検索エンジンの向かう未来とは?
検索業界の重鎮5人が
検索サイトの未来をズバリ予測
Five Visionaries Sum Up The Future Of Search
For the past several months in this column, I’ve been asking a number of people the same question: Where will search go from here?
For the next two columns, I wanted to sum up what came out of those conversations and find the common themes.
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)
それは、
"検索はどうなるのだろうか?"と言う問いである。
私は賢人との会話から導き出された答えをまとめようと試み、
そのなかで共通するテーマに出会った。
成功への期待における変化
賢人の多くが、“検索はこうであるべき”だという期待に大きな変化があったと述べていた。
ウェブ検索の基本的な枠組みは過去約20年間でほとんど変わっていない: 1つのクエリボックスと順位がつけられた結果のリストと言う構図である。
1996年の検索結果のスクリーンショットと現在の検索結果のスクリーンショットを比較してみれば、急速に変化するオンライン世界であっても、15年間、この点においてはほとんど代わっていないことに気づくだろう。
しかし、
現在、この流れに変化が生じようとしている。
私たちは検索エクスペリエンスからさらに多くのメリットを望んでいるのだ。
この経験が、スマートフォンから立ち上げられた場合、アプリを介して立ち上げられた場合、または、具体的な意図を持って立ち上げられた場合など、状況によっては大きく異なるように見えることが大きな原因である。
従来の「フリーサイズ」的な検索エクスペリエンスは、
変化する期待から取り残されないように四苦八苦している:
「この関連性と言う共通した概念は、ウェブの初期においては功を奏していた。
ウェブの規模は小さく、静的なウェブが多く、
そして、
ウェブがウェブと言う用語から逸脱していなかったからだ。
このようにしてページランクが作成された。
そして、このアルゴリズムは素晴らしかった。
私は今でも素晴らしいと思っている。
しかし、
全く同じ概念を用いていること自体が若干常軌を逸しているような気がする。
癌の治療に最も適した病院を探すなら、このモデルがいかにバカバカしいかが分かるはずだ。
私たちは人気、そして、リンクの本数に依存して、最適な病院を探しているのだ。全く利に適っていないと言わざるを得ない。」
ジョン・バッテル ファウンダー – フェデレイティド・メディア、ザ・サーチの著者:
「私たちは、10年に渡って非常に基礎的なグーグルまたは“グーグルもどき”の利用を理解してきた ? キーワードを入力して、レスポンスを待つ。
しかし、検索およびクエリに応える最高の文書を返すフレームワークは形を変えている。
ユーザーは遥かに複雑な疑問を尋ね、繊細な答えを要求している。
それは、実際にそのような答えが存在する点を知っているためだ。」
私がインタビューを何度か行っているうちに、
「マスターインテント」と私が呼ぶコンセプトがアイデアとして浮上してきた。
検索エンジンを特定のタスクのために利用する際、実際はさらに規模が大きく、複雑なタスクを課していることがよくある。
人生において私たちが実施している規模の大きな行為について考えてもらいたい: 家や車を買う、転職する、旅行の計画を練る、または、子供を持つ等。
このような人生のイベント(そして、ここまで重要ではないイベント)は、特定の情報に対する多数のニーズをもたらしている。
しかし、
マスターインテント(主な意図) – 大きな目的 –
を覚えておくことが出来るか否か、
そして、
必要に応じて個別の検索を行うかどうかは私たち次第である。
私たちはピースを集めて、つなげているだけのように思えるが、力仕事をしているのも私たちである。
ウェブ検索は、この点においては率直なアシスタントのような役割を果たしており、 – 外出して、関連する情報を私たちが与えた言葉を基に集めているのだ。
しかし、もし
検索が私たちの“マスターインテント”を把握し、
さらに高等なレベルの支援を行い – 全ての情報を集めて、
私たちの条件を基に絞り込み、
プロセス全体で私たちを導くようになったら、どうなるだろうか?
ジョン・バッテル:
「私は購入するべきクラシックカーを見つけ出そうとする試みを例として用いた。
このようなケースでは、自分が知らないことすら分からない状態であり、検索エンジンに対して、自分が知らないことを教えて欲しいと期待するのは、検索が提供できる範囲を超えている。
これは、
“私たちが提供する結果には満足出来ないだろう。
なぜなら、
文化の面でも技術の面でも、
消費者として知っていることを提供することが出来ていないためだ”
を回りくどい言い方で説明したものだ。私たちは転換期に差し掛かっているのだと思う。」
検索の成功の現在の基準 – 関連性 – が前進を続ける基準として適切だとは思えないと言う私の主張に、全ての賢人が同意しているわけではない。
私は検索がさらに有益にならなければいけないと確信している。
当たり前のことかもしれないが、
私たちの検索エクスペリエンスを、関連性に依存して、
大部分において決定していた企業が、
時代遅れと呼ぶことに二の足を踏んでいる:
ジョアンナ・ライト プロダクト・マネジメント・ディレクター – Google 検索:
「“関連性”も“実用性”も似た者同士である。より“関連性”の高い情報は、本質的に、より実用的なのではないだろうか?
また、関連性は決して容易な問題でもなければ、解決済みの問題でもない点を知ってもらいたい。
上位のウェブの結果の順位を決め、表示する取り組みは、検索エクスペリエンスの重要な一部であり、ユーザーが検索を引き続きグーグルで行っている主な理由の一つである。」
言葉の限界
関連性を基に成り立っている、検索の現在の枠組みには難問が一つある。
人間の言葉を理解する機械の能力に大きく左右されてしまう点である。
これは決して容易に乗り越えることが出来る問題ではない:
ステファン・ウェイツ:
「会議室に向かい、なぜ会議室にジャガーがいないのかと尋ねたら、おかしくなってしまったのかと思われるだろう。
そして、
「会議室になんでジャガーがいるんだい」と言われるだろう。
ジャガーは哺乳類の肉食獣であり、屋外で暮らしている。あるいは、車のジャガーのことかもしれない。いずれにせよ、ジャガーが会議室にいるのはどう考えてもおかしい。
しかし、
グーグルやビングやヤフー!にアクセスして、「ジャガー」と「会議室」と入力すると、500万を超える結果が返ってくる。
私たちが辿りつく必要がある目標、そして、辿りつこうとしている目標は、言葉を十分に理解するクローラーとパーサーを改善することである。
クレストホワイトストリップスと私が述べた際に、現在のインデックスが実施しようとすることを考えてもらいたい。
検索エンジンは、ページランクでこの用語を探し出し、結果を返すだろう。
クレストがブランドの名前であり、ホワイトストリップスが歯のホワイトニングの方法だと言う点を理解している必要がある。
ホワイトニングは歯科医が行う。
そして、歯科医は市販の製品を使うのを嫌がることが多い。
適度な人間の理解のレベルでは、私がクレストホワイトストリップスに関して知っていることを全て皆さんも知っているはずである。
しかし、
検索エンジンは理解していないのだ。
良質な一連の結果を提供するために私たちが行う必要がある意図の計算の多くは、エンジン、インデックス、そして、パーサーにより人間味のある理解をしみ込ませると言う難題に深く関係している。
これがうまくいけば、多数の数式を行うよりも遥かに早く意図に辿りつけることが出来るようになるだろう。」
しかし、
言葉の解析に依存する検索の問題は、以前ほど重要ではなくなってきているのではないだろうか。
オンラインでの作業が増えるなか、私たちはより多くのシグナルを残し、検索エンジンが意図を特定する上で手を貸しているからだ。
議論の大半がこの点を中心に行われていた: 現在、私たちは – 場所、現在のアクティビティ、社会の枠組みの位置 – ユーザーの現状に関する多くの情報を集めているのだ。
このような情報のすべてがクエリを補い、より有益なユーザーエクスペリエンスをもたらしている。
リアルタイム検索
検索エクスペリエンスの基礎的な局面を変えつつある、着地点が同じ2つのトレンドが存在する:
私たちが誰か、および、私たちが何を成し遂げようとしているのか、そして、より動的且つタイムリーなウェブをよく理解する取り組みである。
この2つを合わせると、検索エンジンに対して、意味の面での関連性を求めるだけでなく、時間の面での関連性を求めることになる。
検索は「時間とは無関係」の状態から、即時性を持つ状態に移行しつつあるのだ:
マーク・クラマー CEO – サーフ・キャニオン:
「過去40年間、検索が誕生して以来、次のような仕組みで検索は行われてきた:
ユーザーがクエリを入力する。
文書のインデックスとのマッチングが行われる。
すると、
途方もないアクティビティが行われ、
各種の異なる文書の関連性を特定する試みが始まり、
検索結果が生成される。
しかし、
検索結果は静的である。
1位から10位へ、そして、11位から5,000万位へと続き、
その順番は変わらない。時間とは無関係なのだ。
過去数年間の私たちの取り組みは、結果を動的にするために検索ページに状況を当てはめようとする試みであった。
そして、
“動的”を会話に当てはめるなら、検索結果のページはユーザーの入力のすべてに応答して、その場で内容を変えていることになる。これは検索に対する興味深い視点と言えるだろう。」
例えば、
ソーシャルメディアでの会話はほぼリアルタイムで交されている。
ソーシャルグラフで起きていることを、検索エンジンでインデックスされる情報に対するランキングの基準として加え始めており、面白いことが起こりつつある:
ステファン・ウェイツ:
「ツイッターやその他のリアルタイムサービスを介して行われているアクティビティは、エンジンに追加のシグナルを与えている。
例えば、
ツイッター、そして、会話の浮き沈みがいかに激しいかを考えてみると、ランキングの従来型のモデルでは、単純に対応することが出来ない。あまりにも遅すぎるからだ。
UGCのこのようなシグナルをユーザーの意図、その意図に最も論理的なレスポンスを考慮するアルゴリズムの一部として使うことが可能であり、
そのレスポンスは、-
リアルタイムで何が起きているのか、
ソーシャルサークルがこの出来事に対してどのように考えているのか、
この特定のトピックにおいて誰が信頼に値するのか、
そして、
その人物(または団体)はどんなことを読んでいるのか、
またはどんなことを書いているのか等 – 、
複数のシグナルによって決まるのだ。
私たちが注目しているファクターは数多くある。」
アプリケーションとしての検索の始まり
新たな検索エクスペリエンスをもたらす最大のファクターは、ウェブの基礎における進化を伴う。
つまりデータの特徴そのものが鍵を握るのだ。
90年代半ば、ほぼすべてのデータは“構造化されていなかった”。
何かしらの分類および構成を求めた規則正しいデータベースを外れて、寄せ集めの状態であった。
従来の検索は、言葉の問題を抱えていたものの、この点に関しては秀でていた。
構造化されていないデータをクロールし、インデックスし、
そして、
形を整えることが出来たのだ。
しかし、
現在、オンラインでは“構造化済み”のデータが増え続けている。
データの金銭的な価値が、構造化の比率を決定する – ウェブの植民地化とも言える傾向である。
そして、
データが構造化されるにつれ、その潜在的な実用性は、
現在私たちが心得ている検索の限界を超えて、拡大していく。
検索の現在の枠組みは、情報を求めて向かう目的地の枠組みに等しい。
しかし、
検索は、ますます、様々な役割つを持つ“メタアプリケーション”化している。
ジョン・バッテル:
「私たちは3分程度あればExpedia(エクスペディア)で利用するフライトを特定する際に驚くほど高度な検索を実行することが出来る。
すべてデータが構造化されており、基本的にアプリケーションと言っても過言ではない。エクスペディアは検索アプリケーションであり、決定支援アプリケーションである。私たちはすべての作業を行い、それが当たり前だと考えるようになった。
そして、
グーグルに向かい、旅行とは全く関係がなく、冷蔵庫や車の購入に関するクエリを入力し、検索に同じことを期待する。意識して期待しているのではない。
例えば、
「1967 マスタング」と入力したら、通常のジェネリックな検索エンジンではなくアプリケーションを介した構造化された検索エンジンを利用した場合では数分間を要する検索において、正しい答えがすぐに返ってくることを期待している。」
この新しい枠組みの力は、
つまり、
アプリケーションとしての検索の力は、
各種のアプリケーションに機能を移転しはじめると、さらに向上する:
バッテル:
「優れたアプリケーションを使えばだれでも有益な情報を引き出すことが出来る。
あとはその情報のデータセットを作成すればよい。
例えば、
私がニューヨークトランジットのアプリケーションを使って、3~4日間にわたってニューヨークの道案内をしてもらったとする…
私がアプリを使って解決を試みたすべての疑問や堂々巡りの状態は、事実上の構造化された検索セッションと言えるのではないだろうか?
次に、一連のデータ、
つまり地下鉄のマップとのマッチングが行われる。
「ここに行く必要がある。あの場所に行きたい。あのルートよりこのルートの方が良い」
と私が言うと、- これがデータセットとなり、一見関係ななさそうでも、必ずしも関係がないとは言い切れないその他の検索に情報を伝える。
これはメタデータとして今後の検索の際に利用可能になる。
そして、
どのように情報を伝えるかを把握することは、その時々に私が使う言葉やフレーズを解析するのと同じぐらい重要である。
それでは、
ニューヨークトランジットのマップアプリケーションを使った四カ月後に、私がそのフレーズを選んで、「シカゴ レンタカー」で検索をかけるとすると、検索エンジンはどのようにニューヨークのこのメタデータを使い、シカゴでの適切なレスポンスを返すのだろうか?
「いいアイデアがあるよ。車を借りる必要はない。シカゴトランジットを使えばいいんだ。アプリがここにあるよ」
と言う提案が最も適している可能性がある。
空港から、車を借りることなく、どこにでも行きたいところに行ける。
しかも、
150ドルも節約することが出来る。これはミント(会計ソフト)の利用を続け、200ドル/月を節約することが目標に設定されているため、目標を達成する大きなチャンスと言えるだろう。
すべてをまとめると、これは究極のアイテムであると言わざるを得ないだろう。なぜならユーザーのことを理解するようになるからだ。」
確かに究極の品である。
私たちがより多くの情報を目的に加えていくにつれ、実用性は急激に拡大していく。
意図を前提として選んだアプリケーションは、
さらに多くのシグナルを提供するようになり、
私たちが望む行動を解明しようとしている:
「個人的には、ユーザーは、利用するアプリケーションを選ぶことで、マスターデフィニションまたはマスターインテントをあらかじめ絞り込んでいるのだと思う。
例えば、
地域の結果を探しているなら、地域の検索を行うために適切な地域アプリを利用することが出来る。そのため、推測する必要はなくなる。
その行動の特徴により、既に地域の結果を求めている点は明白であり、それが唯一のインデックスである。誰かがモバイルアプリを使えば、検索エンジンはGPSの座標がどこか、そして、当該の人物が地域のアプリを利用している点を把握する。」
検索 & プライバシー
つまり、検索の未来の手掛かりは“実用性”と言う概念に隠されているのだ。
しかし、
実用性は、私たちは誰なのか、
私たちは何をしているのか、
そして、私たちは何を達成しようとしているのかを把握する
検索エンジンの能力に左右される
(そして、この名称が適切かどうかについても議論する日がやって来るだろう – 「検索」エンジンは、紛れもなく私たちが必要しているツールなのだろうか?)。
そして、
このレベルの透明性を達成するには代償が伴う。
この新しい枠組みにおける、ユーザーのプライバシーはどうなるのだろうか?
ジョン・ベッテル:
「個人のフィード、そして、消費者が
「フィードをあげるよ。そのうち役に立つはずだからね。それにお互い信頼しているしね。」
と言い切れるかどうかが鍵を握るのではないかと私は思う。この信頼関係は私たちの文化においてさらに築かれていくだろう。
しかし、
この信頼関係に関する会話を交わし、理解する必要はあると思う。
現在その真っ最中であり、今後10年でさらにこの議論は面白味を増していくだろう。
現在および今後の大規模なサービス間の信頼関係により、アプリを経由した、そして、その他のサイトやサービスでのインタラクションを経由した、大量の有益なデータが新たに流れるようになり、グーグルやマイクロソフトは、ユーザーに関する多くのデータにアクセスすることが出来るようになるだろう。
しかし、
信頼の絆、そして、このようなサービスとの文化的な契約をより深く理解しなければならなくなる。
なかなか前には進んでいないものの、確実に文化的な契約および社会的な契約に関する会話は増えつつある。」
編集後記:
この記事の中で述べられている意見は、あくまでもゲストライターの意見であり、必ずしもSearch Engine Land を代表しているわけではない。
(コメント)
進化を続ける検索エンジンの技術、
やれパンダアップデートだ、
やれサジェスションだ、
と短期的な視点とは別に…
時に中長期的な視点で検索エンジンがどこに向かおうとしているのか考えることも検索マーケッターにとっては最重要課題。
何より話の種には最適では?
色々と示唆に富んだ記事です。続きも早く読みたくなりますね。
次回は、『テクノロジーと私たちとの関係の未来に関するショッキングな予測』
だそうです。
感想は人それぞれ持つとしても
「マスターインテント」という考え方は現状の検索においても検索の未来を考える上においても重要なポイントなのでしょう。
現状の検索エンジンは「マスターインテント」を十分に満足させてくれる結果を提供しているとはいえませんが。
部分的にはともかく、
全てのマスターインテントを妄信するのもちょっと怖いですけど、
そんな日が近い将来、訪れそうです。。。