堀江貴文さんが語る「近い将来、世界の一大産業が『遊び』になる」

2018年12月26日 16:10現代ビジネス

(文・堀江 貴文)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58224

大きな反響を呼んだ堀江貴文さんの“お金の特別授業”。『マンガでわかるお金の教科書 インベスターZ[ビジネス書版]vol.1』から期間限定で公開するインタビューの第2回をお届けする。

ノリよく、たくさん経験しよう


第1回で話したノリの良さにつながる話として、漫画『インベスターZ(コミックス第8巻)』のなかに登場した私は、若者にある体験を無茶振りしている。不老不死ビジネスへの投資を申し出た京大生の中川に、東京から札幌まで43時間半以内にヒッチハイクして到着するように命じたのだ。

これは面白い。もし現実に中川のような青年が現れたら、同じことを命じるかもしれない。

ヒッチハイクは、いい体験だ。私も学生時代のお金がない頃、よく国内でヒッチハイクした。車を止めて知らない人に声をかけるのは、すごく怖い。だけど車に乗せてもらえないと移動できないし帰れないのだ。若者が度胸をつけるには最適の方法だ。

ヒッチハイクで日本一周も、10代で投資ビジネスも、豊かな体験。体験の多い人が、面白い人生を歩めるのは間違いない。多くの体験のなかで「これが本当に好きだし、得意だな」と思えるものに出合える確率も、当然上がる。

「どうやったら好きなことが見つかりますか?」の回答は、ノリ良く、たくさん体験をすること、これしかない。

先生・大人はへたに教えるな


大人は子どもの体験を全力でバックアップすること。邪魔しても意味がない。というか、邪魔する根拠がない。子どもが大きくなる10年後、世の中はこうなっていますという明確なビジョンがあれば、好きなことをやらせないほうがリスキーであるとわかるはずだ。

初等教育の先生は、今後はキュレーターに徹するべきだと思う。あまたある情報からノイズを除去して有用な情報だけ抽出して提示する役割だ。子どもたちの興味あること、才能を伸ばせそうなことを、できるだけたくさん提示して、何を取るかは子どもに選択させよう。

いまの初等教育のシステムでは、本当に有用な知識を子どもたちに教えるのは、限界だろう。だいいちスマホも使いこなせない先生ばかりの教育現場で(しかも禁止していたりする)、本当の創造性が育つわけがない。

先生はへたに教えるな! というのが私の一貫する主張だ。

ダメな先生は、「おまえには才能がないから○○は諦めろ」とか「やるだけ時間の無駄だ」などと言って、生徒の選択肢を絞ろうとする。それが大人の役目だと思いこんでいる。大間違いだ。うまくいくかどうかの判断は、本人がすること。

親や大人にできることは、子どもに「これやってみるか?」とたくさん差し出して、「やる!」と言ったものをすべてやらせる。これだけだ。

私は子ども時代、「マンガを読んだらバカになる」と言われ続けた。「テレビばかり観たらいけない」と言われたし、「勉強の邪魔になるから」と親にパソコンを捨てられた。やりたいこと、好きなことをたくさん封じられてきた。

けれど結局、大人になって役に立ったのはパソコンの知識であり、テレビやマンガで培った感性だった。親や教師の言うことを信じてもロクなことはない。

パンドラの箱を開けるのが人間


旧来の発想で10年後の将来を描くのは、不可能だ。タブーとされたものがタブーではなくなり、選択肢はさらに増えていく。

左寄りだろうと右寄りだろうと、旧来型の社会モデルを守ろうとしている人たちは、いまのシステムが永続的に守られていくものと信じている。

私には理解できない。彼らは、人間がどういうものであるのか、本質的な認識が欠け落ちている。人間というのはパンドラの箱を開けたがるものだ。それが人の本質だ。
パンドラの箱を開けようとする人間が一定数いないと、人間は人間たり得ない。誰もパンドラの箱を開けないのは、猿の社会だ。

私たちはなぜ猿から人間に進化できたのか? パンドラの箱を開ける猿が、現れたから。行動し、リスクを取ってチャレンジした猿が続々出現したことによって、私たちは木を降り、火を扱い、文明を築いてきたのだ。 以前の暮らしや価値観にこだわり、チャレンジを否定してしまったら、それは人間ではない。

どんなに「危険だ!」と言おうと、パンドラの箱を開ける誰かは、必ず現れる。開いた箱は、もう二度と閉じられない。私たちはパンドラの箱を開けてきた。これからも、パンドラの箱は開いていく。それが人の社会の本質であることを、忘れてはいけない。
 

どうせ誰かがチャレンジする、ならば自分で!


原子力発電はパンドラの箱の最たる例だ。弊害や事故のリスクはどうであれ、原子力発電は人間が開けた箱だ。何者かに強制されたものではない。私たちが自らの意志で、原子力をコントロールしていくという文明を選んだのだ。灯してしまった原子力の火は、もう消せない。開いた箱は、閉じられないのだ。

反原発を唱える人たちは、その根本がわかっていない。もっともらしいデータや論証で原発廃止を訴えるけれど、結局は人道論、情緒論に終始する。じゃあ開いたパンドラの箱を、人の意志で閉じることができるのか? その問いには誰も答えられない。
開けられそうな箱は、絶対に開ける。それは人の宿命だ。人間が人間たることを否定してもしようがない。

パンドラの箱というのは開けられるという前提で、すべての物事を考えよう。

原子力発電は1950年代前半、当時の科学界や国家間でリスクは論じられたが、結局「平和政策」として開発が進み、旧ソビエト連邦のオブニンスクで最初の発電所が造られた。日本では湯川秀樹ら識者の反対を受けながらも、1966年に日本初となる東海発電所が稼働を始めた。

その結果、どれほど私たちの科学力が進化したか。検証するまでもない。新しい進化の果実を得るために、リスクを取って前に進むのが、人類の美しさだ。 チャレンジは止めても、意味がない。どんなに危険でも、安定性がなくても、どうせ誰かがチャレンジする。ならば自分で、チャレンジしたほうがいい。

素人革命により「遊び」が仕事に変わる


チャレンジのハードルを下げたのは、IoT(Internet of Things:あらゆるモノがインターネットに接続し、相互に通信し制御しあう、という概念)革命だ。

IoT革命の中心であるスマートフォンは全世界で、何億台というロットで出荷されている。大量生産により、1台あたりに搭載されているセンサーの値段は安くなって、高性能化がどんどん進んでいる。それによってロボットや、自動運転、様々なものの自動化の技術が飛躍的に進化してきた。IoT革命はスマートフォンの進化によって起きたといえる。

タクシー運転手、スーパーのレジ打ち、会社の財務部門などはやがて機械化され、職業としては消えていく。物流も自動化される。農業も、食料生産も自動化される。人が汗水流して働く場は、これから年単位で減っていくだろう。

仕事がなくなると、どうなるか。人には余暇が、いっぱいできる。だから遊ぶようになる。遠くない将来、世界の一大産業は「遊び」になると思う。そのたしかな兆しは、「素人革命」だ。

お金や技術や才能がなくても、遊びや趣味の延長で、プロと並ぶ仕事をしている素人が続出している。たとえばカメラマン。プロ用のハイスペックなカメラを、一般人が普通に使っている。手ぶれ補正や、オートフォーカス機能の充実はすごい。フィルム時代にはプロにしか撮れなかった奇跡の一枚が、誰でも撮れるようになった。

私の元秘書の女性も、未経験者だったが、プロのカメラマンとして仕事をしている。技術はそれほどでもないけれど、カメラの性能がいいので、写真のクオリティには遜色がない。彼女はコミュニケーション能力がとても高く、子どもに好かれる。彼女の撮った自然な笑顔の子どもの写真は、なかなかの人気だ。収入は自分の子どもを養うには充分だという。

技術の進歩によってプロと同じレベルの仕事ができる。彼女も、素人革命の恩恵を受けたひとりと言える。
 

「行動」が「信用」になる


また、こんな例もある。以前、札幌でひとりの主婦に会った。普通のシングルマザーなのだが、「キャラ弁」づくりがめちゃくちゃうまい。オリジナルのキャラ弁をブログにアップしているうち大人気になった。ブログで発表するという、わずかな行動をとっただけで、彼女のもとには仕事のオファーが殺到している。

私はInstagramやYouTubeも活用したほうがいいと提案した。英語で発信したら、きっとすぐ100万フォロワーぐらいになる。札幌の主婦が、世界中から引っぱりだこの、キャラ弁クリエイターになる可能性は充分にある。この主婦も、素人革命の実現者だ。

要は、アイディアと行動力だ。

素人革命を遂げたのは、みんな自ら動きだした人たちだ。自分で行動したことが、彼らの「信用」となっている。

時間をかけた勉強や訓練は、どのジャンルでも一定量は必要かもしれない。しかし、蓄積されたスキルではなく、やりたいように動きだし、それまで「遊び」だったものをビジネスに変えていく個人のセンスが、信用ひいてはお金を生みだしていく時代になりつつある。

遊びを起点にした素人革命が、次代の新しい産業革命となるだろう。

情報を掛け合わせて新しいものが生まれる


以前、バンコクのホテル、ウェイクパークに行ったときのことだ。そこで、ワイヤー・ウェイクボードに挑戦した。ワイヤーで吊られたボードに乗り、電動ケーブルで引っぱられて水面を走行する。スリリングで、本当に面白かった。

ウェイクパークの周りは一面田んぼだった。10年後はきっと、GPSセンサーで自動制御されたロボットが、穀物の種蒔きから収穫までせっせと働き、その横で人々がボードに乗って遊んでいる光景が広がっているだろう。

そういう世の中になったとき、誰が一番得しているのか。いま、田んぼの横で日がな一日、ボードに乗って遊びまくっているヤツらだ。10年後には超うまいインストラクターになって、観光客相手に稼ぎまくっているはずだ。

これは先の素人革命に通じる話だ。遊びがビジネスになったとき、誰が儲かるか? 遊びの達人だ。 現代のコンサルティングビジネスと同様に、楽しく遊び倒したヤツだけが持っている体験や知識が、高い値段で売れるようになる。その先陣が人気YouTuberたちと言えるかもしれない。

遊び方を知らないと豊かな人生を送れないというのは、そういうことだ。昔の言い方とは実情が違っている。遊びの体験を仕事に活かすのではなく、遊びそのものがビジネスになる。遊ばないと儲からない、そんな時代になっていく。

 

(探してみました!)


海外には面白い遊びがいくらでもある。バックパック旅行でもLCCチケットでも、うまく利用すれば、バイト代程度で海外へ安く行ける。泊まりはAirbnbを使えばいい。広い世界の情報を得るには、少しの工夫とお金で足りる。自分には遊ぶお金も余裕もないなんて、諦めていたらダメだ。

体験は、情報だ。情報そのものは役に立たないかもしれない。けれど情報を掛け合わせることで、新しいものが生まれてくる。掛け算の母数を増やすために、もっと体験を積もう。遊ぶだけでも全然OKだ。

年がら年中、遊んでいるだけなのに億万長者、という若者は、ぽつぽつと現れてきている。これからは遊び倒した者が勝つ世の中になる。

本当の「豊かさ」とは何か?


豊かな人生とは何か? 貯金がたくさんあって、老後が安泰なことが、本当に幸福なのか?

質の良い情報を浴び、思考停止を解いて真剣に考えれば、答えはわかるはずだ。 金に縛られる人生を生きるな! と言いたい。お金儲けや、貯金を守ることなんて、考えないでほしい。

人生を豊かにするのは信用、そして楽しい体験を得られる行動だ。 行動した者には、信用が集まる。信用があれば、お金がなくても生きていける。そういった常識が、もっと浸透するといい。

私はかつて自分の著書で、こう書いた。

「アイディアよりも圧倒的に大事なのは実行力だ。思いつきより、考えたことを努力して、形にした人が本当に評価されるのだ。この国では、最初の一歩を踏みだした人が賞賛される向きがあるけど、本当の未来を切り拓くのは、アイディアを体系化できる能力を持った人だろう」

頭で考えて止まっていたらいけない。どんな楽しいアイディアも、実現することに意味がある。尻込みすることはない。素人革命によって、あらゆるアイディアは誰でも実現可能になりつつある。

どんどん行動して、君自身が封じてしまっている、パンドラの箱を思いきって開けよう。ただの道具であるお金に振り回されない、人生の扉がきっと開くはずだ。

 

https://www.news-postseven.com/archives/20170224_494180.html

 

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遊びが仕事になる。

ベーシックインカムが導入されて

人間が労働から解放されて

遊び自体が仕事化する・・・

 

縄文時代のライフフォーマットが

転用できるのではって思っています。

 

ゴールデンカムイ・・・

読まなくっちゃ〜

 

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