与える No.1511
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受けるより与える方が幸いである
曽野 綾子
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愛読誌致知の最新号(2016年10月号)からのご紹介です。
その誌面で曽野さんが上記の聖書の一節を挙げながら、
こんなお話を紹介されていました。
『地方のタクシーで、素晴らしい話を聞いたことがあります。
その方は親から認められないまま結婚をして、
やがて女の子が生まれたそうです。
ところが、子供が六歳の時に奥さんが亡くなって、
お父さんが一人で育てるようになった。
会社に事情を話して夕食の時だけは家に帰って、
ご飯をつくって娘さんと一緒に食事をして、
という生活だったそうです。
そのお父さん、とても疲れているのに
「後でお父ちゃんが片付けるからな。
茶碗はそのまま放っておきなさい」と言って
また会社に戻るんですって。
ところが、帰宅するとその六歳の子が綺麗に茶碗を洗い、
洗濯機まで回しているんですって』
曽野さんは、「その子は人に与える喜びを知っている」と
補足されていました。
夕食後ひとりになったその女の子の心細さを想うと
胸が詰まりそうになりますが、
六歳でも立派に家事をこなしている様子を想像すると、
その子の人としての成長にエールを送りたくなります。
大人の我々はもっと出来ることがありますね。