた。
星はわけのわかんないくらい時間をかけて、たくさんのモノを乗り越えてここまで届く。
キラキラ光るたった一つの音楽もおんなじ。
今日のコレは、ここから始まる26回の奇跡、1コ目の星。


ハンガーズは「○○っぽい」とか「××に似てる」っていうのが見つかんない。
芯の通った8ビートを刻むドラム、
洒落っ気はないけどうねりのあるグルーヴを生むベース、
かき鳴らされるギターのシンプルなコード感。
特別テクニシャンでもないし、目新しいハデさも無い。
たぶん3つの音だけでいえば、いわゆるスタンダードでハッピーなロックンロール?


だけどね。


甘いメロディの上を七色の言葉で渡るトミーの歌声は、その音に乗って最大限に輝く。
他の誰の音でも、ダメ。
シンディとケンチュルビックとトミー3人の6つの音が重なった時、
ただのロックでもポップでもない
『the HANGOVERS』っていう音楽が生まれる。

そんな彼らのライブを見てるといつも思う。
ステージの上を駆け回る一挙手一投足。
滲み出るのは
「その場所にいる誰よりも、自分たちの音を楽しんでいるのは俺ら」っていう、自信。
もちろんそれは、単なる自慰行為じゃ終わんない。
その自信がフロアで踊るリスナーを安心させ、心を解く。

セカンドの発売も、今日が来るのもずっと待っていた聴衆の前。
この日の3人はいつも以上に、フロアを向いてた。

普段あまりMCをすることの無いトミーが口を開く。
「何千人、何万人の前でやる日が来ても、今日ここにいる人のことは、絶対忘れない」
一人一人を視界に入れるようにして歌う彼の姿に、
その言葉以上の深くて強い意志が見えた。

ツアー初日の動員、35人。
決して多い数字じゃない。

だけどこの日、3人の光を届ける旅の始まりを見送った35個の心は
確かに揺れた。


ツヅク。


the HANGOVERS TOUR FINAL / HiT10

070522 @ 下北沢 CLUB QUE
op/18:30 st/19:00
adv¥2000 /door¥2300 /ドリンク代別
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the HANGOVERS


070509 ハナイコウヘイ@下北沢 CLUB QUE

すでに初夏の匂いで充満した暑い夜。
たった一本のメールに心を打たれて向かったのは、下北沢。

この場所で初めて、百年公園というバンドで歌うハナイさんの姿を見た。
あれからちょうど、1年。
あの日、閑散とした客席で揺れながら
何を思ったんだっけ。

レコ発以来2ヶ月振りの、
バンドスタイルでのライブはスリーマン。
3月に発売されたアルバムの曲を中心にした45分間のステージ。
そこには一つ一つを大事に歌う、ソロアーティスト・ハナイコウヘイの姿があった。

以前見ていた彼の歌には、なんとも言えない痛みがあった。
歌うことに対してなのか、日々へに対してなのかはわからなかったけど。

しかし今日の彼に見られたのは、痛みの代わりに覚悟。歓び。慈愛。

生々しく鳴き声を上げるギターは、
4人のサポートミュージシャンの音に支えられて美しい音色に変わっていた。

透明感のある声がフロア中に響き渡る。

歌の波動はマイクからコードを通ってスピーカーから流れているはずなのに、
どうしてかハナイさん自身からまっすぐに飛んでくる。
全ての神経が聴覚に集中せざるを得ない。
心が耳に傾く。

『夕立』では夏の雨上がりの匂いが。
『午前5時』では明け方に凛と輝く星が。

細胞をざわめかせる。

ライブハウスの曇った空気の中
日常の中にこぼれた、柔らかくて切ない風景を映し出す。

その声と1本のギターを武器に
ハナイコウヘイというミュージシャンの戦いは、
この東京の空の下。

きっとまだ、始まったばかり。


TODAYS MUSIC↓

ハナイコウヘイ


and:キュマバロウ/THE SPINDLES


HANGOVERS
the HANGOVERS


1.フロアライト
2.シャローナ・シャローナ
3.銀色ミサイル
4.あのクロスロード
5.SHE DOES iT RiGHT
6.ビニール傘の唄


たまたまレコード屋さんで手に取ったCDが、
豪速球のストレートでど真ん中に入って来た時。

あなたならどうする?

例えば数十億人の人間の中で
片思いの相手と初めてのデートでそのままステディな関係になる確率や、
見た目も中身も好みのタイプで、心も体も相性の抜群な恋人と出逢える確率なんて、
たかが知れてるわけだけど。

そんな数パーセントの確率以上に奇跡的な瞬間だと思うんだ。

アタシなら9回裏まで待たずに、迷わずライブハウスに飛んでいく。
それがこのCDに出逢った時。


へそまがりでポップなロックンロール。
キャッチーなメロディに乗せられた言葉には、
夏休みが終わる日のにおい。

感覚の柔らかい部分を掴んで、揺らして踊らせる一枚。

the HANGOVERSのデビューを飾る、
その名も『the HANGOVERS』


1.フロアライト
心地よく歪んだギターで始まりを告げるのは踊れるロックンロール。

世界の真ん中でぐるぐるとフロアを照らすミラーボール。
反射されたロックスターの光に、ハートぶち抜かれる感じがたまらない。

3人のスピードに置き去りにされないように、感覚の全てを耳に集中させたらもう
他の音が聴こえなくなる。

2.シャローナ・シャローナ
3ピースとは思えない豊かなサウンドには、
バッキングボーカルとでも言いたくなるようなコーラスの力も大きい。

ロック色の強いパレットに、色とりどりのコーラスの絵の具を並べて、
好きなように混ぜたらつい口ずさんでしまう1曲が出来上がった感じ。

一度聴いたら二度と忘れられない名前。
「シャローナ」

3.銀色ミサイル
ハッピーなだけのロックンロールバンドじゃないことは
この曲を聴いたらわかる。

秋晴れの青空を二つに裂いたひこうきぐもを残して
行く宛の無い旅。
一瞬で消えてしまう甘酸っぱいせつなさと、儚い郷愁が染み込んでいく。

ギターとドラムをなぞるようにして繋ぐベースライン。
3つのバランスに全身を委ねても大丈夫。

4.あのクロスロード
直球のラブソング?ひねくれたメッセージソング?
どちらとも取れるけど、きっとどちらでもない。

Vo&Gt トミーが紡いで歌う詞は、耳から侵入して想像力を刺激する。
意味深な言葉遊び。
洋楽サウンドのカラッとした感じと、多彩な表現を持つ日本語を重ねて
どこ向いても似たようなジャパニーズロックから抜きん出る秀逸な世界観。

音とか言葉とか歌とか、部品だけでは成り立たない。
どのパーツもトータルで一つ。

5.SHE DOES iT RiGHT
低音はお好きですか?アタシはとても好きなんだけど。

内蔵にぐっと響くベースソロから始まったと思ったら、3つの音に頭ガツンとやられて
気づいたら身体が揺れてる。
どうしてこういうサウンドの曲を、キラキラさせることができるかな。

尖ったタテノリ8ビートのようでいて
要所要所で腰に来るグルーヴ感。

ハードなロックが苦手な人でも、これを聴いたらイチコロです。
上手な踊り方教えてくれるから。

6.ビニール傘の唄
トミーの声は一度聴くと耳から離れない。
甘さと苦さ、温かさと冷たさ、両極のバランスが危うくて。それなのに心地いい。
真似しやすそうでいて、実際のトコロ彼にしか歌えない声。

そんな魅力はこの曲で惜しみなく発揮されてる。
雨を歌った曲は数知れないけれど、こんな風に甘く胸が締め付けられる唄は他に知らない。

the HANGOVERSの曲は小難しいことがない。
コード感もシンプルだし、メロディもキャッチー。

だけどその単純な中で、これほどまでに風景や匂いや感覚を映し出せるのは
この3人にしかできない魔法。



全6曲


BGMにはなりそうもない。
だって始まりから終わりまで全身が集中してしまうから。


TODAYS MUSIC↓

the HANGOVERS
070422 残像カフェ@荻窪 velvet sun

雨の予報を覆した青空と何番目かの強い春風。
ここ数日の寒の戻りが嘘みたいな、暖かい日曜日。

以前から気になっていた残像カフェ(今更ですみません)が、
近所のライブハウスでツアー最終日ということで自転車をこいだ。

スタートぎりぎりに着くと、店の前にわらわらとおしゃれ女子集団。
どうやらリハが終わってないみたい。
ノ○ノとかS○EETSとかの雑誌から出てきた、決して一人で牛丼屋さんに入ったりしなさそうな(実際は牛丼どころか立ち食いそばも入れるかもしれない)オンナノコ達に囲まれて、緊張しながら待つこと15分。
ようやくオープン。

この緩さ、日曜の夜に調度好い。


残像カフェ

1週間の西日本ツアーを終えて東京に帰ってきたこの日、
小さなお客さんのかわいらしい合いの手に応えるようにして始まったライブ。

道行く人の脚と車の流れを切り取った窓を背にしたステージの上。
大森元気さんの歌とアコースティックギターの音しかそこには存在しないはずなのに、
なぜかコーラスや、ストリングス、他の楽器に加えて街の音まで聴こえてきた。

呼吸さえも歌うような独特な歌声。
一瞬一瞬、表情を変えるギター。
時にはカジュアルに、時にはおしゃれに、そして時には丸裸になってみたり。

そんな音が奏でる1曲1曲は、瞼の裏に色々な景色を残してくれる。
田舎町だったり、都会の夜だったり、雨の匂いだったりと。
だから弾き語りにありがちな飽きがないんだ。

現在の残像カフェは大森元気さん一人。
そのフットワークを活かして様々なコラボレーション活動を行っているみたい。
この日はピアノ&アコーディオンに荻原キョーコさんを向かえた残像カフェ3。
アコーディオンとピアノのやさしい音が、柔らかなエッセンス。

ベストアルバム発売の5月23日はO-nestでのワンマンライブで迎える残像カフェ。
バンド編成を含めた3つのスタイルにお目にかかれるそう。

たくさんの景色に溶け込めるよう、心を真っ白にして会いにいきたい音楽。


TODAYS MUSIC↓
残像カフェ

and:セレン(村瀬拓也)


ハナイコウヘイ
東京

1.東京
2. 36.5℃
3. モラトリアム
4. シダーウッド
5. 夕立
6. リバーシブル
7. 午前5時
8. ここから見える空


初めてハナイコウヘイの歌を聴いたのは、ちょうど一年前。
ビルの七階、東京の空に近いライブハウス。
彼の歌とギターが鳴り響くと、フロアのざわめきが一瞬にしてやんだ。
SEもなんにも必要ない。
ギターと自分さえあれば、路上でもどこでもそこをステージに変えることができる
まさしくそれが、弾き語り。

透明な声、鳴き声を上げる6弦。
たったそれだけなのに、心が惹き付けられてどうしようもない。

今でも覚えてる。

あの時、世界が変わったんだ。
迷った背中を押したのは、間違いなくこの人の歌だった。


あれから1年弱。

バンド「百年公園」での活動、解散を経て。
やっとの想いがこもった1stアルバムが届いた。

いくつもの殻を脱ぎ捨ててここまで来た
ハナイコウヘイのはじまりの一枚。

1.東京
ハナイコウヘイの音楽には二面性があって、このタイトルトラックは優しさの部分が滲み出てる。
彼のギターはとても正直。

曲の中心でリズムを刻むアコースティックギターの音に
いつか時計の針が「チクタク」と進む音に耳を傾けた時と同じ気持ちがした。

幻と現実のあやふやな境目がはっきりと輪郭を見せて
遠のいていく距離。
そんな時間を見つめてきた一本のギターが旅立ちの時を告げたのかな。

2.36.5℃
頭がぐらぐら煮えるような高熱でもなく
かといっていつも通りでもない。
ちょっとした微熱。

アスファルトの真ん中で、思い出すのはあの人の体温。

そんなぬくもりを感じるバンドサウンドの1曲。
ストリングスの音色が曲に広がりを持たせていて、
雄大な流れの中に包み込まれているような感覚に陥る。

3.モラトリアム
駆け抜けていくのはモラトリアムの中。
様々なしがらみを振り切るようにして走る。

ともすると月並みなギターロックになりがちな曲が、
要所要所のピアノの味付けで独特のセンスを放つ。

ひずんだ音にハナイコウヘイの角の取れたハイトーンな声が惹きたつ。

4.シダーウッド
この曲では彼の弾くピアノが聴ける。
元はドラマーだし、ギターも弾くし、ベースも弾けるんじゃないかと思うんだけど
鍵盤までできるなんて、マルチプレーヤー。

そんなハナイコウヘイだからこそ、自分の声を一番引き出す音を知ってる。

シンプルで柔らかな伴奏が、彼の声の透明度を上げる。

森の中で木漏れ日を浴びる
小さな白い花みたいな歌。

5.夕立
このアルバムの中で個人的に一番好きな曲。

雨上がりにいつもの街がきらきらして見える。
湿り気を帯びた夏のにおいがする。
そういう歌。

「雨に濡れたら帰らなくていいことにして 僕らこのまま遠くまで」

きっとこの夏は夕立が楽しくなる。

6.リバーシブル
彼の歌がリバーシブルで
表が優しくて暖かい方なら、この曲はその裏側。

重くゆがんだアレンジの音と普段より低めのキー。
低い位置から暗闇を突き破るようにして歌い上げるのは
一人の人間の小さくて、でも誰にでもある闘い。

ハナイコウヘイの歌に込めた意志。

7.午前5時
明け方のレクイエム。

朝と夜が溶け合う時間の空の色に
ざわめいた頭を沈めてくれる。

ひとりぼっちで眠れない夜にそっと寄り添うような歌。

8.ここから見える空
アコースティックギター1本が彼の味方。

ごくシンプルな弾き語り。

だけど街の音さえも音楽に変えて
1枚の景色が浮かぶ。

彼のはじまりの場所から見えた空の色。



全8曲。

全てを聴き終えると涙を零した後のように
視界がクリアになる。


TODAYS MUSIC↓

ハナイコウヘイ
070413 榎本くるみ インストアライブ@新宿タワーレコード


まだ、こんな歌い手が残ってたのか。

それが正直なところ。


タワレコの隅、ライブスペースはあふれんばかり。
ここ最近テレビへ露出していたのもあって、注目度は急上昇。


榎本くるみ


真っ黒な髪に、Tシャツ。
ラフなスタイルでありながらも、その存在感は圧倒的。


聴き手の心を浄化していくような歌声は、懐かしい安心感を与える。


天使でも悪魔でもない。

たった一人の人間の歌。


きちんとピッチを合わせて正確な音階を奏でるどんな楽器にも真似できない
声という名の「音」

それは耳でも頭でもない、心臓に突き刺さる。

体中の細胞がざわめいて、
耳に残った彼女の声を思い出すたびに胸が苦しくなる。


それはまるで恋に落ちたあの日とおなじ。



5月には初めてのアルバムが、
そして6月にはワンマンツアーが控えているという。



春から初夏へ移りゆく恋の季節、
たくさんの人が彼女の歌にときめきを覚えるに違いない。



TODAYS MUSIC↓


榎本くるみ