匠BANK.P インタビュー企画 第13回
株式会社アミズ
清 卓也 副社長
第13回の今回は、デジタルサイネージを始めとし、空間デザインや広告・プロモーションのほか、LINEの配信プラットフォームなどの開発・運営を務める株式会社アミズの清副社長にご協力いただきました。
ホール勤務を経て、数々の飲食店をプロデューズし、IT分野でも多くの実績を残す清副社長の、重みのあるお話を伺うことができました。
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匠BANK.P(以下 匠)>
この度はお時間をいただきまして誠にありがとうございます。
まずは、現在に至るまでの経歴をお伺いできますでしょうか。
清 副社長(以下 清)>
僕の場合少し複雑なんですが、最初に遊技業界に入ったのは日拓さんに入社してからです。
アミズの代表は日拓時代の同期なんですよ。一番のポン友みたいな関係で(笑)、すごく仲が良かったんです。僕は先に日拓を辞めて、飲食店や結婚式場、宿泊施設など箱物のプロデュースや、フランチャイズビジネスの構築などの仕事をはじめました。
その後独立して、箱物のプロデュースのほか、飲食店のタイアップ事業などを手がけていました。
昔は飲食店がタイアップするという考え方はなかったと思いますし、当時日本で初めてだったんじゃないでしょうか。
匠> 飲食店でタイアップしようという発想はどこから生まれたのですか?
清> もともと運営していたカフェレストランの顧客の方が、20代の女性がメインのF1層でして、立地も青山ですし発信力が強かったんですよね。
すごく良い客層なので、店内やメニューをジャックしたら面白いんじゃないかと思ったんですよね。
カフェ内にモニターを設置して、飲食店と放送のタイアップをやったりもしました。極端な話、放送が入ればお客さんがいなくてもお金が入って来るんですよね。
それがフランチャイズ化するための1つのモデルケースになっていったりして…こんな感じでビジネスモデルを色々作るのが好きでした。
匠> ずっと店舗系のビジネスをされていて、IT関連の事業に着手されたのはいつ頃からですか?
清> アミズに入る前に自分が運営していた会社で、フランスの会社と共同でARのシステムを作ったのが最初です。
テレビでVRもARもできるスタジオを作り、プロモーションに使えるような仕組みを作っていました。あとはARから派生して、Beacon(ビーコン)という位置測位の技術を使ったシステムを開発し、プラットフォームを作って売ったりして、そこから徐々にIT業界に軸足が入ってきたっていう感じですね。
最終的にはMBOをしようという話になったのですが、それがうまくいかず会社を手放してアミズに合流しました。遊技業界も印刷者の需要が少なくなり始めている中、デジタル周りの戦略がまだ遅れているので、僕のIT業界の経験を活かして一緒にできないかということで、この会社に入ったんです。
アミズに入ってからはまだ3〜4年なので、僕は遊技業界が長いわけではないんですよ。
遊技業界は他の業界からは少し入りにくいですよね。だから他業界からの視点だったり、遊技業界にプラスになる事や、今足りていない部分を僕がサポートできればいいな、と思って関わっています。
匠> 改めまして、アミズ様の事業内容を教えていただけますか。
清> いわゆる広告代理店ですね。基本的にはお店内外の装飾周りや、ウェブ広告と、一部ITに関連することですね。
どちらかというとハウスエージェンシー的なお付き合いをしているので、少ない会社さんと密にお付き合いをしています。
とはいえ、今はLINEのサービスやWEB系のサービスなどを始めたので、ありがたいことにここ2年くらいでお付き合いいただける会社が増えてきていますね。
匠> いま一番力を入れているサービスはどのようなものですか?
清> LINEのサービス〝P・BOT〟は当然おすすめしていますが、現在はそのP・BOTも含めた、データ統合やマーケティングのサポートにすごく力を入れています。
ホールさんは様々なデータをお持ちなのですが、色んな形で散財していてうまく使えていないんですよね。僕らはそれがしっかりお客さんにつながるようなMAツール(マーケティングオートメーションツール)を作っています。
例えばお客さんが来ていても、データ上ではどれが誰だか分からないということがよくあるのですが、データを統合してお客さんの顔を分かるようにするのが第一ステップです。
一人のお客さんが男性なのか女性なのか、どのくらい来ているのか、どんな行動をしているのかを知った上で店舗運営に活かせるようにしていきます。
しかし、マーケティングプラットフォームは世の中に8,000弱くらいあると言われていて、この中から1つピックアップして、自社に合うものを選ぶって相当難しいですよね。活用されない事例がたくさんできてしまうと、それはミスマッチとして終わってしまいますし、しっかり選別できる方がいないと、うまく動いていかないと思います。
我々は「このツールを買ってください」ではなく、「あなたに合うのはこのツールですよ」というご提案をしています。たくさんあるプラットフォームの中から、お客様のやりたいことをお伺いしながら、その方に合うプラットフォームを設計していくんですよ。
運用も一筋縄ではいかないので、ちゃんと事務局やプロジェクトチームを構成して、その中に我々が入って戦略的な施策を構築し、ご一緒に運営させていただきます。しっかりレポーティングをして、お客様がどう推移していくかを検討していくというスタイルです。
このように代理店などが入り込んでパートナーとなって運営していく形は、実はどの業界でも当たり前のことなのですが、遊技業界にはまだ少ないんですよね。とりあえずツールだけで選ぶとだいたい良くない形で終わってしまうので、しっかりチームを組んで、中・長期的にやっていくことが必要だと思います。
匠> サービスを売っているというよりも、パートナーとして密にお付き合いをされているのですね。
業界ならではの大変な点などを感じられることはありますか?
清> まだ業界全体に今までこういったツールの導入が進んでいなかったので、何がどのようにできるのか、なぜそれが必要なのかを詳しくお伝えしていく必要がありますよね。
MAツールとは何か、キャンペーンがあって、メールを流しましょう、内容を人によって変えましょう、メールを開いた人には次はこうして、開かなかった人にはこうして…っていうのを自動でできますよ、っていう話を細かくしてようやく理解して頂けるんですよね。
匠> サービスを理解して頂くために、何か工夫なさっている事などはありますか?
清> 根気強く説明させて頂くようにしています。
あと先日は全遊振さんのセミナーでWEBの施策に関してご説明させていただきました。
言葉では〝リスティング〟や〝リターゲティング〟とか聞いたことあるけれど、実際どういうものなのかが分からないという方もいらっしゃいますからね。
今日のようにメディアに出ることも、理解して頂くための活動の1つだと思います。
また、「みんなやっているから始めてみて、効果が出ているか分かんないけど、今までお金かけてたから続けないと怖いよね…」というものも多いのですが、それではもったいないですよね。
このような知識の乖離も埋めていかなくてはいけないです。規模が大きい業界だったら色んな人が外に出て勉強してくるので、知識も入りやすいんですが、遊技業界はまだまだ外からの情報が入って来づらいですからね。
匠> 積極的に新しい知識を得る努力が必要ですね。
清> 業界自体がこのまま右肩上がりで拡大していくのは簡単なことではないんですよね。それはみなさん感じていらっしゃると思います。
そんな中でも伸びているところもありますし、新しいものを取り入れたり戦略的に頑張っていらっしゃるところが今すごく躍進しているんじゃないかなと思います。
匠> 今まで多くの飲食店プロデュースや新規事業の立ち上げなどもされていますが、このビジネスはいける!と思うポイントや基準はありますか?
清> 僕の場合、あんまりロジカルではないんですよ。最初は自分でも訳が分かっていない事が多いですね(笑)。
例えばARや位置測位などは、「こんなものが商売になるのか?」と思いながら最初はやっていて、色々考えているうちに、別の情報と結びついて一気に商売の形が描けてくる瞬間があるんですよね。
匠> 最初から必ず行ける!と思ってやっているわけではないんですね。
清> そうですね。こんなものがあるんだ…くらいの考えから、徐々に色々紐づいてきて、突然ビジネスとして形になるみたいな感じです。
ARの場合は、ある超大手百貨店さんがARを使いたいと連絡をくださって、「ARで何をやりたいんですか?」って逆にこちらは聞きに行ったんです(笑)。そしたらショーウィンドウにARを使いたいって仰るんですよ。
クリスマスのプロモーションでしたが、ショーウィンドウの中にモニターとカメラを置いて、中を覗き込むとデザイナーが作ったキャラクターが顔の周りにくっついてくるみたいな内容でした。
僕は「賑やかしにはいいのかな?」くらいに思っていたのですが、蓋を開けたらなんとショーウィンドウの前に列ができるほど話題になったんです。百貨店の担当の方にも「ショーウィンドウに人が並んだのは初めて見た」と言われて、それだけの力があるコンテンツなんだなと初めて気が付きました。
「これをやりたい!」という確信があって進んでいくというよりも、あるものの中から少しずつ進んで行って、形になるものが残っていくことが多いですね。だから、できるだけ普段から多くの情報に触れて、自分の中のストックを増やしておくというのが大事ですね。
匠> 最初はよく分からないものだからこそ、人より新しいことができるのかもしれないですね。
清> 失敗もたくさんしましたよ。
六本木に〝サイバーラーメン屋〟というのを作ったんですが、全然だめでしたね(笑)装飾バチバチにして、ギラギラのラーメン屋にしたんですが…。あとは、ニューヨークで流行っていた〝トスサラダ〟を日本に持って来たんですが、全然流行らなかったですね。〝風水レストラン〟っていうのをやったこともあって、これは結構流行ったんですが、失敗も非常にたくさんしました。
匠> 経営したりプロジェクトを走らせる上で、大事にしていることはありますか?
清> 僕はどちらかというと、製品を攪拌(かくはん)することより、新しく作るほうが得意なんです。良いものだからといって全ての人にとって良いとは限らないですから、お客様の要望をしっかり聞いて唯一無二のものを作ってあげるほうが好きなんですよね。
そのほうが結果までサポートできますから、お客様が喜ぶ顔が見られて良いですね。
匠> 社員とのコミュニュケーションで気をつけていらっしゃることはありますか?
清> アミズは従業員に対してはかなりしっかりしたスタンスでやっていると思います。
福利厚生や、モチベーションをどう上げていくかなどもかなり早い段階から取り組んできたと思います。
僕自身は、昔から若い子と働くよりも年上の人と働くのが好きなんですよね。 自分の立ち位置や自分の良さを活かせる方法を考えていくと、おじさんの方が好きだなと(笑)。
自分でやっている会社もここ最近は全員僕より年上ですね。最初に新しいビジネスを立ち上げるのが僕の仕事ですが、新しく何かをする時はパワーが必要なので、経験や知恵のある人間と先に形を作ってしまうやり方が僕には合っているかな、と思いますね。
若い子もすごく頑張ってくれるので、形が出来上がっているものに対して教育してしっかり伸びてもらうようにしていきつつ、僕らはまずそこまでの形を作るほうを頑張ろうかと思っています。
匠> どのような人材を求めていますか?
清> 求めているというか、いい人材だなと思うのは、例えば飲食店の料理人さんや、ITの技術者の人たちでいうと、良い料理人・良い技術者はお客さんをよく見ていると思いますね。
形しか見ていないと良い商品が生まれにくかったり、営業側と意識の乖離が出てくるので。
匠> 従業員はどのような方々ですか?
清> 僕が思っているよりも、自分達ですごく色んなことを考えているなーと思いますね。
いつの間にか社員たちが考えた新しい仕組みが出来ていたりして、「そんなことまで考えているんだ」と驚く事が多いです。
匠> 会社のトップの立ち位置だからこその苦労はありますか?
清> やっぱり人間関係が大変だと思いますね。
お金勘定は経理の方たちがやってくれますから(笑)。特に従業員との関係ですかね。一生懸命新しいものを作っても、気がついたら誰もついてきていないとか…僕は割と従業員を置き去りにしがちなので(笑)気をつけています。
会社としても、社員によくヒアリングをしたり、安定して働いてもらうためにはどうしたらいいかなど、真剣に取り組んでいますね。そのおかげもあってか、こういう業界にしては珍しく離職率はすごく少ないですよ。
匠> 今後の目標や展望を教えてください。
清> 無駄なサービスをなくしたいなと思うんですよね。
WEBサービス1つとっても、すごくたくさん数があるじゃないですか。ホールさんに何故そのサービスを導入しているのか聞いたら、「なんかみんなやってるし」とか、「隣もやってるから」などの曖昧な理由も多いんですよ。
業界では機械台周りはすごく進化しているのに、それ以外の部分が止まってしまっていると感じます。
だからこそ、先ほどお話ししたようなデータ統合が必要なんです。結果につながっていない物がすぐにわかるので、無駄を省いて必要な物・良い物だけを残していけるよう、お手伝いできたらいいなと思います。
匠> 新しく挑戦する若者や、独立を考える人へアドバイスをお願いします。
清> 僕は起業を手放しでおすすめする派ではないです。それに伴う苦労もかなり経験していますからね。
ただ、今の時代は色んな働き方があるので、それは自由だと思います。
もし起業を考えている人がいるなら、目の前の売り上げや美味しいものに飛びつかない、我慢強さが必要だと思いますね。経営が厳しくなったり、自分の生活をなんとかしようと思うと、目の前にある色んなことに手を出しがちなんですよね。自分もそういう時代がありました。
ただそれをやっちゃうと長続きしないですし、自分の〝骨〟や〝ポリシー〟がどこにあるかがブレないのが大事だと思いますね。それさえ我慢できる根性があれば良いですが。でも人間って結局そんなに強くないので、背に腹は変えられないような状況が必ずあると思います。一筋縄ではいかないので、よく考えてからやってほしいですね。
飯を食うくらいなら出来るようになると思いますけど、〝自分の目的は飯を食うことなのか〟ということをよく考えた方が良いと思うんですよね。
飯を食うだけなら独立する必要はないと思いますし、そこまで高いことを目的としないのであるなら、組織人として生きる楽しさもいくらでもあると思うし、お金の心配をしないで働ける喜びって、なかなかわからないと思いますが、すごく恵まれたことだと思います。
自分がどうなりたいか、っていう粘り強さと、自分が何を商売として生きていきたいのかという本当に強い意志がないと、ぶれてしまうと思うので。
経営者とはまた別で、フリーランスという形もありますから。
そうなってくると匠BANK.Pのようなサービスが便利だと思います。そういう人たちが色んな環境で活躍できるプラットフォームも今後たくさん出てくると思いますし、様々な働き方ができる世の中になれば良いと思います。
匠> やりがいを感じる時はどのような時ですか?
清> やっぱり発注が入った時ですね。これに尽きますよ。
お客さんにも認めてもらえたと思いますし、自分も発注されたからにはしっかり仕事しなくてはいけない、という身の引き締まる思いになります。
匠> 遊技業界の現在や今後について、感じる事などを教えてください。
清> 最初にお話したように、他の業界に比べて導入が遅れているサービスなどが多くあると思います。もう少しこの業界自体の間口が広がってくれれば良いですね。
若い方などは特に、視野の持ち方が変わったりして新しい物をどんどん取り入れている方も多いので、頑張ってもらいたいですね。
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<匠BANK.Pインタビュー恒例!きいてみようのコーナー>
同じ質問を色んな方に聞いてみることによって、インタビューでは伝わりきらない人柄や個性を感じ取れるこのコーナー。
第13回の清副社長は、ゴルフを愛し、仲間を大切になさる人柄を垣間見られる回答です。
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Q:平成最後の日には何をしたいですか?
A:うーん、そういえば昭和の最後の日は原付の免許とりました。だから昭和発行最後の日付で免許を持っているんですよ。
平成最後の日に、何か日付が残るものを取りにいくのも面白いかもしれないですね。
Q:今一番行ってみたい場所は?
A:先日、ゴルフでずーっと行きたかった宮崎のフェニックスリゾートに行ったんですよ。
ゴルフ好きとしては最高峰ですからね。だから一番行きたいところは行けちゃったかな(笑)
今後行きたいところでいえば、仲間内でゴルフの競技会をやるのですが、その決勝に行きたいです。4人で1チームのチーム戦なんですが、来月予選があるんですよ。
Q:一番のストレス発散方法はなんですか?
A:それはもう、ゴルフですね(笑)
ゴルフって思い通りにならないところがいいですよね。仕事やプライベートは、思い通りにはならなくても、努力していれば少しずつ近づいていけると思うんですが、ゴルフは全く思い通りにならなくて、それが面白いんですよね。
Q:一番怖いものは?
A:仲間がいない経営、っていうのが一番嫌いですね。
孤独な経営というか…経営者ってそうなりがちなんですよね。それが一番怖いです。たいていの事って時間が解決してくれると思いますが、時間でもなかなか解決できない事とか、社会的に背負う物などは怖いですね。
Q:生まれ変わったら何になりたいですか?
A:僕ね、生まれ変わったら政治家になりたいんですよ。
面白そうじゃないですか?実際は大変だと思うんですが、日本の何かに関わっていく経験ってなかなか出来ないですから。社会福祉に興味があるのでそういった事をやりたいですね。
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