提案する No.1660 | 今日の言葉

提案する No.1660


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断られてからが本当の勝負だ。


木村 周一郎

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フランスパン専門店「メゾンカイザー」を立ち上げた

ブーランジェリーエリックカイザージャポンの木村周一郎社長の言葉です。

創業当時フランスパンのようなハードパンは受け入れられず、

全く売れなかったそうです。

そんなときに転機となったお話を紹介します。

『バゲットを売ることに関しては、

お客さんからこんなヒントもちょうだいしました。

ある日、店内をざっと眺めたお客様が何も買わずにお帰りになった。

店の外で「何かお探しだったのですか?」と声をかけると、

「何かおもしろいものがあるかと思って店に入ったけれれど、何もなかった」

と言われました。

それでも、何か求めて店にいらしたことに違いはありません。

生命保険会社で営業をしていた時、僕は

「断られてからが本当の勝負だ」と教わりましたから、

めげずに、こう聞き返したんです。

「ちなみに今、スーパーのレジ袋を提げていらっしゃいますが、

中身はなんですか。よろしければ、今晩のお献立を教えてください」

お客様が考えていた献立は、白身の魚のお刺し身と肉じゃが、

それにサラダと味噌汁でした。

僕はとっさに、

「お刺し身にオリーブオイルと塩をかけたらカルパッチョになります。

肉じゃがも、スープで煮たらポトフになりますよ」と勧め、

半ば強引にパンを買っていただいた。

あれだけ強引に勧めたから、

もう二度と店にはいらっしゃらないだろうと思っていたら、

翌日、そのお客様がとてもうれしそうな顔で店にいらして、

こんなことを教えてくれました。

「いつも一生懸命に献立を考えて夕飯を作っても、無言で食べられてしまう。

それがすごく嫌だったの。でも、昨夜は家族が

『どうしたの、こんなにしゃれちゃって』と驚いてくれた。

だから、今日も何かおもしろいもの、ない?」』


提案すべきは商品ではなく、解決すべき課題。

松下幸之助氏も

「無理に売るな。

客の好むものも売るな。

客のためになるものを売れ。」

と語っていますが、その実例のようなお話ですね。